第42話

 仕分けた下級回復ポーションを箱に入れてその箱と砂時計を持って受け付けに向かう。受け付けカウンターに箱を置いて薬師ギルドカードを取り出して一緒に置く


 「これ買い取りと調合スキルの取得が出来たので更新をお願いします」


 「かしこまりました。少々お待ちください」


 そう言って薬師ギルドの職員は奥に向かい町に入る時に使った結晶を持ってこちらに来た。結晶を渡されて職員に質問される


 「今からする質問に答えてください。貴方は調合スキルを取得しましたか」


 「はい、取得しました」


 そう答えると結晶は青く光を放った。それを職員は確認すると仮の薬師ギルドカードを受付の隣にある魔道具を使い操作し始めた。操作が終わったのか仮が消えた薬師ギルドカードを渡された


 「これで貴方も正式に薬師ギルドの一員です。今からこちらのポーションの買い取りをしますがランクがDランクではないと買い取りは出来ませんからご容赦ください」


 「はい」


 渡された結晶を職員に返して職員は結晶とポーションが入っている箱を持ってまた奥にいった。それからしばらくして職員は戻ってきた


 「下級回復ポーションすべてがDランクでしたので買い取りができます。下級回復ポーションの買い取りの値段が1本につき銀貨八枚ですから36本で大銀貨二枚、銀貨八枚、大銅貨八枚ですね。買い取っていいですか?」


 「はい、大丈夫です」


 そういって受け付けの引き出しからお金を出してカウンターに置いたのを受け取る。薬師ギルドを後にしようとした時に職員はヒスイの事を聞いてきた


 「お待ちください。お聞きしたい事がありまして……そちらにいる貴方のスライムはヒールスライムではないでしょうか」


 「そうですよ」

 

 「やっぱり!それで出来ればそのヒールスライムを譲って貰いたいのですが」


 この人は何を言っているんだ。譲るわけがないだろ


 『ハルト、ヒールスライムの素材はポーションを作るのに重要な素材になりますからそれでだと思います』


 「譲る事はできませんよ」


 「やはりそうですよね。ではヒールスライムの素材の買い取りをしたいのですけどそちらはどうですか」


 スライムコアをよこせとかだったら断るぞ


 「どの素材ですか」


 「ヒールスライムのスライムウォーターとスライムジェルをお願いしたいのです」


 「スライムウォーターとスライムジェルですか」


 『ヒスイに頑張って貰えれば両方ともヒスイなら作る事ができますよ』


 「ヒールスライムウォーターがポーション瓶で金貨一枚、ヒールスライムジェルはポーション瓶で金貨二枚での買い取りでどうでしょう」


 そんなにするのかよ。ヒスイが作ることが出来るから取り放題とはいかなくても凄い稼ぎになるなこれ


 「こんなにするんですか」


 「はい、上級回復ポーションの素材になりますからね。ヒールスライムはこれがコアの値段ですと白金貨一枚になりますよ」


 「ほんとですかそれ」


 「はい、本当ですよ。それで買い取りどうですか?」


 あの時にヒスイと会えたのはものすごく運が良かったのか


 「うーん(ナビィ、ヒスイに作れるのか聞いてくれ)」


 『わかりました…………作れるそうですよ。流石に今日はもう作りたくはないそうですが』


 まあ、今日のポーション作りに頑張って作ってくれたもんな


 「次に来る時でいいですか?」


 「構いません。それならばウォーターが十本、ジェルが五本でいかがですか」


 「わかりました」


 「本日はありがとうございした。またのお越しをお待ちしています」


 その後ヒスイを連れて薬師ギルドを出て広場に向かう


 (ナビィ、そういえば今って何時なんだ)


 『十時半頃ですね。ハルト!ストップ』


 ナビィが念話の音を上げた事がいきなりの事で少し驚いたが立ち止まる


 (いきなりどうしたんだ?ナビィ)


 『ほら右の屋台の看板にあるのは牛乳ですよ!買いましょう、ハルト!』


 (別に買わなくてもいいんじゃないか)


 『いえ!牛乳は健康にいい飲み物なんですよ!アイテムボックスに入れておけば腐ったりしないのですから買いましょう』


 (そんなに飲みたいのか、ナビィは)


 『飲みたいですしハルトの身体を丈夫にしてくれますよ』


 (はぁー、わかった。買うよ)


 牛乳が売っている屋台に行き店主に値段はいくらなのかと聞くと一リットルくらいの瓶で銀貨一枚らしい


 (高いぞ、ナビィこの牛乳。それで何本買えばいいんだ)


 『五本でお願いします』


 (わかった)


 五本の牛乳をその屋台で買って人が見えない場所でアイテムボックスに収納して大熊亭に帰ると受け付けにいたアイラに鍵を貰って部屋に戻り探索する為の装備に着替えていく。着替え終わったら部屋の鍵をアイラに預けて大熊亭を出る。門にいる門兵に冒険者ギルドカードを見せて門を出るとすぐ近くの訓練所に向かう


 「ここが訓練所か……いつも通り過ぎるだけだからな」


 外を木で出来た格子で囲み魔境側には土嚢や石壁が積んであるのが見える訓練所に入る中に入ると訓練所を使っている人はおらず人が一人もいない


 「誰もいないな」


 『自由に使えるという事でいいんじゃないですか』


 「それで何をやればいいんだナビィ」


 『新しい魔法の取得をやりましょうか。ちょうど人もいませんからね。ハルトが訓練所にいる間にヒスイにも鍛練して貰いますから頑張りましょうね』


 その念話はヒスイにも聞こえていたのかピョンピョンと跳ねてヒスイもやる気があるのがわかる。俺も新しい魔法の取得をするのはちょっと嬉しいなと思いどうすればいいのかをナビィに聞く


 「わかったけど何の魔法を使えばいいんだ」


 『室内での取得が難しい火魔法にしましょうか』


 「まあ、部屋で使ったら火事になったりするかもしれないしな」


 『はい、火を使えばいいのですけど訓練所で使っていいのかわかりませんので難易度が高いですけど魔力を放出して魔力が火になるイメージをしてみてください。それで取得をできますから』


 「わかった」


 石壁のある場所に向かい壁に向けて世界樹の棒を向けると棒の先から魔力が火に変わるイメージをして魔力を放出していく。ただ魔力を放出するのではなく放出した魔力をその場に留めながら放出する。留められた魔力は霧散していくが放出する魔力の方が多い為か少しずつその場に留まっている。それでも魔力が多くなるとその場に留めるのが難しくなっていき魔力が霧散するが留める魔力の量を減らしていくうちに霧散する魔力の量が減ってきたのが魔力感知でわかる。魔力量が二割になった時にナビィに止められた


 『魔力が回復するまでは走りましょう。この訓練所の中を。あっ、魔力の回復の為に魔力を魔脈に流さないでくださいね』


 「敏捷をあげるためにこれをやるのか」


 『そうですよ。ですから常に全力で走ってくださいね。走れなくなったら瞑想スキルを使って魔力を回復してまた火魔法の練習ですね』


 「全力で走るのかキツそうだな」


 『ハルトが途中で走るスピードが落ちたら私が操りますから安心して走ってください。気絶するまではしませんからね』


 「そんな事本当にするのか。ナビィ、冗談だろう」


 『しますよ。強くなる為に頑張ってください。ほら、走る!』


 ナビィがいきなり身体を操り走らされる。途中からは身体の操作をナビィから返されたが少しでもスピードが落ちてくるとまた操りを繰り返されて限界がきたのがナビィにはわかっているのかその時に健康魔法を少し使い回復してから瞑想スキルを使う様に言ってくる


 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


 『少し健康魔法で回復したのですから瞑想をしてください』


 「はぁ、わ、わかっ……たよ」


 少しでも体力を回復する為にも瞑想をして魔力を回復していくと魔力の回復が終わる頃には体力もだいぶ回復した


 「次は火魔法だな」


 『昼食の時間まであと少しですから頑張ってください。午後からは全力疾走はありませんからね』

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