第308話

 残り二頭分の牛の肉を見ながら、牛一頭分の肉をほとんど食べている三匹を見て、食べ比べを一旦中止するように伝えた。


 『ハルト、まだまだ食べられるわぁ。』


 『ぼくもたべられるー!』


 『ヒスイもたべれるよ!』


 「まだ食べられることに驚きだが、このまま食べていると、いつまでも探索出来ないから終わりにするぞ。それで今まで食べた部位でどの牛系モンスターの部位が美味しかったのかを話し合う。」


 ハルトがそう提案して一応、全ての牛肉の部位を食べたハルトたちは、それぞれが美味しかった牛肉の部位の話をして行った。


 暴れ牛、猛牛、ワイルドバイソンの三種類のモンスターの肉の食べ比べで、どのモンスターの肉の部位をアイテムボックスに残すようにして、どの部位を食べていくのかをハルトたちは決めていった。


 大体のことを話し合って決めると、これからの食事の時に出る牛肉の部位は、当分の間はそれぞれがこれは食べたいと言った部位の肉以外の肉を食べることが決まると探索に戻った。


 「あれだけ食べてお前たちは動けるのか?俺はキツいんだけど。」


 『もんだいないよ!』


 『ぼくもー!』


 『まだ食べられますねぇ。』


 これを聞いて、普段から食べさせていないから、ここまで食べていたのでは無いかと思ってしまう。


 「ナビィ、もしかしてヒスイたちのご飯は足りなかったのか?」


 『いえ、充分ですよ。今回は食べる物が多かったから食べているだけですよ。ハルトもスキルが育てば分かると思います。』


 「スキルの取得をしてから食べれると思う量が増えたな。そんな感じか?」


 『はい。そうです。』


 ハルトは満腹の状態だが襲って来る牛系モンスター以外との戦闘はせずに進むが、それでも牛系モンスターは襲って来るし、それ以外のモンスターも居た。


 「こんなところにゴブリンが居るよ。ナビィ、あれはゴブリンだよな?」


 『見間違いではありませんよ。確かにゴブリンです。それもほとんどが上位種のゴブリンです。』


 ハルトたちが遠目に確認したそのゴブリンたちは、全身に金属製の装備を武装をしているそんなゴブリンたちだ。


 「アイツらもこっちに気付いているよな?こっちに向かって来てる。全員、戦闘準備だ!先にこっちからゴブリンたちに攻撃をするぞ!」


 『私はまだ万全にサポートは出来ませんので、そこのところは考えて戦ってください。』


 「分かった。」


 ハルトは世界樹の棒に制御が可能な量の魔力を送り、いつでも魔法を行使することが可能な状態にして置く。


 ヒスイ、プルン、コッコロもハルトが戦闘準備を終える頃には、自分たちも戦闘準備を終えており、いつでも遠距離攻撃を行なえる状態になった。


 「全員、攻撃開始だ!!」


 ハルトは全員に遠距離攻撃の開始の合図をすると、世界樹の棒を地面に突き刺して魔法を発動した。


 ハルトたちの方に向かって来ているゴブリンの集団の進行方向へと罠を仕掛けるように魔法を設置すると、世界樹の棒を引き抜いて先端をゴブリンたちに向けて、もう一つの魔法を発動する。


 ハルトが罠を魔法で仕掛けている間にヒスイたちは遠距離攻撃を行なっていた。


 ヒスイが高濃度の酸が混ざった水弾を絶え間なく放ち続け、プルンは複合魔法の太い光線を放ち、コッコロは笑い声を念話で上げながら次々に卵の投擲を行なっていく。


 触れれば溶ける酸弾、高威力の光線、様々な属性ダメージを周囲に与える卵、そんな攻撃を受けて慌てていたゴブリンたちだが、その中の一際大きく豪華な装備をしたゴブリンが叫ぶと冷静になったのか、未だに動けるゴブリンを率いて、ハルトが仕掛けた罠の方へと向かっていく。


 そんなゴブリンたちにハルトの発動した木属性魔法の寄生種がゴブリンたちに向かって放たれる。


 そして、ゴブリンたちがハルトの仕掛けた罠まで着くまで、ゴブリンの群れは半分ほどまで減っていた。

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