私の選択肢

次の日、私 花札歌 は放課後の部活を終えたところだった。

私は美術部の片付け係で遅くなっていた。

最近は転校してきた花風唄にみんな

ぞっこんだ。

まあ失声症ということでも話題なのだが

なにせ可愛いと評判だった。

私は仕事を終えふと、窓を見た。

外に2人の人影があった。

1人は私の王子様 小柳響だった。

もう1人はよく見えなかったが日が少し2人を照らしすぐに分かった。

花風唄だ。

2人は何か話している。

もしかして告白なのかと無意識に

思ってしまった。

花風唄は可愛いと評判だ。

響が好きになってもおかしくは無い。

でもどこか2人は暗い表情をしている。

告白に失敗したのか。

そうだと願いたい。


いつの間にか私の心の中には響への恋心と花風唄への嫉妬心でいっぱいになって

しまった。

私は花風唄と響を離せさせたくて急いで

『ドレミ』の部室に向かった。


「失礼します」

「はいどーぞ」


奥から優しそうな女の子の声が聞こえた。


「どうしたの?」

「実は今ある男子が花風さんに嫌がらせ

しているんです」

「なんですって」


女の子は慌てて窓を覗き込むとほんとだ と

言って誰かに連絡し始めた。

女の子は誰かに連絡し終えると笑顔で

言った。


「教えてくれてありがとう

良かったら入部しない?」


私は少し考えた。

入っても花風唄が好きな人ばっかりだ。

私はそうじゃない。

私が考えていると女の子は言った。


「別にみんながみんな花風さんが好きでは

ないのよ」

「え?どういうことですか?」

「あっ....なんでもないわ

ごめんなさいね」

「いえ....大丈夫です」


今のなんだったんだろう。

私は花風唄のことを知る為にと思って

言った。


「入部します!」





そう その日から私は響と花風唄のことを

知るために『ドレミ』に入ったんだ。

あらためて響の方を見る。

響はなぜ私がドレミに入ったかを

知りたくて私をじっと見つめている。

ほんとうのことを言うべきか

言わないべきか私はしばらく考えた。

でもあとからバレるよりもいいの

かもしれない。

私は思いきって言った。


「私見ちゃったんだ

あの日唄ちゃんと響が一緒にいるの」

「あーあの時か....」


響は何かを思い出しながら言っている。


「それで私響が唄ちゃんに告白してるんじゃ

ないかと思ってさ」

「アハハハハ!」


突然響が笑い始めた。

え?私はあまりにも驚いて目が点に

なった。


「ちげーよ あの時花風が落ち込んでたから

どうしたのか聞いただけだよ」

「そうなんだ」


私はほっとした。

それと同時に申し訳なく思ってきて

しまった。

私今まで勘違いしていたんだ。


「響....私今まで唄ちゃんのこと勘違い

してた

私唄ちゃんに嫉妬しちゃってそれで

唄ちゃんと響を離したくて『ドレミ』に

入ったんだ」

「....そうだったのか

だったら早く言えよな」

「悪かったって」


私はどこか晴れやかな気分で空を土産た。

もうほとんど日も落ちかけていて少し

寒い。

私は自転車に乗り「またね」と響に言って走り去った。

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