第58話

 異世界生活十四日目 四月二十六日第五火の日


 朝起きてすぐに健康魔法と浄化魔法を使いさっぱりさせてからベットから起き上がった


 「ナビィ、ヒスイおはよう」


 『おはようございます、ハルト』


 「それでナビィ、今は何時なんだ」


 『今の時間は五時半ですね』


 「そうか……なら軽くストレッチでもして身体を動かしておくかな」


 魔蔵から引き出した魔力を魔脈に一気に流していく。常日頃から魔脈に魔力を流し続けているおかげか魔脈に流している魔力の動きもスムーズに流す事が出来る様になってきた


 身体を魔力により活性化させながら柔軟体操をしていく。じっくりと身体を動かしながら一通り柔軟体操を終わらせるとコップに牛乳を注いで飲んでいく


 飲み終わったコップに浄化魔法を使い綺麗にするとアイテムボックスに収納して消費した魔力を瞑想をする事で回復する用意をする


 「じゃあナビィ、時間がきたらお願いな」


 『分かりました、ハルト』


 ナビィに一声かけて瞑想を始める。瞑想をして魔力の回復をしていくと時間が来たのかナビィに念話で声を掛けられた


 「教えてくれてありがとう、ナビィ」


 『いえ、気にしないでください。朝食に行きましょう、ハルト』


 外から鐘の音が聞こえながら防具を着込んでいく。防具に着替えると世界樹の棒を持ちヒスイを抱えて部屋を出て鍵を閉める


 「サーシャさん、おはようございます」


 「おはようございます、ハルト君。朝食ですか?」


 「はい、お願いします。あと部屋の鍵を」


 「分かりました。今から持ってきますね」


 部屋の鍵をサーシャに渡して朝食を頼むと空いている席にヒスイを下ろして飲み物を入れて先に行く


 席に着くとヒスイに朝食の薬草の茎や治癒の枝から魔法を使い生やした治癒の葉の成長した物を上げながら朝食が来るのを待っていると朝食を持ったサーシャがやってきた


 「これ、今日の朝食ね」


 「ありがとうございます」


 「まだ仕事があるから行きますね」


 サーシャが離れ改めて朝食を見ると今日の朝食はリゾットの様だ


 『「いただきます」』


 熱々で湯気が出ているリゾットを息を掛けて冷ましながら食べていく。ヒスイにもこの熱いリゾットを分けてあげてナビィの食レポの様な食事の感想を聞きながら食べる


 朝食を食べ終わると入れていた麦茶を飲みながら一休みしていると朝食の食器をサーシャが持っていってくれた


 食休みを終わらせてヒスイを抱えて大熊亭を出て冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドに入るともう依頼ボードの前には冒険者たちが受ける依頼を探していた


 俺も冒険者たちに混ざり依頼ボードを眺めていくと良さそうな依頼はなくなっておりゴブリン狩りの依頼書を取って依頼ボードの前から立ち去る


 セシリアが受け付けをしている列に並んで待っていると俺の順番がきた


 「おはようございます、セシリアさん。この依頼をお願いします」


 「おはようございますハルトさん。この依頼ですね。少々お待ちください」


 依頼書をセシリアに渡して待っていると受理が終わった様だ


 「これで依頼の受理が終わりました。それにしても久しぶりに話せましたね」


 「依頼を受けるのが朝早かったですし依頼報酬を渡す時は混んでいましたからね」


 「はい、それで今回の依頼が達成出来れば冒険者ランクが上がります。ランクを上げるには試験を受ける必要がありますからランク試験はどうしますか」


 「いつでもランク試験は受けられるのですか」


 「はい、いつでも大丈夫です。試験をする職員はいますからね」


 「それなら明日の朝の今くらいの時間でも大丈夫ですか?」


 「今くらいの時間ですか。難しいですね。朝早いですし朝は忙しいですから。一番早くて二の鐘が鳴る時間ですね」


 「ならその時間で明日お願いしても良いですか」


 「分かりました。でも今日の依頼が達成出来ていればですからね」


 「分かってます。じゃあ行って来ますね」


 「頑張ってくださいね、ハルトさん」


 依頼書を収納して冒険者ギルドを出ると門に向かい門兵にギルドカードを見せて門を出ると何人かの冒険者も魔境ゴブリン森林に向かっておりその後ろから小走りで進みながら魔境に向かう


 何人かの冒険者パーティを抜かして進んでいくと偶にモンスターが草むらから出てくるがそれを蹴って吹き飛ばしながら魔境に着いた


 魔境に着くとヒスイを下ろしてから健康魔法を使い少し感じている疲労を取ってから魔境の中に入る


 「ナビィ、今日はレベルを上げたいから魔境の奥の方に行く。モンスターが出たら指示をお願いね」


 『ハルト、分かりました』


 ヒスイと一緒に魔境の奥に進みながら歩いて進む。モンスターが現れたらナビィの指示通りに戦闘を行いモンスターを倒していく


 ゴブリン以外のモンスターはアイテムボックスに収納してゴブリンは解体で狩猟証明と魔石を取り出して歩いていく


 時々ナビィからよく分からない植物の採取を頼まれ採取をしたりポーション作りに使う薬草類を採取を行いながら魔境を進んで行くとこの前よりも魔境の深い場所まで来れた


 『体力草や生命草、回復草が良く生えていますね。ハルト、採取をしていきましょう』


 「分かった」


 近くには体力草が群生しておりそれを採取していく。ヒスイにモンスターへの警戒を頼み体力草や生命草などの薬草類を採取していき一通り採取が終わるとこの場を離れる


 魔境の奥に来たからかそれなりに薬草類の群生地があったりして採取に時間を掛けたがそれでもモンスターの強さが上がり数も多くなってきているのかレベルが上がるのも早い気がする


 ナビィからもうそろそろ三の鐘が鳴る時間だと教えられて川を目指して進んでいくと離れた所から矢が放たれてきた


 放たれた矢は近くの木に突き刺さり矢が来た方向を見ると弓を持っているゴブリンがいた。ゴブリンは矢を弓につがえていた


 『ハルト、ハードシードで攻撃を!ヒスイはゴブリンの警戒をしてください!あの一匹だけではないでしょうから奇襲の警戒をしてください!』


 「分かった!……ハードシード!」


 昨日あれほど練習したからか思いのほか早く世界樹の棒の先からピンポン球くらいの硬い種を弓を持っているゴブリンに向かい真っ直ぐに飛んでいく


 それなりの速さがあったハードシードはゴブリンの腹に当たりゴブリンは腹を抑えながら蹲った


 俺がゴブリンにハードシードを放った時に草むらの茂みから剣を持ったゴブリンと棍棒を持った二匹の三匹のゴブリンが奇襲を掛けてきた


 『ハルトはハードシードで牽制しながらゴブリンの隙を見て硬化して硬くした世界樹の棒で攻撃をしてください!ヒスイは触手に酸を纏わせて攻撃しながら水魔法で作った水と酸を混ぜて放ってください!私は先ほどのゴブリンアーチャーを気配察知を使い監視します』


 奇襲してきたゴブリンたちにヒスイは伸ばした触手を振り回す様にして攻撃を行いそれが当たるとゴブリンの皮膚を酸で溶かしていく


 ヒスイの攻撃で怯んだゴブリンにハードシードを放ち痛みで動けなくなったゴブリンに駆け寄り硬化と重量を上げた世界樹の棒を振り下ろしてゴブリンの頭を潰して倒した


 俺がゴブリンを倒した時にヒスイは作り出した酸混じりの水の玉をゴブリンソードマンに放つがそれをゴブリンソードマンは躱したが玉は木に当たり弾けるとその弾けた水に当たり身体の皮膚を溶かして痛みで動けなくした


 そのゴブリンの首に触手を巻きつけ酸で溶かしながら首を絞めていく。そんなヒスイに向かい棍棒を持ったゴブリンが襲い掛かった


 俺はナビィの指示通りにヒスイを狙ったそのゴブリンに近づくと棍棒を持っている腕に世界樹の棒を当てゴブリンの手から棍棒を落とさせると腕を押さえるゴブリンの頭に棒を振りゴブリンの頭から鈍い音がしてゴブリンはそのまま動かなくなった


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