第48話

 異世界生活九日目 四月二十一日第四水の日


 目を覚まし起きるとまだ窓の外は薄暗く今日も早い時間に起きた様だ。まだ眠いがベットから起き上がると隣で寝ていたのか気づかなかったヒスイに手をついてしまいグニュっとヒスイの身体の形を変えてしまう。慌てて離すと元の形に戻った


 「あっ、ごめんなヒスイ」


 ヒスイはそれで起きたのか身体から伸ばした触手でペチンとヒスイの身体についた腕をひと叩きして俺の膝に乗る。膝の上のヒスイを撫でながら朝の挨拶をして健康魔法と浄化魔法を使いスッキリしてからナビィに後どれくらいで一の鐘が鳴るのかを聞くと一時間くらいしたら鳴る様だ


 「じゃあ魔法の練習をするか」


 『今日は魔境には行かないのですか?』


 「あぁ、昨日も宿代三日分以上は稼げたからな今日と明日は訓練所で訓練をするよ」


 『そうですか』


 聖魔法の取得の為に聖属性の魔力を思い出しながら取り出した世界樹の棒に魔力を込めて棒から聖属性の魔力に少しずつ変換して放出した聖属性の魔力を留める


 魔力がなくなり始めたら瞑想をして魔力の回復を行い朝食の時間になるまで続けていく。その間膝の上にいたヒスイは桶に向かって作り出した生命属性の混ざった水の玉を操作しながら桶に入れる魔法の練習をし始めていた


 外から鐘の音が聞こえて朝食の時間になりヒスイを連れて一階に下りて食堂に向かう。食堂にいたサーシャに挨拶をして朝食を頼むとトーストしたパンにスクランブルエッグとベーコン、レタスを挟んだサンドイッチをヒスイに分けナビィの食レポを聞きながら朝食を食べていく


 『「ごちそうさまでした」』


 皿を下げに来たサーシャに今日も美味しかったと伝えて二階の部屋に戻ると防具を装備していき外に出る用意をする


 食堂にいるサーシャに部屋の鍵を預けて大熊亭を出ると門に向かい門兵にギルドカードを見せて訓練所に向かう。訓練所の中に入ると中にはテントが建てられていた


 「なんだあれは?」


 『ここで寝泊まりしている様ですね。昨日門が閉まる時間に間に合わなかった人たちなのでしょうね』


 (なるほどね。……俺も寝泊まり出来る様にテントを買っておいた方がいいのか?)


 『今のところ必要はないと思いますが買っておいても良いとは思いますが当分は買わなくてもいいと思います』


 「この人たちの邪魔にならない様に離れるか。ヒスイ行くよ」


 訓練所の入り口近くにテントで泊まっていた人たちから離れ奥に向かい火魔法の練習を始める。魔力は朝食を食べている間に回復した分も使って世界樹の棒を通して魔力を変換して放出していく。魔力がなくなると全力で走り途中ナビィに走るスピードが落ちると全力で走らされるが倒れる寸前まで走る


 ナビィが操るのをやめるとすぐに倒れ動けなくなりそれを走っている間に回復した魔力で健康魔法を使いある程度身体を回復させて瞑想をして体力と魔力を回復させる


 その繰り返しをしているとテントで寝泊まりをしていた者たちが起き出して訓練所から出て行く。たまに俺に話しかけ様としている人たちやヒスイに武器を向ける人たちもいたがヒスイは契約した仲間だと伝えると少数だが悪態付く人たちも居たがほとんどの者は納得して離れるかヒスイを触って良いか聞いてきた


 二の鐘が鳴る頃にいるなると訓練所は俺とヒスイ以外は誰も居なくなり広く使える用になった。広く使える用になり全力で走る他に長時間走れるように持久走も追加して昼食の時間まで繰り返していく


 三の鐘が鳴ると火魔法の練習をやめてヒスイと一緒に浄化魔法を使い身体を綺麗にしてからヒスイを抱き上げて昼食を食べに町向かう


 「昼食を食べるのはこの前に行った飲食店でいいか、ナビィ」


 『まだ食べていない料理もありましたからね。早く行きましょう!』


 人通りが多くなった大通りを通ってこの前来た飲食店に向かい中に入ると鐘が鳴ってから早く来たがもう客が数人いた


 「いらっしゃいませ……この前のお客さんだね。席は空いてるから好きに座って!」


 カウンターに座るとメニューを店員の少女が持ってきた


 (どれが食べたいんだ、ナビィ)


 『そうですね…………決めました!この大盛りベーコンパスタにします!』


 「これか……店員さん、いいですか」


 「決まりましたか?」


 「はい、この大盛りベーコンパスタでお願いします。飲み物は麦茶で。これ代金です」


 「大盛りベーコンパスタに麦茶ですね。少々お待ってくださいね。麦茶はすぐに持ってきますので」


 収納から出した料理の代金を店員に渡して料理を頼むとすぐに飲み物の麦茶が入ったコップを持ってきた。一口だけ麦茶を飲んで料理が来るのを瞑想しながら待っていると料理が来たようでナビィに念話をされた


 『ハルト!料理が来ましたよ!』


 目を開けるとちょうど料理を持った店員がこちらに来てカウンターに料理を置いた


 「お待たせしました。大盛りベーコンパスタです」


 カウンターに置かれたベーコンパスタはニンニクの香りがして食欲が湧いてくる。今日は朝から運動をし続けてお腹が空いているからかかなりの量のベーコンパスタを食べていく。ナビィの食レポによると大熊亭のベーコンパスタと比べても遜色ないらしく味も少し違っているらしい俺にはそんなに違いがわからないが


 ヒスイにもベーコンパスタを分けながら昼食を食べ終わり人が多くなり混んできた店をヒスイを抱えながら出てゆっくり広場を周りながらまた訓練所に向かう


 訓練所に着くとまた火魔法の練習を俺は始めヒスイは地面に突き刺さって立っている丸太に向かい身体を伸ばして作った触手を振るって粘体術の練習をしている様だ


 魔力がなくなってくるとまだ昼食を食べたばかりなので落ち着くまで瞑想をして魔力を回復してまた火魔法の取得を目指していく


 だいぶお腹が落ち着いたら瞑想をする前に世界樹の棒を重くして素振りを始める。この前に覚えた型で重くなった棒を振っていくと普通に形稽古をするよりも疲れが溜まっていく


 魔力がある程度回復をしたら健康魔法を使い回復後に魔力を完全に回復するまで瞑想をして回復した後に火魔法の練習をする


 太陽が傾いてきた頃に集めた火属性の魔力が火に変わり火魔法の取得が出来た


 「よし!ナビィこれは火魔法を取得出来ただろう」


 『おめでとうございます、ハルト。火魔法の取得が出来ていましたよ』


 「少し火魔法を使ってみよう」


 『訓練所の外に火が行かないように気をつけてくださいね』


 「わかった、気をつけるよ」


 火の玉を石の壁に飛ばすイメージをして魔力を世界樹の棒の先から火属性に変換して放出すると火属性の魔力が玉の形に成形されるとその火の玉は石の壁に向かい飛んでいく。飛んだ火の玉は壁に当たると壁に少し広がり消えた


 「火魔法で攻撃できる様になったけど火魔法での攻撃は素材が必要はないのなら使えるけどお金を稼ぐには余り使えないな」


 『普通なら火力は他の魔法よりも高いので使う人が多いですけど世界樹の棒がハルトにはありますからね。まあ、旅をするには重要な魔法になりますからね火魔法は』


 「火魔法の取得も出来た事だし棒術の形稽古を一通りしてから帰ろうか」


 『そうですね。夕食の時間になる五の鐘が鳴る前に大熊亭に着いて着替えれば鐘が鳴るくらいですからね』


 棒術の形稽古を一通り終わると日が暮れて薄暗くなってきた。訓練所を出て門兵にギルドカードを見せて町の中に入り大熊亭に向かい中に入る


 受け付けにはアイラが座っていた。アイラから預けた鍵をもらい部屋に戻るとヒスイと一緒に浄化魔法を使い綺麗にすると着ていた装備を手入れしてアイテムボックスに仕舞う

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