暗闇の歌声
俺 小柳響は『ドレミ』の部室の前にいた。
目的はもちろん新井菜々子。
今日教室であった荒らし事件のせいで
なかなか行けずに気づいたらもう完全下校の30分前。
急いでドアを開けようとした時俺の腕を掴んだ花風がいた。
俺はどうして という顔で花風を見つめた。
花風とはあの音楽室事件から話していない。
俺はあの後宮野と花風がどうなったかは
知らない。
俺は少しムスッとして無理やり花風の腕を振りほどいてその場から離れようとした。
そうすると花風は俺の制服の袖を掴んで1枚の折りたたまれた手紙を渡した。
花風は涙目でこれを突きつけてきた。
花風は何も言わない。
それは当然だ。
彼女は失声症。
喋れるはずがない。
でも俺は何かが爆発して手紙を花風の前で破いて捨てた後そこから走り去ってしまった。
私 花風唄は破られた手紙を見てぼーっとしてた後階段を上ろうとした時誰かが階段を 降りてくる音がして慌てて階段から背を向 て歩いた。
気付いたら『ドレミ』の前にいた。
ふと階段の方を見ると岡崎くんがいた。
私はびっくりして思わず『ドレミ』の部室を開けてしまった。
私は逃げられないと思い恐る恐る入っていった。
下校時刻が迫っているからだろうか。
幸い部室には誰もいなかった。
部屋には手話の本がずらりと置かれて
いたり私の写真も沢山あった。
奥まで行くと立ち入り禁止と書かれた札がかけられている部屋があった。
私は好奇心が止まらずダメと分かっていながらもドアを開けてしまった。
その部屋には机と椅子が1組と何かの本の棚が並んでいた。
「こんなところで何してるの?」
背後から女の人の声がした。
ビクッと体を震わせ恐る恐る振り返ると
宮野さんがいた。
事情を話そうと思ったものの紙がない。
私は目をキョロキョロさせてしていると
宮野さんが言った。
「ここは有井菜々子の部屋よ
見つかったらただしゃすまないわよ」
ごめんなさいと宮野さんに手話で言い、
ここを立ち去ろうとした。
その時宮野さんは私の腕を掴んで言った。
「私の邪魔をしないで」
それってどういう意味?
言おうとしても言えない。
私の心はズタズタになった。
そう言うと宮野さんは部屋から出ていってしまった。
私は宮野さんを追いかけて昇降口を出た。
外には誰もいなかった。
私はポケットから小柳くんに破られた手紙を見た。
私はそれまでの我慢が爆発し大粒の涙を流した。
それと同時に雷と一緒に大粒の雨が降り出した。
私の服と髪はびしょびしょになった。
でもどうでもいい。
私はそのまま座り込んでいると遠くから
どこかで聴いたことのある歌声がした。
すると雨が私をうたなくなった。
雨が止んだのかと思って上を見ると傘があった。
傘を差し出した少女は笑顔でこっちを見て言った。
「風邪ひきますよ」
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