第307話
暴れ牛の群れを倒し終わったハルトたちは、周辺にいた牛系モンスターたちの群れをほとんど倒すと、魔境猛る牛の草原の奥へと進んで行った。
「これでかなりの牛肉が手に入ったな。解体するのは大変だろうけど。」
『身体が大きいですし、量もかなりありますからね。この調子で倒していくとアイテムボックスが牛肉で埋まってしまいますね。』
「それが問題だよな。食べて一番美味しく感じた物以外はもったいないけど、捨てるか?」
倒した牛系モンスターを解体して美味い部位以外は捨てるか悩んでいると、コッコロから念話が来た。
『それなら私が食べちゃいたいわぁ!』
『ぼくもたべるー!』
『ヒスイもたべるよ!』
「でも一頭でもかなりの量になっちゃうぞ?」
ヒスイ、プルン、コッコロが本当に食べ切れるかのかと思うが、やっぱりもったいないと言う気持ちがある為、ハルトも一緒に食べることにした。
「まだアイテムボックスにあまりがあるけど、早速解体して食べようか。まずは暴れ牛からにしよう。ナビィ、解体を手伝ってくれ。」
『美味しく解体しましょう、ハルト!』
それから全員でナビィの指示を聞きながら暴れ牛の解体を始めた。
ゴーレム一号機、二号機も動員しての解体で暴れ牛、猛牛、ワイルドバイソンの多くの解体を終わらせて、同じ部位ごとの食べ比べをハルトたちは始めた。
「どの肉も美味いけど、流石にもうお腹いっぱいだ。」
『ハルト!もっと食べてください!まだまだ私は食べ足りないです!それにまだこんなにあるんですから!』
「そうは言っても五キロくらいは食べたぞ。それにまだ食べているヒスイたちが可笑しいだけだよ。」
ヒスイやプルンはスライムだがら、十キログラムも食べていても吸収して体積を増やせる為可笑しくない。
だが、ヒスイやプルン以上の速さで多くの量を食べているコッコロは本当に可笑しな存在だ。
もうそろそろコッコロ自身の身体よりも多くの肉を食べているだろう。
『これはハルトにもっと多くのお肉を食べて貰う為にスキルの取得が必要ですね!今から私は少しだけ無茶をします。ですから、ハルトも少しずつで良いですから、お肉を食べてください!』
「わ、分かったけど。無茶って何をする気なんだよ。」
『ハルトがもっと食べられるようにスキルの取得をしやすくします。これをやると当分の間は私のサポートの効果が減少しますが、幸いこの猛る牛の草原で現れるモンスターの平均レベルは20レベルから30レベルです。それなら無茶をしてもそれほど危険は無いですよ。』
何がそこまでしてナビィにこんなことをさせるのかと思ってしまう。
『では、やりますので食べていてください。それが私のやる気に火を付けます!』
「あ、ああ。分かったよ。」
食べ終わった為、止めていた火を付け直すと、ハルトは肉を焼いていた焦げ付いた網を浄化魔法で綺麗にしてから、薄く切った大きな肉を焼き始めた。
そうしてゆっくりとだがハルトが食事を続けていくと、少しずつだが食べるスピードが増していった。
「これがナビィがしていることの効果なのか?」
先ほどまで感じていた満腹感が減少してもっと食べられるような気がしてきた。
相変わらずバクバクと焼いては食べてを繰り返し行なっているヒスイたちのテーブルを見ながら、ハルトも食べるペースを上げていく。
だが、ハルトが食べるスピードが上がる度に今現在張っている結界の維持に意識を割く必要が出て来たりと、弊害も出始めてきたところだ。
今までナビィのサポートに慣れていた為に起きた弊害にも慣れ始めて来た頃に、ハルトのお腹がぐぅ〜と鳴る音がした。
『ハルト!スキルの取得が出来ましたよ!かなり苦労しましたけど、その甲斐がありました!』
「このお腹が空くのは、やっぱりスキルのせいなのか。」
『もっと食べてください!飽きないくらい美味しいですから!』
嬉しそうなナビィの声が聞こえる中、ハルトは肉を焼いて口に運ぶを繰り返して行った。
そして、ハルトたちは全員で牛一頭分の肉を二時間ほどで食べ切るのだった。
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