第304話
一週間の間、魔力の源泉がある場所で過ごしたハルトたちは、魔境の獣王の縄張りを抜け出す為、移動を開始した。
魔力の源泉近くで一週間もの間、ゆっくりと過ごそうとしたハルトたちだったが、ブラックキングライオンを倒したことで源泉近くまで、様々なモンスターが近寄ってきたことで毎日午前中は戦闘を行なっていた。
そのせいでゴーレム三号機の修復が遅れたが、ブラックキングライオンとの戦闘が始まるまでに遭遇しなかったモンスターと何度も戦闘が出来たのが良かった。
特に鋼牙エレファントと言う牙が鋼以上に硬いゾウのモンスターはなかなか強かった。
最初の遭遇は修復が終わったゴーレム三号機を導入しての戦闘だった為、苦戦しなかった。
だが、鋼牙エレファントが三頭現れた時にその強さを実感した。
ゴーレム三号機が一頭を、コッコロとゴーレム一号機、二号機が一頭を、ハルトとヒスイ、プルンで一頭で戦闘を行なった。
戦闘事態は十分も掛からずに終わったが、やはり身体の大きな鋼牙エレファントを倒すのはキツかった。
ハルトたちの武器の大きさ的に普通に攻撃していても、鋼牙エレファントに大きなダメージは与えられなかった。
その為、鋼牙エレファントの体内までダメージが届くほどの攻撃をしなければならず、ブラックキングライオンの体内に攻撃するような一撃を与えて、ハルトたちは鋼牙エレファントを倒したのだ。
そして、倒した鋼牙エレファントの牙を錬金術でランクを少しだけだが上げると、大型ゴーレム専用の大槍を二本だけだが作ることに成功した。
試しにゴーレム三号機が鋼牙エレファントの大槍を使って戦闘をして貰うと、大槍で突きや薙ぎ払い、叩き付けをするだけで大体のモンスターは瀕死や重傷を負うほどの威力を出していた。
そんな新装備はゴーレム三号機だけじゃない。
他にもブラックキングライオンの牙を使って牙剣・二の牙の更なる強化を施し、ブラックキングライオンの皮とタイラントホーンビートルの外骨格を使った防具を頭から足まで全て作り、今の防具から新調した。
それでも、まだまだブラックキングライオンの毛皮は余っている。それほどブラックキングライオンは大きかったのだ。
それから2日経ち、ハルトたちは獣王の縄張りを抜けてお昼頃にルーワンという町にたどり着いた。
昼食をルーワンの町にある食事処で昼食を食べ、冒険者ギルドに向かいブラックキングライオンを倒したことを伝えずに、宿を取って市場での買い出しに向かった。
買い物をしながら何故、ナビィはブラックキングライオンを倒したことを冒険者ギルドに伝えるのを止めさせたのか、分からずに念話を使って聞いてみた。
『ブラックキングライオンだからですね。あれがキングライオンなら冒険者ギルドに伝えても問題はなかったのですが、ブラックキングライオンだったから駄目だったのです。』
(?なんでブラックキングライオンだと駄目だったんだ?)
キングライオンは良くて、ブラックキングライオンが駄目な理由が分からない。
『ブラックキングライオンは群れないからですよ。だから、スタンピードを起こさずに済むので、獣王の縄張り近くの町ではブラックキングライオンが主になった場合は倒さないと言うのが暗黙の了解だからです。』
(それなら、倒さない方が良かった、のか?)
『いえ、気にしなくても良いかと思います。ブラックキングライオンが魔境で生み出されたので、当分はキングライオンもブラックキングライオンも生まれませんから。それにブラックキングライオンは十年の間は魔力の源泉近くで過ごしますが、その後は獣王の縄張りを好きに移動するので、倒すこと自体は良かったことですよ。それに十年もあの場所で過ごしたブラックキングライオンの強さはハルトたちが戦った時よりも強いですからね。』
(そうか。なら、倒して良かったな。)
『はい。』
ナビィから理由を聞きながらハルトたちは、市場での買い物を続けて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます