とりあえず、文字数を天元突破したい、あなたへ
和泉鷹央
創作を楽しもう
日々、小説を書かれている皆様お疲れ様です。
久しぶりのエッセイとなりますが、今回は短い時間で多くの文字数を執筆したい、と考えている方向けの内容です。
お付き合いの程よろしくお願いいたします。
〇上手く書こうとしていないか?
いきなりぶっこんだ内容ですいません。
皆様、日々どれくらい作品の執筆をされるでしょうか?
Twitterなどで、「日次1万文字!」とか、「今日は3万書いた!」とか、「徹夜して10万字やった!」とかいろんな声を目にします。
これについて1つ考えてみたいのが、
『それは何時間かけて書いたんですか!?』
……と、いう点です。
例えばつらつらと、1時間300文字くらい書いたとしても、なんだかんだで24時間頑張ったら、7千文字くらい達成可能なんですね。
いやまあ、これは体力的な意味でも、精神的な意味でもとても負荷が強いと思うので、さすがに真似するのはお勧めしません。
さらに考えなければいけないことは、
『その文字数は、推敲しなくていいんですか?』
『完成原稿なんですか!?』
とか、気になりませんか?
私は気になります。
もちろん、前述した『それは何時間かけて書いた?』という点も重要な考察ポイントだと思います。
〇一日に、1万文字は達成できる
乱暴な物言いをするようですが1日に1万文字を書くことは可能です。
このエッセイも3,000文字程度で構成しておりますが、大体15分ぐらいで書いてます。
場面と状況とキャラクターの台詞をあらかじめ書くことによって(脚本のト書きのように)、最低限必要な文字数を埋めることは可能なんです。
思いついたままにとりあえずそれを列挙していけばいいだけですから。
この際、時系列にそって書くわけではなく、思いついたままでいいんです。
キャラクターごと、場面ごとに、それぞれ状況を描いてやり、セリフを埋めるだけでも、5,000文字から6,000文字は埋めることが可能です。
ある程度の文字数(1話を3000字と決めたら、それをこなしてから、場面の時系列を会わせる)だけでも、時間はかかりますが、最終的な整合性を取ることが可能です。
もっともよい方法は、あらかじめ、誰が何をどうしてどうなったのかを、決めておくことです。
しかし、この場合だと誰の視点からどのような感情を、誰に向かって表現したのか。
これって同じ瞬間だと、キャラクターの数だけ存在するんですね。
視点移動なんかも、彼はこう思った。Bはこう考えた、であっさりとできてしまうからです。
一つの画面でやり取りをする時はなるべくセリフを使い、感情の表現を描くときは、その台詞を語った後にそのキャラクターで語らせる、などが重要ではないかと思うのです。
1時間のどれくらいの文字数を書いたか、ではなく。
自分の中でそのシーンに対してどれくらいの文字数が妥当なのか、をあらかじめ知ることが重要です。
〇描きたいシーンに必要な文字数とは?
あなたは今どんな場面を描いていますか?
もしくはこれから描こうとしていますか?
バトルシーンですか?
それともヒロインとのラブラブな甘い場面ですか?
それとも主人公が追放されて悲しみを覚えるシーンですか?
もしくはヒロインと出会う、ドキドキのシーンですか?
仲間を失って悲しみに暮れるシーンですか?
ヒーローにヒロインが励まされて、これからまた頑張ろうってなっているシーンですか?
それぞれの人がそれぞれの作品のそれぞれのジャンルによって、描くべきシーンに割り当てる文字数というのは、大体のところ決まっているような気がします。
個人的に測定したわけではないですが、例えば婚約破棄の物語において断罪のシーンを長々とやったり。
ざまあ報復される時に、もうさっさと報復してスカッとなりたいのに。
悪役の事情なんて誰も知りたくないですよね?
そういったところで取捨選択をする必要があると思うのです。
自分で書いた後に、推敲するのも、一つの有力な手段です。
書いた後にそのシーンを読んでみて、なんだかつまずくなとか。
それはちょっと尺(アニメの1場面ごとに存在する秒数)が長いな、とか。
そんな気づきが、文字数を伸ばしたり、減らしたり、最終的な調整でもっと描写が必要だと発見したりする手助けとなります。
〇文字数の重要な割合は、セリフが担っている。
まず必要とされるキャラクターの人数を用意します。
次に自分の描きたいその場面に対してどれくらいのセリフが必要なのか。
そのセリフは何文字ほど必要なのか。
合間にとりあえず差し込んでおく、場面の設定は、どの程度まで語る必要があるのか。
こういったことを、書き出す前にあらかじめ頭の中でほんの少し考えておけば。
もしくは、二行から三行の内容で、その1シーンを列挙しておいてやれば、書き込む内容はとても少なく情報を選ぶことができます。
例えば
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殿下:「お前は○○と浮気をしていたらしいな、○○(主人公)!」
令嬢:「そんなことは根も葉もないうわさです、殿下」
殿下:「嘘をつくな! この○○嬢がお前たちの浮気の場面を目撃したと証言している」
殿下、○○嬢をひっぱり出す。
○○嬢、殿下の胸にひしっと頬を寄せて、懐いている。
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こんな箇条書きと、セリフの用意だけでも、200文字近くを埋めることができます。
ここに出すべきキャラ名、それぞれの簡単な人物の描写、状況の説明、場所の設定などを盛り込んでいくやり方ですね。
このシーンだけでも300から500文字は用意できることが分かります。
セリフが文字数に対して埋める割合、登場人物の人数だけでも、必要な文字数をあらかじめ換算することが可能です。
〇大事なのは文字数ではなく、書き上げること
毎日、数千文字を書くことはとても大変な作業です。
商業作家でも一日に1万字書ければ食っていけるともいわれていますから(時代性にそぐわなければすいません)、数千字でも大したものです。
しかしながら、その数千字もサクサク書いて、誤字脱字チェックをして、はい投稿。
で、済ませるのか、あらかじめどれくらいまでの文字数、ページ数を目算でもいいから想定してから物語を書き進めるのとでは、話が違ってきます。
簡単に言えば、どれだけ早く書いても、その後に修正する時間は必ず必要ということです。
もちろん、書いたままでそのままでいいのだ、という作者様には、この言葉は無意味なものですが。
書いたそのままの文章で物語の読みやすさや読者様に伝わる度合や、キャラクターたちの深い心理まで伝わるかというと、それは甚だ、疑問が沸くところです。
さらに場面のつなぎ目が下手だと、面白さが半減するじゃないですか?
読者からしたらずっと婚約破棄ざまぁ報復ものだと思って読んできたのに、いきなり政治劇とか。
いきなりバトルものに変わっちゃったりとか、いきなりミステリーみたいな展開になってしまったら、ちょっと困っちゃいますよね。
〇最後まで書き上げよう
ですから、可能であればまずは物語の地図となる設計図のようなものを簡単でいいので書いてあげて。
そこからある程度の物語の起伏がつくところまでを一旦書き上げて、推敲し、添削して、読者のもとに届ける。
……という行為が、物語を作る誰かに読んでほしいと願っている作者としては必要な行為かもしれません。
ただウェブサイトにアップして、自分の足跡をそこに残したいと考える方であれば話は別なので。
物語を書き上げてやると、それがもともと自分の考えていたゴールに向かって進んでいるのかそうでないのかが明確になります。
だから大事なのは文字数を誇ったり、速度を自慢したりすることではなく。
自分があらかじめこの物語はこういう話を描くと決めた、その目的を変えないことだと思います。
とりあえず、日々の文字数を天元突破して、日産数万字とか、気にしないで創作を楽しみましょう。
短いエッセイになりましたが、清覧、ありがとうございました。
とりあえず、文字数を天元突破したい、あなたへ 和泉鷹央 @merouitadori
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