第309話

 半分までゴブリンの群れの数は減っていても、ゴブリンの群れのボスと思われる一番豪華な装備をしたゴブリンは、まだ怪我をせずに生きたおり、罠の仕掛けられている場所に突撃してきた。


 「よし!罠に上手い具合に引っ掛かった!」


 ゴブリンの群れがある程度罠のある地点に侵入すると、ハルトは罠を起動させて、ゴブリンの群れに多大な被害を与えていく。


 蔦や蔓などの植物で身動きの取れなくなるゴブリンや先端の鋭い木の根に防具のない箇所を貫かれているゴブリン。


 他にも木製のトラバサミや食虫植物のように粘つきで捕らわれているゴブリンもいた。


 罠で即死はさせることは出来なかったが、ゴブリンに傷を付ける罠には毒や麻痺などの状態異常にかかるように複合魔法に変えた為、ゴブリンの群れに与えた被害は大きい。


 「今なら簡単に攻撃が当たる!全員で攻撃するぞ!!」


 ハルトの指示を聞いてヒスイたちは身動きの取れなくなっているゴブリンの群れへと、遠距離攻撃を仕掛けていく。


 この遠距離攻撃により、更にゴブリンの群れは数を減らして残りのゴブリンは両手で数えられるほどになっていた。


 そんな状況だからか、まだ辛うじて身体が動けるゴブリンはハルトたちから距離を取るために逃げ出した。


 「このまま逃げられる前に倒す!プルン、行くぞ!ヒスイとコッコロは、そのまま攻撃を続けるんだ!」


 プルンと共にハルトは前へと飛び出すと、逃げ出したゴブリンたちの元へと走り駆け寄って行く。


 ヒスイとコッコロの遠距離攻撃を必死になって避けながら距離を取ろうとしているせいで、ゴブリンたちはそれほど距離を稼げずにハルトとプルンは追い付いた。


 ここまで接近すると、ヒスイとコッコロの遠距離攻撃は止み、身動きの取れていないゴブリンたちを二匹は狙う。


 その間、ハルトとプルンは武器を構えてゴブリンたちと対峙していた。


 「プルン、取り巻きのゴブリンは任せたぞ。」


 『まかせてー!きりきざむー!』


 飛び跳ねてプルンが群れのボスの取り巻きを狙うと、群れのボスはプルンに気を取られる。


 (今だ!)


 プルンに気を取られたその一瞬、ハルトは身体能力を強化するスキルを多重に発動してボスのゴブリンとの距離を詰めると、世界樹の棒を振るう。


 ハルトの攻撃に群れのボスであるゴブリンも反応するが、身に付けていた鎧を世界樹の棒で叩かれてしまう。


 振るわれた世界樹の棒の一撃を受けたゴブリンは吹き飛ばなかったが、いきなり口から血を吐き出して吐血する。


 「上手くいったか。これでトドメだ!」


 ハルトの攻撃を受けて吐血したゴブリンは頭を下げてしまい、丁度良い位置にゴブリンの頭が来たハルトは世界樹の棒を振り下ろした。


 ボスゴブリンが被っていた兜にへこみが出来たが、それ以上に兜を被っていた頭に衝撃の多くが向かい倒れたボスゴブリンが死んだのかを確認すると、頭部が陥没していた。


 ハルトがボスゴブリンを倒し終わり、プルンの方はと見ると、魔力刃のスキルを刃に乗せた剣を振り回してゴブリンたちを装備諸共切り伏せて倒していた。


 そして遠距離攻撃を行なっていた音が聞こえなくなり、どうしたのかと見るとヒスイとコッコロはこちらに向かって来ていた。


 「プルン、そっちのゴブリンの回収をしてくれ。それが終わったら、ヒスイたちと合流する。」


 『わかったー!』


 それからハルトたちはゴブリンの群れを罠に嵌めた地点で合流すると、遠距離攻撃で倒して点々としているゴブリンの回収を行なった。


 「そこそこ強かったな。あのゴブリンたちも暴れ牛とかのモンスターを倒していたんだよな?」


 『そうですね。金属製の装備ではなかったゴブリンは牛系モンスターの骨をそのまま使っていましたからね。ゴブリンは装備と魔石だけ解体して先を進みましょう。そこで拠点を作って明日からはミルクカウ探しです!』


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