第50話

 異世界生活十日目 四月二十二日第四土の日


 スッキリと目を覚ましカーテンを開けると窓の外は薄暗いのを確認した。隣にいたヒスイを撫でながら朝のあいさつをする


 「おはよう、ナビィ、ヒスイ」


 『おはようございます、ハルト。ちなみにヒスイはまだ寝てますよ』


 ベットから立ち上がりコップに水魔法で飲める水を使いやすくした世界樹の棒を使用して水を出しコップの水を飲んで喉を潤す


 「ふぅ……昨日の朝の続きをやるか……ナビィ朝食の時間がきたら教えてくれ」


 『分かりました、頑張ってください』


 世界樹の棒を使いその先端から聖属性の力を周りに放つ玉をイメージして聖属性の魔力に魔力を変換して放出していく。聖属性に変換できる魔力も少ないがそれでも多くの魔力を使い変換していく事で聖属性の魔力を放出して集めていった


 集めた聖属性の魔力を玉状にしてそれにどんどん魔力を込めていくと遂に目で見ることができる様になるほど集めた聖属性の魔力の玉から聖属性の力が周りに放たれた。攻撃的なイメージをしていなかったので危険はなかったが力を放つ玉の近くにいるとものすごくかなり弱いがあの時にあった女神リフラスから放たれていた力に似ていた


 『聖魔法を取得できたみたいですね、ハルト』


 「ああ、やっぱりイメージするのが良かったのかもな。昨日ナビィが言っていたを二つ目の方法をやってみよう」


 『分かりました。けれど今のハルトの魔力では使用出来ないと思いますので魔力回復ポーションを飲んでからにしてください』


 「さっき魔法を使ったからなのか?」


 『はい、ハルトの魔力量が最大なら今のハルトでも一回は使う事が出来ますからね』


 ナビィからそう聞かされアイテムボックスから今持っている魔力回復ポーションを取り出して一気に飲む。飲めないほど苦くはないが顔を顰めてしまう


 「うっ……飲んだぞ、ナビィ……説明お願い」


 『分かりました。やり方は植物を出してその植物を種にするイメージですね。出すのならホワイトベリーにしましょうか。具体的には木属性魔力、生命属性魔力、聖属性魔力、死属性魔力で植物を包み込んで植物が分解してその分解した物が種になるイメージです。木属性3、生命属性2、聖属性3、死属性2で魔力を変換してください』


 「なるほどよく分からないけどやってみよう」


 アイテムボックスから野菜のホワイトベリーを取り出してナビィからの説明通りにホワイトベリーに向かいイメージをしてから一つずつ属性魔力に変換する。ほとんどの魔力を使い変換した複数の魔力を集めてそれでホワイトベリーを覆って包み込んでいく。包み込んでから少ししてホワイトベリーから光の粒子が出始めホワイトベリーが光の粒子に変わり始めた


 ホワイトベリーが完全に光の粒子に変わるとそれが一箇所に集まると光の粒子が光を放ちながら変わっていき遂に光が収まると覆って包み込んでいた魔力もなくなりそこにはホワイトベリーの種が五つテーブルに置かれていた


 魔法を使っている間は集中していたからよかったが終わると凄く疲れて椅子に座る


 「すっごい疲れたな」


 『ハルト、お疲れさまです』


 「ああ、それにしてもなんで種を作るのがホワイトベリーだったんだ」


 『私が食べてみたかったからです。八百屋の屋台で買ったホワイトベリーは魔境産ではなく魔力の薄い場所で作られた物ですからランクが低いので魔境で作ればランクが高いホワイトベリーが食べられますから』

 

 「ナビィが食べたかったからか……それにしてもホワイトベリーの種ってイチゴの粒々みたいなやつじゃなかったんだな」


 出来上がったホワイトベリーの種を見ながらナビィに言うと


 『ハルト、魔法で作った種は特殊で普通の種とは形が違くなりますしイチゴの粒は種ではないんですよ』


 「種が特殊なのは納得するけど。へぇー、イチゴの粒って種じゃなかったんだな知らなかった」


 そんな話を念話でしていると起き出したヒスイがこちらに来て膝に乗ってきた


 「おはよう、ヒスイ」


 乗ってきたヒスイを撫でながら魔力を使わない魔力感知や気配感知を同時に行いスキルのレベル上げをしていくと膝からテーブルにヒスイが移動して魔法の練習を始める様だ


 ヒスイが移動したので瞑想をして魔力を回復していくとしばらくしてナビィに念話で朝食の時間を教えてもらいヒスイと俺に健康魔法と浄化魔法を掛けてヒスイを抱き上げてから一階の食堂に向かう


 食堂にはサーシャがいて朝食を頼むと椅子にヒスイを置いて飲み物を取ってくる。コップに麦茶を入れてヒスイがいるテーブルに向かい椅子に座ると膝の上にヒスイが乗ってくるので撫でているとサーシャが朝食を持ってこちらにきた


 テーブルにサーシャがお盆に乗せている皿を置いていくと朝食はポトフとパンだった。忙しいのかサーシャは厨房に戻っていった


 『「いただきます」』


 朝食のポトフをヒスイに少し分けたりしながら食べていく。ヒスイには時々薬草の茎を収納から出してあげたりしながら朝食を食べ進めて最後に麦茶を飲んで食べ終わった


 「ふぅ……今日も食ったな。さてと行くか」


 朝食の食器を下げて二階の部屋に戻ると防具を装備していき部屋の鍵を閉めて一階に降りて食堂にいたサーシャに部屋の鍵を預けると大熊亭を出て訓練所に向かう


 門兵にギルドカードを見せて訓練所に向かう。今日もテントがあるがそれを避けながら訓練所の奥に向かいヒスイを地面に置く。ヒスイは魔法の練習をするのか水の玉を出して石の壁に向けて放っていく


 「ヒスイも練習を始めたみたいだし俺もやるか。ナビィ、風魔法のなんかアドバイスはあるのか」


 『風属性の魔力を集めてそこから風を出すイメージで大丈夫だと思いますよ』


 「それでいいのか。ならさっそくやるか」


 世界樹の棒を構えて魔力を送り先端から風が吹くイメージをしながら魔力を放出して放つとその魔力の中に今まで使った事がある属性魔力じゃない属性魔力がありそれを意識してその魔力に変換しながらその変換した魔力を集めていく


 魔力がなくなり始めるまで続けていくが魔法が発動しなかった。魔力が尽きかける頃には訓練所の入り口周りのテントから人が出てテントを片付けて出ていく人や俺やヒスイの練習を見ている人、ヒスイの様子を観察している人などいろんな人がいた


 魔力が尽きかけたので全力で走り始めて能力値の体力や敏捷を上げる練習をしていく。体力がなくなり始めるまで全力で走りその後は走っている間に回復した魔力を使い健康魔法で身体を回復してから瞑想を行い魔力の回復をする


 「やっぱり全力で走るのは疲れるな。動きたくなくなるし汗だくで服が汗でびっしょりになるし足が痛くなるしきつい」


 『強くなる為ですよ、ハルト。今から基礎の能力を上げておけば後が少し楽になりますからね』


 「はぁー……それでも少しなんだな。風魔法の取得、頑張るか」


 立ち上がり世界樹の棒を構えてまた魔力を変換していく。その間、ヒスイは魔力が少なくなったのか跳ねたり這ったりして早く移動できる様に能力の敏捷を上げる練習を始めた様だ


 そんな練習を昼食の時間になるまで繰り返し行い練習を行う。瞑想で魔力の回復をしているとナビィが念話をして昼食になると教えられるとちょうど町から鐘の音が鳴ったのが聞こえた


 「ヒスイ!こっちおいで」


 ヒスイを呼ぶと跳ねながらこちらに来ると俺とヒスイに浄化魔法を使い身体を綺麗にしていきヒスイを抱き上げて町に戻り始める。訓練所から出て門兵にギルドカードを見せて町の中に入る

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