第299話

 アースミーアキャットの巣穴がある小さな丘へと向かったハルトたちを、草原に空いている数多くの通路から虎視眈々とアースミーアキャットが狙って来ていると思いながら進んでいると、感知系スキルにアースミーアキャットだろう何かを感知した。


 「近くに来ているな。」


 『隙を見せたら襲い掛かるつもりですよ。どうしますか?私が考えた作戦はありますけど。』


 「なら、それを聞かせてくれ。」


 世界樹の棒をいつでも振るえるようにし、魔法を瞬時に発動できるように構えを取る。


 ヒスイたちもそれぞれがいつでも攻撃を行なえるように準備を終えると、ナビィから作戦が念話で話される。


 作戦自体はそれほど難しくはなかった。


 足元からの奇襲をされないようにハルトが木属性魔法で地中に根を張り、コッコロがスキル魔力糸を周囲に張り巡らせて飛び出たアースミーアキャットの捕獲をし、ヒスイとプルンがアースミーアキャットを攻撃していく。


 ナビィから提案された作戦を実行することを決めたハルトは、それぞれにやるべきことをするように指示を出すと、世界樹の棒を地面に突き刺して魔法を発動した。


 魔法のイメージは、ハルトを中心に五メートルの範囲の地中に大量の硬い根っこを張り巡らせるイメージの魔法だ。


 それにナビィからの魔法のイメージをサポートを受けて太くて硬い根っこだけでは無く、細く硬い切れ味のある細い根っこも追加された。


 ハルトが魔法を発動し、ハルトの周囲に木の根が張り巡らせた瞬間にアースミーアキャットたちは一斉に襲い掛かってきた。


 『爆発音が聞けないのは残念だけどぉ、貴方たちを捕まえるわよぉ。』


 コッコロは周囲に魔力糸を大量にばら撒くと、アースミーアキャットたちは魔力糸に引っ掛かり拘束されていく。


 『それほど待たないからぁ、早くお願いねぇ。』


 『いそいでたおすよ!プルン!』


 『がんばるよー!ヒスイおねーちゃん!』


 コッコロの魔力糸により拘束されたアースミーアキャットをヒスイは水属性魔法を使い、プルンは六つの剣による斬撃で攻撃をして行った。


 ヒスイとプルンが拘束させれたアースミーアキャットにトドメを刺している間、未だに地中の通路に隠れて様子を伺っているアースミーアキャットを新たにナビィからの作戦が伝えられる。


 新たな作戦を実行する前にヒスイとプルンが倒していたアースミーアキャットを収納して行くと、全員に閃光と爆音に対しての対策を魔法で取ると、コッコロに通路の穴に向けて閃光爆音卵の投擲を命じた。


 『くくく……爆発だぁぁ!!!おりゃ、おりゃ、おりゃあぁーーー!!!!』


 テンションが上がったコッコロが卵を次々と穴の中に投げ込むと、通路に閃光と爆音が鳴り響く。


 「最初からこうすればよかったんじゃないか?」


 『効果はあったでしょうが、巣穴の奥まで爆音が届かない恐れがありましたので……。今回の爆音で巣穴に通じる全ての通路にも響き渡ったと思います。』


 ナビィが言うにはアースミーアキャットが通る地中の通路は、かなりの狭さでアースミーアキャットがギリギリ通れるほどなのだとか。


 そんな狭い通路に閃光爆音卵を投擲してもアースミーアキャットの身体が邪魔をして閃光や爆音が通路から巣穴まで届かない可能性があったそうだ。


 『今ならアースミーアキャットと戦闘をしなくても大丈夫です。早く丘の上に向かってください。そこにある筈ですから。』


 ナビィに急かされるようにハルトたちは急いで丘の上を目指して走り出した。


 そして、丘の上にたどり着くと、丘から獣王の縄張りのかなりの範囲が見渡せる中でナビィから指定された植物を引き抜いていく。


 「これが特殊な薬草なのか?」


 『はい。アースミーアキャットの丘の上が繁殖地の薬草なんですよ。取れるだけ採取して置いてください。』


 

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