第305話
翌日になり、ハルトたちはルーワンの町を後にすると、また道無き道を進んで行った。
その道中、遭遇するモンスターも強いモンスターとは遭遇することなく、一ヶ月ほどで次の目的の町であるモーカウの町にたどり着いた。
このモーカウの町の近くには魔境の猛る牛の草原という魔境がある。
その為、この猛る牛の草原の情報を得る為にハルトたちはモーカウの町に寄ったのだ。
そして、ハルトたちは宿屋で部屋を一室取ると、冒険者ギルドへと向かって資料室で猛る牛の草原の情報を調べていく。
(猛る牛の草原は牛系のモンスターしか現れないんだな。)
『ですが、牛系モンスターを狙うモンスターが魔境に侵入しているそうですから、気を付けないと駄目ですよ。』
(現れるモンスターの情報が欲しいけど、本当に色々なモンスターが侵入するみたいだからな。ミルクカウ、マザーミルクカウの牛乳はそれだけ魅力的なのかな?)
『美味しいだけじゃなく栄養価も高いですからね。ミルクカウやマザーミルクカウの牛乳だけでも健康に生きていけるほど充分な栄養価なんです。』
ミルクカウたちを狙うモンスターと牛系モンスターが争いが起こるのが魔境猛る牛の草原なのだ。
『それにハルトにはミルクカウを発見して契約して欲しいです!』
(牛乳が飲み放題になるからか?)
『そうです!栄養もありますからね。世界樹の迷宮は長期の探索になります。野菜や果物は作れるので大丈夫ですが、それ以外の食べ物は作れません。その為、ミルクカウの契約をオススメします!』
モンスターを倒せば肉類を手に入るだろうけど、それが美味しく食べられる物か分からないしな。
それにモンスターが集まるほどの美味しい牛乳は気になる。
(ミルクカウと遭遇したらな。でも、仲間にしたらミルクカウを狙われるんじゃないか?)
『狙われますね。モンスターだけじゃなく人類からも狙う者が現れるかも知れません。ヒールスライムと同じくらい希少ですから。』
(それでも契約をした方が良いのか?狙われるのは面倒なんだけど。)
今でもヒスイは町の中では召喚するのは宿の部屋の中くらいでしかない。そんな中でミルクカウを仲間にすれば大変なのではないかと思った。
『今のハルトたちなら大抵の場合は大丈夫でしょう。貴族関係の問題が起これば大変でしょうが……。』
(やっぱりそれだよな。貴族とか権力を持つ相手は本当に面倒くさい。)
『Bランク冒険者ですから、よっぽどの大物貴族などではない限り冒険者ギルドからの協力もありますから、頑張ってください。』
(それでも面倒だろう?でも、世界樹の迷宮を攻略するのに栄養価のある食事が必要なら仲間にするか。)
『お願いします。ミルクカウが仲間になれば美味しい牛乳が飲み放題です!それに世界樹の迷宮の攻略が終われば、そんな面倒くさいことも無くなりますよ。』
(どうゆうことだ?面倒が無くなるって?)
世界樹の迷宮を攻略すれば面倒が無くなる。ナビィがなぜそんなことを言うのか、それが分からず、ハルトは聞いた。
『世界樹の迷宮を攻略するほどになれば、暴力で何事も解決できますよ。ヒスイたちも含めて最低でも100レベルは超えていますからね。』
(それで良いのか……集団で来られたら、マズイだろうし、何より町の中に入らなくなると思うんだけど?)
『それがありましたね?町に入れないと確かに少し面倒です。』
(Aランク冒険者になれば、Bランクよりも更に面倒くさいことも減るだろうし、そこまで仲間にしても隠す感じだな。)
『それが無難ですかね。資料も読み終わりましたから、市場にでも向かいましょうか?』
(そうだな。そうしよう。)
冒険者ギルドの資料室で読んでいた資料を片付けて、ハルトは冒険者ギルドを後にしてモーカウの市場へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます