第ニ話:砲門、開け!
なだらかな丘陵地帯と、その稜線を縫う様にして続く石畳の街道。最近出来たばかりの道である為か、街道沿いには民家どころか、人の気配すら感じられない。
丘陵の遥か彼方に聳える山々を眺めながら、エリザベスは無事オーランド連邦へ侵入出来たことに胸を撫で下ろしていた。
「確かアレがアトラ山脈ね。オーランドとノールを隔てる自然国境……か」
手で額を拭う動作を見せながらエリザベスが呟く。
実際は汗など出ていなかったが、名実ともに不法入国をしている状態の為、無意識の内に多動気味になってしまう。
「ねぇねぇお姉ちゃん」
馬車の荷台からひょっこり顔を出していたエレンが呼びかける。
「なに?パルマの街ならまだ先よ」
「いやそうじゃなくて、前前。なんか煙モクモクしてない?」
振り返ってエリザベスが目を凝らすと、確かに丘を三つ四つ超えた先から煙が上がっている。
「狼煙じゃ、ないわね、黒煙だし。他になにか見える?目は良いでしょ、あなた」
「うーん……丘のせいで見えないや。あとなんか焦げ臭いかも」
と、エレンが言い終わるのと同時に、丘を超えて騎兵が約十騎、こちらに向かって来るのが見えた。
「エレン、旗手の持ってる旗が何色かわかる?」
いままでの少し間延びした声とは違い、やや息が詰まった様な早口で話すエリザベス。それに対しエレンの口調は先程と全く変わらない。
「青色に緑の横線が入ってて、金色の葉っぱだから、えーと」
「オーランド連邦の国旗ね、なら少なくとも敵じゃないわ。ここで待機するわよ、簡単にすれ違いさせてはくれない様だし」
どうどう、と馬の手綱をひいてスピードを落とす。その間にも、騎兵はかなりのスピードで近づいているのが蹄の音で判断できた。
距離が近づくにつれて、兵士の表情が険しい表情であること、騎兵の中には出血している者もいることが分かってきた。
「これは、なんだか穏やかじゃなさそうね。エレン、荷台の幌を降ろしておいて」
「これも家出作戦のプランに入ってるの~?」
巻かれた幌をくるくると解きながら尋ねるエレン。
「入ってないけど想定の内よ、私が話すから貴女は口を閉じて――!」
「そこの馬車、止まりなさい!我が方はパルマ軍第一騎兵小隊である!」
言い終わる前に先頭の指揮官らしき騎兵がサーベルを高く掲げながら近づいてきた。
「もう止まってるわよ。見た所、またノール帝国との小競り合いがあったようね」
両手を上げたエリザベスに、短銃を構えた副隊長らしき騎兵が近づく。
「いらぬ口を叩くな小娘、隊長の質問にだけ答えろ」
「女性に銃を向けるの?よほど焦ってるようね?」
臆せず答えるつもりだったが、銃を向けられ若干声が上ずってしまう。
馬車の周りを一周した隊長が、短銃を構えた副隊長に目配せをする。副隊長は短銃を降ろし、後ろの騎兵たちに下馬するよう命じた。するとそのまま地面に倒れ込む様にして、何名かの騎兵が地に腰を下ろした。
手当が始まる様をしばし見つめた後、隊長らしき人物は口を開いた。
「御者、聞きたいことが幾ばくかある。主人は馬車の中か?」
群青色の肋骨服に、飾り羽根の付いた円筒形の制帽。
加えて比較的軽装な装備を纏っていることから
「ご機嫌よう、
エリザベスが答えるのと同時に、幌の中からエレンが顔を出して見せた。
ふむ、と眉をひそめながら立派なカイゼル髭をいじる隊長。
「積み荷の火砲は貴様らのものか?」
「いえ、商品よ。パルマに売りに行こうと思ってた所」
「商人か、どこからだ」
「リマ市からよ。ラーダ王国の」
「ラーダ王国?国境を超えてきたのか」
「ええ、リマから一番近くて大きな街がパルマだと聞いていたから」
一問一答、受け答えを交わしていく。
ここは正直に言うよりも、なるべく不審に思われない様、それらしい嘘も織り交ぜた方が良いとエリザベスは判断した。
いつの間にか、火砲の言葉を耳にした兵士何名かが、牽引している大砲を見物しに集まってきている。
馬車に積まれた砲弾も目にした隊長は、しばし目を瞑ったあと、最初に会った時よりも更に厳しい目つきで命令した。
「只今より、パルマ領主の命に基づき、貴様らの馬車及び積荷を徴収する。即刻馬車から降り給え」
そう言うと騎兵の何名かが、牽引している大砲を馬車から外そうと動き始めた。急で、あまりに横暴な命令に思わず口が動いた。
「ちょっと!私達はラーダ王国の人間よ!なんでオーランド連邦の一都市風情の命令に従わなくちゃいけないの!?」
「国境を通過する時に通告は受けた筈だ。連邦では各都市の領主が定めた法に従うようにと、な」
「こんなの領主の法じゃなくて、唯の貴方の独断じゃない!せめて徴収理由と徴収目的をお聞かせ願えないかしら?」
「小娘、隊長の命令に従え。時間がない、降りろと言っているんだ」
ある程度手当を終えた副隊長らしき人物が、再度短銃をエリザベスに向けた。その銃口を隊長が手で遮りながら早口で答える。
「あの黒煙が見えるだろう?最初にお前が言った通り、パルマ市はノール帝国の攻撃を受けた。今までは小競り合いに毛が生えたような物だったが、今回は完全な正規軍による軍事行動だ」
「パルマがノールに?噂には聞いてたけど、オーランド連邦とノール帝国ってホント仲悪いのね」
これじゃ大砲をパルマに売りに行けないわね、と肩をすくめるエリザベス。
「やめてよー!無理矢理外さないでよー!」
荷台の後ろでは無理やり大砲を馬車から外そうとする兵士達に対して、エレンがささやかな抵抗を見せていた。その姿を見た隊長は少し言い淀むと、先程よりはゆっくりとした口調で、エリザベスに現在の戦況について話し始めた。
「誠に遺憾だが、パルマ軍はノール軍に敗北した。我が隊はパルマ軍本隊の退却を援護する為に、
「市民は避難済みなの?」
「無論無事だ。領主様が市民を真っ先に逃してくださった。付け加えると、街自体も無事だ。市街戦ではなく、野戦に打って出たからな。負けじとも、パルマの街を灰にしたくないという領主様のお達しだ」
誇らしげに答える隊長の姿に、パルマ領主の人望が見て取れた。
「ふーん、何となくわかってきたわ。つまり貴方達は少しでも兵力をかき集めて、パルマの街を取り戻す作戦を実行したいって事ね」
「そうだ。今パルマ地方は有事に直面している。故に少しでも多くの武器が必要なのだ。分かってくれるな?」
「大変なのは分かったわ。だけど答えは変わらずよ」
少しは状況が飲み込めてきたエリザベスだが、大砲を譲る気は毛頭無い。
「第一、騎兵である貴方達が火砲をマトモに扱えるとは思えないわ」
「君達の様な一介の商人よりは、大砲に関して心得があると自負している」
「一介の商人、ねぇ?」
哀れみと不遜が混じった、不敵な笑みを浮かべるエリザベス。
銃を向けられても。
剣を向けられても。
この地が既に戦地である事を伝えられても。
あまつさえ年上の兵士達に囲まれていても、全く臆せず相手の目を見て話せるのは、他でもないカロネード商会の教育の賜物だった。
一歩も譲らないエリザベスに対して、とうとう押し黙る隊長。その姿を見て痺れを切らした副隊長がエリザベスに銃を突きつけて叫んだ。
「いい加減にしろ小娘!貴様がゴネている間にも、ノールの追手がすぐそこまで迫っているのだぞ!」
銃を眉間に突きつけられながらもエリザベスは間髪入れずに反論する。
「いいえ絶対に渡さないわ!それに騎兵用の乗馬じゃこの大型砲は牽引出来ないわ!この子みたいな
「その
「この子は私の言う事しか聞かないわ!テコでも動かないわよ!」
自分が跨るどっしりとした体格の馬を撫でながらエリザベスは言い放つ。
「ちょっと、ちょっとお姉ちゃん!」
「何よ!まさか貴女まで大砲渡した方が良いとか言うんじゃないでしょうね!?」
いつの間にか幌の天辺から顔を出していたエレンが、ニつ向こうの丘を指差して叫んだ。
「ノールの兵士が来てる!」
ノールの単語に、隊長をはじめ、地面に座り込んでいた兵士達が一斉に反応して振り向くと、丘を越えて鎧を纏った騎兵が二十騎程度迫ってくるのが見えた。
「くそ、もう追手が来たか!」
「もうダメだ、みんな殺される!」
「隊長!どうすれば!ご指示を!」
ノールの騎兵を見ただけで、兵士達は恐慌状態に陥ってしまった。エリザベスの目から見ても、初戦で相当手酷くやられているのは明らかだった。
「狼狽えるな!先ずは全員騎乗しろ!まだ生き残る道はある!このまま西に進み、リヴァン市に援軍を求めれば十分に勝機は――!」
そう言い兵士達を奮い立たせようとした隊長だったが、怪我の所為で再騎乗もままならない兵士や、座り込んだまま動こうとしない兵士、どうして良いか分からずただ呆然とする兵士……部下を奮い立たせる言葉を見つける事ができず、顔をしかめたまま黙る隊長。
「隊長さん?」
エリザベスが押し黙る隊長に声をかける。
「……君達も早く逃げなさい。敵は重騎兵だ、騎兵とはいえ足は遅い。大砲と馬車を捨てて馬で逃げればまだ――!?」
顔を上げてエリザベスを説得しようとした隊長は、彼女の表情を見て目を丸くした。
「何言ってるのよ!二十数騎の突撃くらい、この砲でどうとでもなるわよ!」
「何を言っている!火砲の扱いには高度な専門知識が必要なのだぞ!商人の、しかも小娘に扱える代物では――」
「ええ、只の商人ならね!」
そう言うとエリザベスは待ちかねた様に、指を鳴らしてエレンに合図を出した。
「
するとエレンが馬車から飛び出したかと思えば、素人とは思えない手つきで馬車と大砲の切り離し作業を始めた。
「なっ……!?」
「お姉ちゃーん、大砲どの位置がいい?」
「この地形ならもう少し前進して、丘の真下に陣取った方がいいわね」
「弾種はー?」
「敵は騎兵二十弱だから、えぇっと、散弾でお願い!」
お構い無しにどんどん準備を進めていく二人。
オーランド兵達は、ただの小娘二人が熟練砲兵の様な手際の良さで砲を組み立てている姿を、呆気に取られながら見つめていた。
「さぁ隊長さん、時間がないわよ?私達と協力する?それとも
大砲の設置が終わったエリザベスが、再び隊長の前に立ちはだかる。
腕を組み、仁王立ちで真っ直ぐ相手の目を見ながら話すエリザベス。自分に絶対の自信があることを、これでもかと相手に示す。
「むっ、ぐぅ……」
唇に手を当て、伏し目で思案する隊長を、エリザベスは無言でじっと見つめる。
無理もない。つい先ほど出会ったばかりの少女と協力して敵の重騎兵を撃破するなど、余りに突拍子も無い、無謀すぎる作戦だ。そんな作戦の為に自分の部隊を危険に晒すことなど出来るわけがない。
ただ一方、隊長の言う様に逃亡する案を選択した所で、負傷して動く事の出来ない部下は確実に殺されるだろう。
「散弾装填よーし!あれ、込め矢何処やったっけなー?」
「お嬢ちゃん、込め矢ってこのデカい綿棒みたいなヤツかい!?」
「あーそれそれ、助かるー」
エリザベスの後ろでは、切羽詰まった兵士達がエレンの砲撃準備を手助けするという、何とも奇妙な光景が繰り広げられていた。
この隊長は、良くも悪くも軍人に向いていない性格をしている。それは、私に向けられた銃を下ろしてくれた事、部外者である私にパルマの戦況を教えてくれた事から容易に推測できる。こういった人物は、部下の一部を見捨てるような作戦を実行する事は滅多に無い。
だからこそ、あと一歩で自分の案に傾いてくれると、エリザベスは確信していた。
「隊長!敵はもう手前の丘まで迫っております!私共は最期まで隊長について参ります!どうかご指示を!」
その副隊長の言葉が、エリザベスの案を採用する最後の一押しとなった。
「ええい!もう良し!副長、その言葉に二言はあるまいな!?おい、小娘ども!只今よりパルマ軍第一騎兵小隊は貴様らの臨時指揮下に入る!上手く使ってみせたまえ!」
「さっすが話が分かるじゃない隊長さん!協力だけでなく指揮権まで渡してくれるなんて!」
エリザベスが馬車に戻りながら叫ぶ。
「さぁ、負傷者は馬車の中に隠れて!動ける騎兵は囮になってもらうわよ!」
「ハッ!早速囮扱いか!」
そう言いながらも動ける騎兵をすぐさま集結させる隊長。
「敵は文字通り勝ち馬に乗ってるわ!特に策もなくこの丘に突っ込んでくる筈よ」
丘の頂点を指差しながら作戦を説明するエリザベス。
先程まで恐慌状態になっていた兵士達も、いつの間にか自信満々に作戦を説明するエリザベスの声に聞き入っている。
「うむ、私が敵騎兵の立場であっても同じ事をするだろう。丘の頂点に到達したならば、その衝力を維持したまま一気に坂を下る命令を出す筈だ。敵の掃討作戦ともなれば尚更である」
「ええ、その為に丘の真下に大砲を設置したの。敵からすれば、丘を駆け降りる体勢になるまで完全な死角になるわ!」
「その真っ直ぐ駆け降りて来る敵騎兵に真正面から散弾を叩き付けてやろうと言う訳だな!小娘の癖に中々に容赦無い案を思い付くではないか!」
皆まで言うなとエリザベスの作戦の真意を理解した隊長は、動ける騎兵数騎と共に丘の向こうへと消えていった。くれぐれも味方ごと撃ってくれるな、と言い残して。
「……お姉ちゃん、これも計画通りなの?」
エレンの問いには答えず、エリザベスは黙って丘の頂上を見つめている。
「うん、だと思った!」
火薬と散弾を込め矢で砲身内部へ押し込みながらエレンは叫んだ。
「お姉ちゃんが何にも答えない時は、大体先のこと何も考えてない時だもん!あと火薬漏れちゃうから点火口押さえて!」
「そ、そんな事無いわよ!これには緻密にして完璧な作戦がちゃんとあるのよ!さあ、火を用意しなさいな!」
「もう用意してるよー。あと導火線だとタイミング的に難しいから、直接点火口に
「貴女ホント涼しい顔で危ない事するわよね!導火線の燃焼時間を考えなくて良いのは助かるけど――っ!来たわねっ!」
地鳴りと共に丘の上から第一騎兵小隊が飛び出し、大砲を避ける様に左右二手に分かれた。
「正面!射角三十度!
「
間髪入れずに、今度はノール帝国の重装騎兵が現れた。エリザベスの目論見通り、密集したまま一直線で丘を駆け降りてくる。
先頭の指揮官らしき兵士が叫ぶ。
「!?敵方に火砲アリ!こちらに指向中!」
「
エリザベスの号令と共に、砲口から轟音と、火花と、幾百もの小口径弾がばら撒かれた。最前列で先導していた騎兵指揮官は散弾を正面から浴び、馬諸共弾け飛んだ。後ろに続く騎兵達も扇状に展開していた為、散弾の散布界に入った騎兵から次々に散弾を食らい、倒れて行った。
流石に陣形後方の騎兵まで散弾が届く事は無かったが、戦意を撃ち砕くには十分すぎる戦果であった。加えて先程二手に分かれた第一騎兵小隊が、エリザベスの援護に戻りつつあった為、ノール兵は追撃を諦め、丘の向こうへと踵を返した。パルマ第一騎兵小隊も、反転追撃する余力は残っておらず、敵を見送る形となった。
「記念すべき初勝利〜」
ガコン、とエレンが砲角度を水平に戻しながらパチパチと拍手をすると、オーランド兵からも一斉に拍手と歓声が上がった。
「うおおおおおおお!勝ったぞ!勝利だ!」
「オーランド万歳!第一騎兵小隊万歳!」
「大砲見た時のノール兵の間抜け面見たか?!傑作だったぞ!」
歓声の中、砲の清掃をするエリザベスの元に隊長と副隊長がやってきた。隊長が暫く何を言うべきか悩んでいる様子であった為、代わりに副隊長が口火を切った。
「オーランド連邦軍、並びにパルマ市を代表して、ここにその助力を讃え……」
「あー、そう言うのいいから。もっと直接的なお礼でいいから」
何か言い返そうとした副隊長であったが、実際命を救われたも同然の為、振り上げた拳を居心地悪そうに収めた。暫しの沈黙の後、ようやく隊長が口を開いた。
「そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」
そう言うと隊長はグローブと制帽を外し、右手を差し出した。
「私は第一騎兵小隊長のクリス・ハリソン少尉だ。そちらの御二方の名前は?」
「私はエリザベス、エリザベス・カロネード。こっちは妹のエレンよ。さっきは色々指示しちゃってごめんあそばせ?」
「見事に勝ってみせたではないか、構わんよ」
握手を交わすニ人。
「さて、先程の作戦についてだが、まぁ、その年齢で、急な指揮委譲による混乱の中においてだな、それでいて的確な指示を砲兵、騎兵双方に飛ばし、尚且つ斜面を利用した効果的な陣形を築き……」
「あーあー、もう良いわ。この小隊って回りくどい言い回ししか出来ない人だけ採用してるの?」
言葉の着地点を見失った挙句、着地先を刈り取られたクリスは、大きく咳払いをして、改めてエリザベスに向き直った。
「見事な指揮と砲術だったぞ、カロネード嬢。我が隊を救ってくれて心から感謝している」
「おーっほっほっほ!ちゃんと言えるじゃない!どういたしましてよ!」
得意げに高笑いしながら馬に跨るエリザベス。
「よし、聞け!想定外の戦闘も発生したが、我々は当初の目的通り、リヴァン市に退却中のパルマ軍本隊と合流する。カロネード嬢、君も来るか?」
兵士たちに再度命令を下達しつつ、エリザベスに同行を促すクリス。
エリザベスはキョトンとした後、一、二拍おいて年相応の意地悪い笑顔で答えた。
「馬車の中に負傷者を載せたままにしておいて、君も来るか?ですってぇー!?」
「わかったわかった。引き続き負傷者後送の手助けをしてほしい、我が隊には君の馬車が必要だ」
「よろしい!」
エリザベスは馬車の向きを百八十度変えると、隊列の中央に入り込んだ。
「移動中の砲兵はただの的なんだから、しっかり私達を守りなさいよね!」
「騎兵さん達お願いね~」
前と後ろに向かって拳を振り上げながら話すエリザベスと、幌から顔だけ出して手を振るエレン。
隊列は昇る太陽に背を向けて、粛々と丘向こうに消えていった。
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