経過報告と愚痴
色々あったがとりあえず無事に生き残った。加護やら何やら無いのに俺自身よく頑張っていると思う。自画自賛かと言われるかも知れないがそれくらいは許して欲しい。
それはさて置き、少し状況が変わった。ジンの学校が無期限の休校になった。まぁ、王都を襲撃されたんだ。勉強してる場合じゃないよな。
街のほとんどを破壊されたけど無傷の所がある。城だ。普通真っ先に攻撃されそうだが、今回は何も起きてない。魔王に狙いがあったからだ。都市は壊されたが城は無事、となると民衆の気持ちが揺らぐ。不満や不安を煽って内乱が起きる様に扇動することが狙いだった。他にも魔王と取引したんじゃないかみたいな陰謀論も出ていた。
実際に王様や王都にいた他の貴族達は恐くて隠れていたらしい。民衆が色々言うのは理解出来るけど、正直貴族達の気持ちも分かる。地球にいた時なら多分俺も逃げてる。何が哀しくて自分から危険に突っ込まなきゃならんのか。今の俺はもう運命だから仕方ないが。
運命だからと言ってボケッとして死を待つのも趣味じゃないし、死中に活を求めるという感じで今現在も足掻いている。
自分で言ってて哀しくなるな。
とにかく今は魔王の狙い通り民衆の不満が溜まっている。そして民衆を更に煽る為、この騒ぎに乗じて魔法で王国全土に魔王から宣戦布告の声明まで響いた。
この事態と関係ないが改めて魔法って凄いなと思う。使えない俺が気にしても意味は無いけど。
声明では1ヶ月後に準備が出来次第に王国を攻めるという事らしい。随分時間をくれるなと思うが、ドワイトの去り際の台詞で"まだその段階では無い"とか言っていた。多分その準備に1ヶ月かかるんだろう。
ならいっそこっちから攻めれば?って貴族達も騒いだらしい。だけど、魔王1人で騎士団の騎士、十数人を斬り伏せられたのに今更ボロボロの騎士団と騎士見習いの学生で勝てるのか?って話になったらしい。それだけ聞くと俺も無理だと思う。
そこである提案をしたのがアイリスの親父さんのフリード公爵だ。戦力増強の為、大陸の各地にある聖剣を探そうと進言したらしい。その話をしようと親父さんに言ったのはアイリスだけど。実はその会議室にはアイリスも同席していた。魔王と接触して唯一生き残った人間として意見を求められたらしい。
俺?俺はこの『世界』じゃ背景と変わらない扱いだから話なんか聞かれない。そもそもそんな場にいたら緊張して何も言えないし、今まで身分やら気にしないでいられたのは、ほとんどが緊急事態だからでそんな硬い空気の会議室で発言なんて出来ない。
とりあえずゲームであった聖剣探しのイベントにこれから突入という事になる。こういう重大なイベントだ。貴族から王太子が隊長として行くべきみたいな発言もあった様だけど本人が絶対嫌だと言ったから最終的にアイリスが捜索隊の隊長として行く事になった。公爵家の人間だから血縁としては王家になる。旗印としては良いらしい。
親父さんは自分が行くつもりでいたけど、アイリスと他の貴族の反対にあったと言う。アイリスはただ心配だったからだけど、貴族達は当主に何かあった時まだ年端も行かない息子、クリストファーでは大変という事とアイリスなら何があっても気にしないで良いという事らしい。少しはアイリスの心配をしろよと聞いた時は腹が立ったが、とにかくアイリスはジンとエレナ達を連れて各地を周る事になった。アイリスが緊張しているのではと思ったが、俺が魔王と1人で戦った後から何故かやる気を見せていた。俺に対する負い目かも知れないから、一応気負い過ぎない様に釘は刺しておいた。
俺も一緒に探すけどその前に野暮用があるからそっちを先に片付けようと思ってる。
しかし今思い出しても腹が立つ。魔王の所為でアイリスは泣かせる羽目になるし、皆んなには怒られる。次は絶対一撃も喰らわない。そう心に決めた。
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