第312話

 ミルクカウのミルクが新しい仲間になってから二週間経ち、スキルレベルは低いが今現在のミルクが取得可能なスキルを取得することに成功した。


 「あとはゆっくりスキルのレベルを上げながら他のスキルの取得だな。」


 「もー!」


 ミルクの白黒柄の毛皮を一撫ですると、ハルトたちは猛る牛の草原の魔力の源泉から移動を開始した。


 「ミルク、重くないか?」


 「もー!」


 『全然大丈夫だそうですよ。重くないそうです。』


 今現在、全員がミルクに騎乗して移動している。


 ミルクの頭部には身体のサイズを小さくしたヒスイとプルンの二匹が乗り、背中にはハルトとコッコロが騎乗して移動していた。


 因みにミルクの装備はブラックキングライオンの皮を加工して作った鎧と鞍の二つを今のところ身に付けている。


 そんなミルクに騎乗しながら進むハルトたちの行き先を阻むようにワイルドバイソンの群れが現れた。


 「騎乗戦は初めてだけど、行けるか?みんな。」


 『がんばるよ!』


 『ぼくもがんばるー!』


 『爆発させるわぁ!』


 「もーもー!」


 『全員、気合いが入っているようですね。ハルト、サポートはするので好きに戦ってください。』


 「そうする。全員、遠距離攻撃をした後にワイルドバイソンたちに突っ込むぞ!」


 世界樹の棒をこちらに向かって来るワイルドバイソンたちに向けて、風属性魔法で先制攻撃をハルトは行なった。


 ワイルドバイソンたちの頭上に作り出した複数の風のハンマーで叩き付ける。


 叩き付けられた風のハンマーが命中するとワイルドバイソンは地面に叩き付けられ、更に風圧で地面に押さえ付けられる。


 そうして、身動きが取れなくなったワイルドバイソンたちにヒスイが水属性魔法の水弾を放ち、プルンは複合魔法の光線を放つ。


 コッコロは魔力腕も使い、同時に複数の卵を投擲し、ミルクは拙いながらも土属性魔法の石の矢を放った。


 「行くぞ!ミルク!」


 「もーー!!」


 多くのダメージを受けているワイルドバイソンたちに向かうようにハルトは指示を出すと、世界樹の棒を突撃槍の形に変形させて突撃の準備を済ませる。


 ハルトが世界樹の棒を変形させている間にヒスイとプルンは、ミルクの肩付近に移動した。


 そして、ワイルドバイソンの群れと衝突前に突撃槍に魔力刃を纏わせ、ハルトは正面のワイルドバイソンの身体に掠め切り裂くように突きを繰り出す。


 右肩に移動したヒスイは身体から生やした多数の触手に、自身のアイテムボックスから取り出した触手の形にあった複数個の鎧のパーツを触手に身に付けて、ミルクが通り過ぎる瞬間に鞭のようにワイルドバイソンたちを叩き付ける。


 左肩に移動したプルンはアイテムボックスから複数の剣を取り出して、ミルクが通り過ぎる度に的確にワイルドバイソンを切り裂いて行った。


 コッコロの場合はヒスイとプルンが上から攻撃を食らわせているからか、複数の卵を転がすように投擲を行ない、ワイルドバイソンたちを下側からダメージを与えていく。


 遠距離攻撃でダメージを受けていたワイルドバイソンたちのほとんどは、今回の突撃により更にダメージを受けた。


 そして、ミルクに騎乗した突撃をもう一度行なえば、ワイルドバイソンの群れのほとんどは倒れ、残りも瀕死の重傷になっていた。


 それからハルトたちは地面に降りると、瀕死のワイルドバイソンにトドメを刺すのをミルクに任せて、他のみんなはアイテムボックスにワイルドバイソンを収納して行った。


 「初めての突撃としたらまあまあなんじゃないか?」


 『そうですね。ですが、突撃して攻撃を行なう際には、ヒスイとプルン、コッコロの位置を変えた方が良いかも知れません。』


 「今度は位置を変えて試してみるか。どうせ、これから何度もモンスターと遭遇するだろうしな。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る