第4話

「お主、他の世界に転生しないかの?」


「…転生ですか?」


「そうじゃ、お主には迷惑をかけてしまったからの」


「それにさっきも言った通り、上位神の方がお主を気に入ったらしいのじゃ。ぜひ、自分の世界に来て欲しいとおっしゃってるんじゃ」


「…ありがたいのですが、俺にはもう生きる理由がありません。ですから、その提案はお断りさせて下さい」


「やはりそうか……すまぬなテルよ」


「どうして神様が謝るのですか?」


「これは儂の自己満足なんじゃがテルよ、あの娘との約束を守ってはくれぬか?」


「ッ!………卑怯ですよ神様」


「すまぬ…お主には幸せに生きて欲しいんじゃ」


目を瞑る。


「…………………わかりました。俺にもう一度シアとの約束を守るチャンスを下さい」


「ありがとう…儂の我儘を聞いてくれて。では、お主を上位神の方の元に送る」


「はい、神様あまり自分を責めないでください。お元気で」


悲しそうにこちらを見る神様に伝える。


「うむ、こちらこそ迷惑かけてしまったの」


「向こうでは幸せに生きなさい。では、送るぞ」


神様のこちらに向けた手から光が放たれたとたん、意識が遠のいていった。





◆ ◇ ◆




「………ぃ……ーい……おーい」


「ん」


「あ!起きたみたいだね」


目を覚ましすと、草の上に倒れているようで体を起こすと、自分の目を疑った。


そこには、雄大な自然が広がっていた。


「ここは?」


立ち上がりながら、ふと漏れたつぶやきに返事が返ってきた。


「ここは、僕が作り上げた世界だよ」


後ろを振り返るとそこには150cmくらいの青く澄んだ色の髪を持った今まで見た女性たちとは次元の違う美しさを持った、ボーイッシュな女の子がいた。


「やあ!初めましてだね、テル・ウィスタリア君」


「僕の名前は、アルカナ・ティルターニア。気軽にアルって呼んでね!」


思っていたよりもずいぶんフレンドリーな神様だな。


「堅苦しいのはあまり好きじゃないしね!」


「私たちとしてはもう少し最高神としての自覚を持って欲しいんですけどね。」


「うわ!」


いつのまにか横に金髪の綺麗な女性が現れたことに驚いた。


「うふふ、そんな反応されるのは久しぶりで嬉しいですね」


「下界の子供達が神の気配を感じ取れるはずがないんだから当たり前でしょ」


金髪の女性がテルを驚かせたことを嬉しそうに言うと、薄紫色の少しウェーブかかった髪のスレンダーな女性が、呆れたように返しながら現れた。


「ガッハッハッハ!そいつがアルカナが言っていたやつか」


「そう見たいですね。いやぁ〜ずいぶんイケメンな人やなぁ」


それに続くように現れたのは、肌黒のマッチョな男とちょび髭を生やしたふくよかな男が現れた。


「全員揃ったみたいですね、では自己紹介といきましょうか」


「私は、生命と豊穣の女神、アフロディーテです。アディって呼んでくださいね」


「私は、戦と魔導の女神、アルテミスよ。テミスって呼んでいいわ」


「俺は、武と鍛治の神、ヘファイストだぜ」


「私は、商業と娯楽の神、ヘルマンです」


「僕がこの世界の最高神で超越神だよ、よろしくね〜」


一番若そうなこの神様が最高神?その上、超越神って、まだあの爺さんの方が超越神っぽかったよ。


「だから言ったじゃないですか、もう少し威厳を持って下さいって」


「いいんだよ、こっちのが性に合ってるんだから」


アディはため息をついた。何度か言ってるみたいだけどダメみたいだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る