第300話

 閃光爆音卵を受けて、巣穴や通路の中で身動きが取れないアースミーアキャットの群れが動き出す前に、ハルトたちは特殊な薬草の採取を終えて急ぎ駆け降り丘の上から降りて行った。


 「地面に穴は見掛けないし、ここまで逃げれば大丈夫か?」


 『そうですね。ここまで離れれば大丈夫でしょう。』


 先ほどまでハルトたちが居た丘はだいぶ離れていた。


 「それにしてもアースミーアキャットの巣近くは他にモンスターが居なかったな。」


 『巣穴近くだからこそ、ですね。一斉に襲われれば、獣王の縄張りのモンスターでも危険なモンスターですからね。』


 「そこまでか?」


 『ハルトたちのレベルと比べるとレベル差がありますから……こちらに来るモンスターが来ますよ。』


 「あれか……。」


 ハルトたちの様子を伺いながら集団で囲い込むようにしているモンスターの群れが居た。


 『アーミーハイエナですね。数は二十八匹も居ますね。コッコロ、閃光は入りません。爆発の威力の高い爆音卵を投擲してください。』


 『分かったわぁ!いーっぱい!爆発させるわねぇ!』


 アーミーハイエナが広がり切る前にコッコロに投擲の指示をナビィが出し、コッコロが次々と卵を投擲して行った。


 ハルトはナビィがコッコロに指示を出した時には爆音の対策の魔法を自身と仲間たちに使う。


 そして、ハルトが爆音対策の魔法を使用した時、コッコロの投擲した卵が起爆して盛大に爆発を起こし、周囲に凄まじい爆発音が響き渡った。


 土煙りが立つ中、感知系スキルには、まだアーミーハイエナの反応があり、ハルトたちは土煙りが舞っている中を通ってアーミーハイエナたちの元に向かった。


 魔力や気配が感じた場所に魔法を放ち、世界樹の棒を振るい攻撃を行ない、アーミーハイエナを倒していく。


 そんな中で、爆発をそれほど受けていないアーミーハイエナがハルトを襲い掛かって来た。


 飛び掛かって来るアーミーハイエナに世界樹の棒を変形させて剣に変えると、変形させた剣に魔力刃を纏わせ、前に出て回避すると同時に世界樹の棒(剣)を振るい、アーミーハイエナを切り裂いて倒す。


 それからも爆発の影響を受けていないアーミーハイエナが連携しながら襲って来るが、身体能力はハルトよりも低い為、余裕に対応して倒して行った。


 『コッコロが最後の一匹を倒したようですね。周囲の血の臭いを消して、アーミーハイエナをアイテムボックスに収納してください。』


 ナビィに念話で言われて、ハルトは浄化魔法を発動し、周囲の血の臭いを消しながら倒したアーミーハイエナを収納していく。


 倒したアーミーハイエナの数は多かったがスキルのアイテムボックスを持つ一人と三匹により、周囲のアーミーハイエナがアイテムボックスに消えるのは早かった。


 「アーミーハイエナから攻撃を受けたりはしていないな?」


 『はなれたところから、まほうをつかったから、だいじょうぶだよ!』


 『こうげきされるまえにー、きったからー、けがないよー!』


 『私も受けてないわよぉ。』


 三匹ともアーミーハイエナからの攻撃を受けてはいないと聞いて安心した。


 流石に土煙りで視界が悪かった為、誰か一匹くらいは攻撃を受けてダメージを負っているかと思ったからだ。


 『戦闘音を聞いて近寄るモンスターも居ますので移動しましょう。』


 「そうだな。そこまで苦戦するモンスターは今のところ居ないから良いけど、連戦は疲れるからな。」


 次のモンスターが現れる前にハルトたちは、この場所から移動して更に奥へと向かった。


 そして、少し寄り道などをしながら獣王の縄張りの探索を始めて三日目の昼前に、ハルトたちは獣王の縄張りの主が縄張りにしているエリアに入った。


 『ここからは気を引き締めて行きましょう。グレートバトルウルフと同じくらいにはキングライオンは強いですからね。』


 「だから、移動スピードが遅くなるゴーレムを出しているんだな。」


 一体の大型ゴーレムである三号機を先頭に後方には一号機と二号機が守りを固めながらハルトたちは、キングライオンの縄張りを進んで行った。

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