第39話

 昼食前に狩ったモンスターの解体が終わり浄化魔法をヒスイと自分自身に掛けて町に帰る準備をしていく


 「今日は魔境を通って入った入り口から町に帰るか」


 『そうですね。どれくらい魔境で稼げるかでスキルや能力の鍛練をする日を作るかを考えましょう』


 川岸を歩きながら川を遡って上流に向かい魔境に入る。魔境に入った時にガサゴソと草で覆われた茂みが動き警戒するとそこからヒスイよりも色の濃い緑色をしたスライムが現れた


 『ハルト、そのスライムはグリーンスライムです。レベルは9です』


 「ヒスイ!酸で攻撃してくれ」


 『ハルト!スライムには酸での攻撃は種族的にあまり効きません。水魔法でヒスイには攻撃する様に指示しておきましたからハルトも遠距離で攻撃をしてください』


 そうかスライムに酸は効きにくいのか。知らなかった。ナビィがヒスイに指示した通りにヒスイは水の球を作り出して攻撃していた。それを見て俺もグリーンスライムに石を取り出して投げて攻撃する。グリーンスライムもただやられているわけじゃなく酸を飛ばしてきたり攻撃を回避しようとしたりしていたがとうとう攻撃を受けすぎて自身の形を保てなくなりコアが表面近くに出てきた


 「よし、スライムコアが出てきたな」


 『グリーンスライムのコアはスライム寄りも高く売れると思いますから傷をつけずに取りましょう』


 俺とヒスイは弱って形が保てないグリーンスライムに近づいていく。グリーンスライムも最後の抵抗だと酸を飛ばしてきた。俺はそれを回避したがヒスイはそのまま進んでグリーンスライムのコアを触手を伸ばして奪い取った。グリーンスライムはゼリーを撒き散らして倒された

 

 「それにしてもスライムには酸が効きにくいなんて知らなかったな」


 『私も言ってませんからね』


 「ヒスイのステータスのスキルにも酸耐性なんてなかったよな」


 『はい、ありません。酸を普通に使う種族ですから種族的に効きにくいだけですね』


 「そういったモンスターも今後は出てくるのか。それでナビィ、今後はヒスイへの指示をお願いして良いか」


 『構いませんけど何でですか』


 「俺が知らない事も多いからそれに戦闘をしている時にそんな指示なんて出来そうにないからだよ」


 さっきの戦闘でも知らない事で間違った指示を出してしまったし今後もっと強いモンスターとの戦闘になったら自分の事で精一杯になりそうだしな


 「それにしてもヒスイ、最後に酸を浴びてたけど大丈夫か」


 プルンピョンと身体を震わせ飛び跳ねているヒスイに声を掛けるとナビィが通訳してくれた


 『あれくらいへっちゃらだよ……だそうです』


 「大丈夫そうならいいけど回復ポーションを使うか?苦いやつだけど」


 そう聞くとヒスイは凄くプルプルと震えている


 『ポーション、欲しいそうですよ』


 「じゃあポーションを掛けるから動くなよ」


 茎製の初級回復ポーションを取り出してヒスイに掛けていくとヒスイは形を変えてお椀の形になりポーションがそこに溜まっていく。それをヒスイは覆う様に身体の形を変えて包み込んでプルプルの身体に取り込んでいく


 「いつ見ても不思議だなヒスイのポーションの飲み方」


 『あのやり方が飲みやすいのでしょう。それにもう初級回復ポーションは無くなっちゃいましたね』


 「明日は薬師ギルドでポーションの生産をしないとな」


 今日の朝に入った魔境の入り口まで取りこぼしのあった薬草の採取やモンスターを倒しながら進んでいき入り口まで着いた頃には太陽の傾きが進んであと少しで夕暮れになりそうだ


 「ここからは走るか」


 『そうですね。だいぶ日が傾いていますから』


 プルプルと震えているヒスイを送還して門まで走って進んでいく。門までの間モンスターが襲ってきたがラットだった為走っている勢いで蹴り飛ばす事でラットは遠くに飛んでった。門に着く頃には夕暮れになっていて門兵に冒険者ギルドカードを見せて町に入る


 『それにしてもハルト。アイテムボックスから解体したモンスターを入れている袋を出して無いですけどいいのですか?』


 日暮れになると思って走っていたから思いっきりそんな事忘れていた


 (忘れてた)


 『忘れていたのですか。まあ、私もさっき思い出したのですけどね。こっそりと収納から出しましょうか。人が見ていない時を教えるので出しちゃってください』


 (わかった。タイミングが来たら教えてくれ)

 

 解体場に向かい歩いている時にナビィが教えたタイミングで収納から袋を出して少し周りに怪しまれた様だがそのまま何食わぬ顔で解体場に入っていった


 解体場はかなり混雑しておりたくさんの解体したモンスターが入っている袋はかなり重く列に並んでいる間苦労したがやっと自分の番がきた


 「本日はどんな御用件でしょうか」


 「これをお願いします」


 持っていた袋を受け付けカウンターに置いて依頼書を渡す。受付嬢は渡された依頼書を受け取り木札をこちらに渡してきた。後は自分の番号が呼ばれるまで待つだけとなり受け付けから離れて番号を呼ばれるのを待つ


 「八番の方どうぞ」


 「俺の番号だな」


 呼ばれた受け付けにいき達成のハンコが押された依頼書を受け取り買い取りの素材の代金と渡した袋の代わりの綺麗な袋を受け取って冒険者ギルドに向かう


 冒険者ギルドもかなり混雑しているがどこも列の並ぶ人数は同じくらいだからセシリアの列に並び自分の番がくる


 「ハルトさん、どうでしたか今日の依頼は」


 「達成できましたよ。これを」


 ハンコが押された依頼をセシリアに渡すとセシリアは依頼書を確認して依頼達成の報酬を用意する


 「これが依頼の報酬ですね」


 「ありがとうございます。忙しそうですので今日はもう行きますね」


 セシリアに挨拶をしてから冒険者ギルドを出て大熊亭に帰る。大熊亭に着き中に入ると受け付けにはアイラがいた


 「ハルトさんですかお帰りなさい」


 「アイラさん、ただいまです」


 「今、外からの帰りですか?」


 「はい、じゃあ着替えてきますね」


 「今日の夕食はウサギの揚げ焼きですよ」


 「美味しいですね。楽しみです」


 アイラとの会話を終えて鍵を貰い二階にある部屋に戻る。部屋に戻るとヒスイを召喚してヒスイと一緒に浄化魔法を使い防具も含めて綺麗にしていく。綺麗になった防具の手入れをしてからアイテムボックスに収納していく


 「ナビィ、後どれくらいで夕食の時間なんだ」


 『時間は後三十分もないですね』


 「そうなんだ」

 

 ヒスイを抱えて椅子にヒスイを置いて時間の限り回復ポーションの下準備の為のペーストを作る作業をする為にテーブルに調合器具を出していく


 調合の下準備の用意が終わるとヒスイがテーブルに飛び乗ってきた


 「ヒスイ、茎は食べていいけど邪魔するなよ」


 そう言うとヒスイはプルンと震えているのが視界に入る。生命草を出して茎と葉っぱに分けた後に茎はヒスイに葉っぱはすり鉢に入れて擦る枚数が貯まったら擦ってペーストを作るを繰り返していると鐘の音が外から聞こえてきた


 「夕食の時間だな」


 『そうですね。今日はウサギの揚げ焼きだそうですけど美味しいのでしょうね。楽しみです』


 「そうだな」


 擦り途中のすり鉢をアイテムボックスに入れて手や調合に使った道具ついでにヒスイも含めて浄化魔法を使って臭いや汚れを綺麗にする


 「ヒスイはどうする。ここで生命草の茎でも食べているか?」


 ヒスイはプルンと震えている


 『一緒に来るそうですよ。後ウサギの揚げ焼きを食べさして欲しいそうです』


 「あげても少しだけだぞ」


 プルプルとヒスイは身体を震わせているのが見える


 『それで言いそうです』


 「じゃあ行くか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る