第314話

 タンギュウの町の門をプルンを肩に乗せて出たハルトは、街道をある程度進んでから道を外れると、人目のつかない場所まで離れてからヒスイ、コッコロ、ミルクの三匹を召喚した。


 召喚が終わると、全員でミルクに騎乗すると、そのまま道無き道をミルクは走り出した。


 そして、ミルクに乗って進みながら月日が経ち、ドワーフの国がある国境の近くまでたどり着いた。


 「四ヶ月でここまでたどり着いたな。」


 『途中で長く止まることがありましたからね。でも、普通に街道を進むよりは早く着けたのですから良いじゃないですか。それにドワーフの国であるガンミーアにある世界樹の木まで急がないと雪が降りますから気を付けないと。』


 「その前に久しぶりの町で一日ゆっくりしよう。」


 『そうですね。ここまで休むことなく移動をしましたから。』


 そうしてハルトたちはドワーフ国ガンミーアとの国境で一番近くにある町であるメーフルの町へと向かった。


 メーフルの町に入ると、冒険者ギルドで従魔も泊まれる宿屋を教えて貰い、宿の部屋を取ると、メーフルの町の観光をすることになった。


 市場で売られている物の中にはドワーフの国から輸出された特産品だと思われる物も売られていた。


 『これは購入するべきです!目的地である世界樹の木までに販売されている町があるでしょうが、その町に寄らないかも知れませんからね!』


 (少し値段が高くても銀貨一枚がせいぜいだし、購入するか。)


 そこまで高い値段をする訳じゃないし、野菜や果物などの魔法の種に変えて育てられる物は値段は高かったが購入することにした。


 (だいたいこんなところか?)


 『そうですね。今度は武器屋でも見に行きましょう。面白い武器が売られているかも知れませんよ。』


 市場を見回るのを終えると、武器屋や防具屋などの店を回って見ると、やはりこちらもドワーフの国に近いからか、良質な武器や防具が販売されていた。


 (なかなか良い武器だな。今の俺が作った武器と同じくらいか?)


 『それくらいでしょうね。そこそこ腕の立つ者が作ったのでしょう。』


 一本の剣を見ていると、武器屋の店主に話しかけられてしまい、この剣や他の武器はドワーフの鍛治師が作った物だと教えられた。


 「それでどうする。その剣を購入するか?」


 「止めておきます。」


 首を振って断ると、武器屋の店主は「そうか」と一言言ってカウンターに戻って行った。


 店主からの話を聞いて武器屋はもう良いかと思い、次は防具屋を周り、その他にも様々な店を回って最後に魔道具を販売している魔道具屋の中に入る。


 (なんか良さそうな魔道具はあるか。ナビィ?)


 魔道具屋に入り、いの一番にナビィに聞くと、ナビィから良さそうな魔道具の数々を教えて貰う。


 その中でも面白い魔道具は回転する球体の魔道具だった。


 (これを使えばドリルみたいな物が作れるんじゃないか?)


 ナビィにこの魔道具を使って作ったドリルのイメージを送りながら念話で聞いてみた。


 『これをですか?確かに作れると思いますが回転速度が遅いその魔道具では思った通りの物は作れないと思いますよ。』


 (ナビィなら、この魔道具の回転速度を上げた魔道具が作れるんじゃないかと思ってさ。それで作れそう?)


 『可能ですね。見本もありますし。』


 (良し!なら、この魔道具は購入するか!)


 それから幾つかの使えそうな魔道具を購入したハルトは、最後にこのメーフルの町にある商業ギルドと薬師ギルドに寄って制作した武器や防具に様々な道具の売却と持っていない植物系の素材やポーション瓶の購入を行ない、メーフルの町で取った宿屋へと帰った。


 そして、宿屋の一室で結界を張って床が壊れないようにすると、そこで夕食までの間、みんなで過ごすのだった。

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