第8話
なんか気まずいな…。あんなに泣いたのいつぶりだろう。
研究室を出る前から緊張してる。先生は相変わらず脳波の写真や資料を見ながらパソコンを操作したり、暇になったらロボットを作ったり。
ふと気になった。
「ねぇ先生。どうして僕を連れてきてくれたの?」
先生は吃驚しているのだろうか。長い前髪のせいでよく分からない。
「どうしたんだ。また急に。」
「いや、あの孤児院にはもっと僕より頭良い奴いっぱい居たし。なんてわざわざ僕を選んだのか気になったから。」
「……ん〜…。」
耳の裏の毛を弄る。先生の癖だ。気まずかったり、緊張してるとこの癖がでる。
「まぁ、あれだ。お前を研究対象としたかったんだ。」
「ふーん。」
予想していた答えとあまりに似ていてつまらなかった。
「じゃあ、そろそろ仕事の時間だから行ってくる。」
「おー…早く帰ってこいよ。」
いつも先生は僕の心配をする。もう充分大きくなったからいいのに…と思いつつ、少し嬉しい、
病室の前で深呼吸する。軽くバクバク鳴る心臓を抱えてガラッと勢いよく開ける。
「よ、ようっ!」
…くそ。なんか変になった。
「ん、よっ。」
案外軽く返事してくれるものなんだな。と嬉しくなった。
「調子はどう?」
「それがね〜、なんといい感じなのですっ!」
ニッコリ笑ってダブルピースする。
あぁ、めちゃくちゃ可愛い…。
「そっかぁ!それはよかった。ねぇ、退院したら学校に行くんだよね。」
「うん、そうだね。でもちょっと不安だなぁ。
だって入学式以来行ってないから友達とか居ないんだもん。」
「彩沙さんなら大丈夫でしょ。愛嬌あるし。」
某キャラクターを真似して目と舌を出す。
「なにそれっwこわw」
あっははと笑う顔を見て、うん、、やっぱり愛嬌あるわ。と確信した。
「…ねぇシロ。」
「ん?」
「あの…今日、夏祭り…があるらしくて、その……一緒に、行ってくれたり、しないかな。」
「…!いい!良いよ!行く!」
勢いよく返答してしまった。花火は夜8時から…少し遅くなるな…。
でも少しくらいなら良いだろう。
先生にメールを打ってからお祭りの準備を始めた。ちょうどメールした所で僕の携帯の充電が切れてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます