第5話

「さて、君をこの世界に呼んだのは、僕が君を気に入ったからなんだ」


「なぜ気に入ったのですか?」


「初めてあのスキル<英雄等価>を発動させたのが、どんな子かなって気になって見てたんだけど、見ているうちに君のことがすごく気に入ったんだ」


「だから、僕の世界に来て欲しいって思って呼んだんだ。来てくれてよかったよ」


「こちらこそ。あの提案がなければ俺はシアとの約束を果たすことができませんでしたので、ありがたかったです」


「それなら呼んだ甲斐があったね」


「じゃあ君が転生する世界について、簡単に説明するよ」


説明をまとめると、

1.転移する世界の名前は「アドラス」


2.ステータスと呼ばれる、名前や職業、スキル、能力値など、自身にまつわる情報が表示されるシステム


3.魔法は、火、水、風、土、光、闇、氷、雷、空間、特殊に分類される


4.魔物が存在する


5.人族以外に獣人、エルフ、ドワーフ、魔族の種族に分けられ、総称として人類と呼ばれる


6.暦はテルがいた世界と全く同じの太陽暦であり、1月、2月、3月……12月と呼ぶ



「簡単に説明すると、こんな感じかな」


「改めて聞くと、俺の世界と違うところが多くて別の世界なんだって思いますよ」


「まぁ、全ての世界が同じだったらつまらないしね」


「じゃあ、君に加護をあげよう。と言っても、その人の魂の器にもよるんだけどね」


「あ!なら私のもあげるわ」


「私も」


「俺のもやるよ」


「私のもあげましょう」


「ちょ!みんなあげられるわけじゃな……嘘…全員の加護が定着してる」


他の神たちも加護を与えようとしてアルカナが焦るが、どうやら普通はもらえないし、全員のを与えられない加護が全部受け取ることができたようだった。


「……やっぱり」


そんなつぶやきが聞こえた気がしたが、みんなの興奮した声でかき消されてしまった。


「全員の加護をもらえた事にはびっくりさせられたけど、それは置いておこう」


「よし!これでだいたいの説明は終わったし、君をアドラスへ送るとしようか」


「はい、お願いします」


「うん、気をつけてね。向こうに着いたら、ステータスを確認するといい」


そう言うと、意識が遠くなっていった。


「あ、まずい」


そんな声を聞きながら。


ちょっ!




◇ ◇ ◇




意識が浮上する。


上体を起こし、周りを見回す。

気がつくと知らない薄暗い部屋にいた。


というか最後の声、めっちゃ嫌な予感するんだけど。


「………?」


立ち上がると、ふと違和感を覚える。


視線がいつもより低い?


「あれ?なんか若返ってる?」


手のひらや甲を見て、なんとなく肌が若返っている気がした。




とりあえず気にせず、ステータスを確認することにした。


「ステータスってどうやったら確認できるか聞くの忘れたな」


「ステータス!………」


何も起こらない。ちょっぴり恥ずかしい。


「ひらけステータス!………」


「オープン・ザ・ステータス!……」


「どうすれば見れるんだぁ」


羞恥心により項垂れながら愚痴る。


〈ステータスオープン〉


悩んでいると突然、頭に浮かんできた。


「これを言えばいいのか?……ステータスオープン。お!出た」


テル・ウィスタリア LV.1


種族:天魔族

性別:男

職業:

年齢:17


HP 300/300

MP 480/480


筋力:120

耐久:180

俊敏:200

器用:150

知力:250

幸運:8


エクストラスキル

[言語完全理解][完全記憶][創造][神の瞳][無限収納] [星々の書庫][獲得経験値上昇 極][必要経験値1/2]


ユニークスキル

[剣神LV.1]

[焔魔法LV.1]

[槍聖LV.1]

[魔力支配LV.1]

[時空魔法LV.1]


スキル

[全属性魔法LV.1]

[身体強化LV.1]

[魔法攻撃力上昇]

[気配察知LV.1]

[魔力察知LV.1]

[気配遮断LV.1]

[料理LV.20]

[緑の手LV.1]

[商才LV.1]


称号

[転移者][神々の加護を受けし者][人間をやめた者][アルカナのお気に入り]


加護

[最高神の加護]

[生命と豊穣の神の加護]

[戦と魔導の神の加護]

[武と鍛冶の神の加護]

[商業と娯楽の神の加護]




頭を抱えたくなった。


「なんで…なんで種族変わってんだ!?しかも、やっぱり若返ってるし」


ハァ〜。長く疲れたようなため息が出た。


「…仕方ない、一個一個確認していこう」


天魔族

高次元生命体。1人で神に匹敵す るだけの潜在能力を秘めてる。天使と魔族のハーフではない。


エクストラスキル

1000万人に1人の希少度。ユニークスキルの上位互換でかなり強力。

エクストラスキル>ユニークスキル>スキル


創造

万物をイメージし、造ることができる。ただし、構造理解してなければ作ることができない。スキルや魔法を作ることもできる。


神の瞳

神から賜った贈り物。魔眼の上位互換。魔眼の有する能力を全て有し、あらゆるものを見通し、看破することができる。千里眼や心眼、魔力視 etc…


無限収納

異空間に物体をしまっておくことができる。容量は無限で、中の時間は止まってる。ただし、生き物入れることができない。


星々の書庫

所有者の持つ知識を含め、アドラスにまつわる情報を検索できる。


剣神

剣術<剣聖<剣神の順に覚醒する。剣術が神の域に達したものが得られるスキル。


焔魔法

火魔法の上位魔法。火魔法とは比べ物にならないくらい威力が高くなる。


魔力支配

魔力操作の上位互換。LV.が上がるごとに支配力と範囲が上がる。


時空魔法

時間と空間の魔法が統合したもの。LV.に依存する。


全属性魔法

全基本属性のすべての適性がある。特殊魔法は別。


気配察知

気配を察知できる。LV.に依存する。


魔力察知

魔力の流れがわかる。LV.に依存する。


緑の手

植物を育てるのが上手くなる。野菜や果物などを作れば、豊富に取れるようになる。LV.が上がるごとに育てている植物の品質が向上していく。


商才

商売の才能が上がる。



「ん?何か無限収納の中に入ってる?」


手紙みたいだな。なになに…


『やっほー!無事に着いたみたいだね。ちょっとうっかりで転送先間違えたけどごめんね。無限収納の中にプレゼントあげるから許してw 神の瞳を使って鑑定するといいよ。ステータスについては、その君の才能と僕たちが与えた加護のちからによるものだからね。種族については、僕たちも想定外なんだ。まぁ、あまり気にしなくていいよ〜。それじゃあね〜』



「マジか…」


やっぱりあの時ミスったのか。


「ハァ、とりあえず無限収納の中確認しようか」

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