第43話
町から鐘の音が聞こえてきて魔力の放出をやめるとナビィが念話をしてきた
『昼食を食べに行きましょう、ハルト!』
「いいけど、何処で食べるんだ」
浄化魔法を使い防具や全速力で走ったことによりものすごく汗をかいた身体の汚れを落としながらナビィに聞いてみる
『薬師ギルドがある大通りを通る時に見つけた定食屋がありますからそこにしましょう。案内しますから!』
いつの間にそんな定食屋なんて見つけていたんだ?と思ったものの町に入りナビィの案内でその定食屋に向かう昼時だからか広場は賑わっており人と接触しないようにしながら薬師ギルドのある大通りを通る
『ありましたよ。左側を見てください』
左側を見ると確かに飲食店の看板が掛かっているのがわかった。定食屋の中に入るとそこそこの人数がテーブルにいて昼食を食べていたりしていた
「いらっしゃいませ。何名様ですか」
「一人ですけど従魔は大丈夫ですか?」
「小型の従魔なら大丈夫ですよ。それでは席に案内しますね」
ヒスイを抱えながら今の俺と同い年くらいの少女が給仕をしており案内された席に座りヒスイを膝の上に置くとこの店のメニューを渡された。店員は渡したメニューの内の一つを指差した
「お客さん、この店は初めてですよね。この店のおすすめはボアステーキですよ」
「そうなんですか?」
「はい!」
この店の店員がおすすめするくらいだし美味しいのだろう
(店員がおすすめするくらいだからそれにしようと思うけどナビィもそれでいいか?)
『はい!それでいいですよ。楽しみですねステーキ!』
「じゃあそれで」
「はい!ボアステーキ一つでいいですね。後で水をお持ちしますので少々お待ちください」
そう言って店員は厨房に行ってしまった。メニューを眺めながらナビィと念話で会話をしているとさっきの店員が水の入ったコップを持ってやってきた
「はい、お水です」
「ありがとうございます」
水を一口飲むとこの水はポルゴ水だった。口の中がさっぱりしながらメニューに載っているボアステーキの代金を収納から出してステーキを待っているとようやくお盆に乗った皿を持った店員が俺の席に向かってきた
「お待たせしました。ボアのステーキです。ソースはお好みでお掛けください。代金は」
「これ代金です」
「ちょうどですね」
お盆に乗せた皿を目の前のテーブルに乗せた店員は他の客に呼ばれてそちらに向かった
『「いただきます」』
まずはソースを付けずにナイフで切り分けたステーキを食べる。味は豚肉に似ている味で歯ごたえがあり弾力があるが肉の甘さや旨味が味わえる
「美味いな」
『そうですね!肉に臭みもなくこのモチモチとした噛みごたえもあり油っぽさもなくて美味しいです!』
よく噛んで味わいながら膝の上にいるヒスイにも切り分けたステーキを食べさせてあげる
「次はソースを使ってみるか」
ソースが入っている小さな器に付けて食べる。食べた肉に絡まったソースは醤油にタマネギやニンニクが使われているのか口の中に入れて噛んでいるとよくわかった
「ソースを使う方が俺は好きかな」
『タマネギの甘みやニンニクと醤油の香りがいいですね。ボアのステーキによく合います!』
つけ合わせの茹でたジャガイモやニンジン、ブロッコリーを食べながら分厚いボア肉のステーキを食べて満足する量でお腹がいっぱいになった
『「ごちそうさま」』
「ふぅ……食ったー」
『かなり量がありましたね』
(そうだな。水を飲んでそろそろ行くか。人も多くなってきているし)
ポルゴ水で口をさっぱりしてからヒスイを抱え上げて席を立ち店を出るとゆっくりと広場にある市場を眺めながら訓練所に向かう。訓練所の中に入るとやっぱり訓練所には人がいなく伸び伸びといろんな事が出来そうだ
「ナビィ、流石に今は走れないぞ。きっと吐く」
『実戦だと食後に敵襲があると思いますからそうなった時の為に走る訓練もしておきたいのですけどやめときますか。お腹が落ち着くまで火魔法の練習ですね』
食後に走る訓練を使用としていたのかよと思ったが今日はやらない様なので世界樹の棒に魔力を流して火魔法を使う訓練から始める。その間にヒスイは早く移動できるように敏捷上げる訓練をしているようだ。そんなヒスイの様子が視界の端に映るなか魔力が尽き掛けてくるまで火魔法の訓練をする。魔力がなくなって瞑想で魔力の回復を促進して満タンになるまで魔力が貯まると火魔法の訓練と繰り返していると町から鐘の音が鳴り始めた時に一息つく
「もう三時になるのか」
『四の鐘が鳴りましたからね。ハルト、魔力が回復するまでの間は棒術の訓練をしましょう』
「わかったけど素振りでもすればいいのか」
『はい、私が棒術の型をハルトの身体を使いするのでハルトはその型を真似して訓練してください』
「わかった。じゃあ身体を使っていいぞ、ナビィ」
ナビィに身体を預けるとナビィが世界樹の棒を使いゆっくりと棒術の型を行っていく。ゆっくりとしている型を身体で覚えていく。ナビィから身体を返されて先ほどの型をゆっくりと再現していく。間違えているとナビィから指摘が入るがそれも少しずつなくなって魔力の回復が終わった頃には一通りの型を間違えることなく出来るようにはなってきた
「だいぶ出来てきたな」
『そうですね。少しぎこちない時もありますけどちゃんと出来ていますよ』
魔力が貯まったので火魔法の訓練をまたしていく。その間ヒスイは敏捷の訓練をやめて水魔法を使い魔法の訓練に使っても大丈夫だと看板があった石壁に向かい水で作った玉放っていた。日が暮れるまで訓練を続けたが火魔法の取得は出来なかった
『ハルト、日も暮れてきましたから今日は帰りましょう』
「そうだな。今日は帰ろうか。ヒスイ帰るぞー」
離れているヒスイを呼び戻して一緒に大熊亭まで帰る。今日は一人で訓練所を使えたのはラッキーだったなと思いながら門兵にギルドカードを見せて町の中に入り大熊亭を目指す。大熊亭に入るとサーヤが受け付けをしていた
「あっ!おかえり、ハルトお兄ちゃん!」
「ただいま、サーヤちゃん。部屋の鍵をお願い」
「ちょっと待ってて!」
サーヤが部屋の鍵を取ってくる姿を見守りながら待っていると鍵を持ってきたサーヤに鍵を渡された
「はい!ハルトお兄ちゃんの部屋の鍵!」
「ありがとう。サーヤちゃん」
「うん!」
「じゃあ部屋に戻るけど今日も一緒に夕食を食べようか」
「うん!今日はウサギのシチューだって」
「ウサギのシチューかこの前も美味かったな。部屋に行くよ」
「後でね!」
二階にある部屋に戻ると浄化魔法で身体も装備も綺麗にしてから防具を手入れしてアイテムボックスに収納しているとヒスイがピョンピョンと前で跳ねている。その様子を不思議に思っているとナビィが念話をしてきた
『ハルト、ヒスイがお腹減ったそうですから薬草の茎を上げてください』
「なんだお腹空いていたのか。ちょっと待ってくれ、ヒスイ」
今、アイテムボックスにある薬草類の茎を取り出してヒスイに渡してあげる。ヒスイは渡した薬草の茎たちを取り込んで消化していくのが外から見える
まだ夕食の時間まで時間があるのでその間にテーブルに二つの桶を出して水魔法の練習をする。小さい方に水を張りそれを操り大きな桶の方に水を移動させていく
そんな練習をしていると薬草の茎の消化が終わったヒスイがテーブルに跳ねて乗る。乗ったヒスイは大きな桶の中に入り水の中に入るとヒスイも水魔法を使って水を操り水の支配権をお互いに引っ張り合いが起こった
『ハルト、そのままヒスイとその水の支配権を奪い合ってください。そうすれば普通に練習するよりも効率よく水魔法の練習になりますから』
ナビィから念話でそんな事を聞きながらヒスイと水魔法の練習をしていくと鐘の音が外から聞こえて来て練習を終わりにする
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