予感

「行ってくる」


そう言って誰もいない家を出たのは

岡崎奏斗

モブのような人生を送っている俺はまだ

誰も歩いていない道を1人で歩いていた。

俺は1年A組

そうあの花風唄がいるクラス

今話題のクラスだ。

ぶっちゃけ言うとクラスでいろいろ亀裂が入っていて大変なんだが.....

俺は誰もいない教室のドアを開けた。

俺はドアを開けて固まった。

なぜならそこは泥棒が入ったかのように

めちゃくちゃに荒らされていたからだ。



昨日の放課後クラスの数人が集まって作業をしていた。

音楽祭で体育館を飾り付けするのだがその担当になったのが1年A組。

俺たちは黙々と作業していた。

期限は3日後。

テニスコート3個分とここら辺の地域の中で1番大きい体育館を持っている中学校。

1つのクラスだけで飾り付けするのは大変なのに今日いろいろあってみんな怒って帰ってしまった。

残っていたのは5人。

下校のチャイムが鳴るまで作業を

していた。

片付けは明日の朝やることになった。

俺は5人の中で1番家が近いので朝早く来て片付けをすることになった。



なのに.....

朝来た時造花は踏みつけられていて、

クラスみんなで作った絵はビリビリに破かれていた。

どうしよう..... と思っていた時誰かが教室に入ってきた。

小柳響だ。


「おい〜響助けてくれ」


俺は響にせがんだ。

クラスでまあまあ仲のいい1人だ。


「これは.....酷いな」


響は荒れた教室を見渡して言った。

その数十秒後何人かのクラスメイトが教室に入ってきて言葉を失っていた。

その日の朝のホームルームはこの事件の

ことで話し合いになっていた。

犯人は誰だ と犯人探しが始まった。

俺が第一発見者だから当然疑われたり

事情聴取された。

でも俺は思ってしまった。

造花を作ったり絵をほとんど描いたのは

昨日残っていた俺たち5人。

だから俺たち5人以外を犯人として

考えられる。

俺はちらっと後ろを見た時唄さんと目が

あった。

彼女は少しニコッと愛想笑いをして下を

向いてしまった。

俺は少し違和感を覚えて前を向いた。

一体犯人は誰なんだろうか。

そんなことを考えているうちに1時間目の

チャイムがなった。

結局その日のうちに1年A組荒らし事件は

話題を呼び噂では唄さんを恨んだ奴らの犯行ではないかということになっていた。

なんだよそれ と思ったが黙っておいた。

俺は放課後少し残って飾り付けの修復を

した後廊下を歩いていた。

昇降口の横の部屋をふと見た。

そこは『ドレミ』と書かれた部屋だった。

あ〜唄さんのファンクラブね と思ってから靴を履いた。

綺麗な夕焼けの空が広がっている隅で黒い雨雲があった。

雨が降るかもしれないと思った俺は急いで教室に戻り折りたたみ傘を手にした。

階段を下っている時『ドレミ』の部室前に人影があった。

あれって唄さん?

そう思っていた時突然唄さんがこっちを

向いて俺を見てビックリしたような表情を

俺に見せたあと部室に入っていった。

どうしてわざわざあそこに?

俺は嫌な感じを覚えて昇降口を出た。


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