死亡フラグ?
俺達3人はそれぞれ持ち場に着く。といっても俺が注意を引きつつ、2人が両脇で斬り付けながら、エレナの時間を稼ぎ最後はエレナが倒す。という非常にシンプルな物だ。本当に大丈夫?って俺も思う所はあるけどここはエレナを信じるとしよう。
因みに槍使いの名前はキース・シトラス、ドワーフのおっさんはザックだ。キースは確か子爵家の次男だった筈、家は継げないから冒険者になったとかそんな感じで、ザックは元は鍛冶屋で腕は確かだけど知名度の無さから生活に困って冒険者になった。確か奥さんと子供が2人いて、養うのが大変だって話だったな。
チームを組むと状況によっては取り分が減るけど安全性は増す。その辺は考え方次第だろうけどソロで一か八かで生活するよりは仲間を作った方がメリットはある筈。まぁ、とにかく今はドラゴンだ。
ドラゴンは早速俺に向かって火球を放つ。その火球を凝視すると俺が以前修行で身につけた魔力の視覚化、俺は魔力線と呼んでるがその線がドラゴンの火球にも張り巡らされていた。そこを断ち切る様に刀を振る。一撃で火球を破壊する事に成功した。
キース「な!炎を掻き消した!どうやって!」
ザック「あいつ、思っていた以上に化け物だな。」
俺「そんなことより早く攻撃しろよ。エレナの方に向かわせないでくれよ。」
ザックはドラゴンの右の前脚や右脇腹をキースは反対側から首や左脚を狙う。少し離れた所からトリッシュの弓による援護。その上で俺も鎌鼬で斬り付ける。今度は俺に向かってブレスを吐く。火球では無いから縦に鎌鼬で斬り裂く。俺が2度も炎を防ぐからか流石のドラゴンも驚いた様で少し動きが止まる。
すかさずキースが顔面に斬撃を飛ばし、ドラゴンがキースを睨むとザックが脇腹を斬る。ダメージで首を上に持ち上げた所をトリッシュが射る。そしてまた俺と目が合う。
エレナとシャノンに攻撃が行かない様に俺が防ぐ。そうこうしている間にエレナの準備が完了したらしい。
エレナ「皆んな下がれ!行くぞ!Startears!」
ん?スター?ティアース?星の涙?聞いた事の無い技名だ。エレナが技名と同時に空を指差す。俺も釣られて空を見る。何か小さい火の玉が見える。眺めていると次第に地鳴りの様な音と振動が起きる。というか小さい火の玉に見えた球体は段々とデカくなって行く。ほぼドラゴンと同じ位の大きさの隕石が降ってきた。・・・あれ?何これ?
キース「ひぇ〜、何ですか!あの炎の岩は!」
ザック「儂もそれなりに生きとるが見た事無いぞあんな魔法!何なんだあれは!」
俺「俺もあれは見た事無いな。何だろうあれ?」
見た事の無い魔法を目の当たりにして男性陣で震え上がる。驚いたのは俺達だけでなかった。ドラゴンも恐怖に震えている。しかしそこは流石最強ランクと言える生物。隕石目掛け攻撃をする。しかし隕石はその攻撃を物ともせず落ちてくる。これはイカンと理解出来たのかようやく逃げ出そうとしたが、間に合わなかった。ドラゴンは首と前脚、後ろ脚の4本、それに尻尾だけを残し隕石に潰された。身体はぺしゃんこになり、炎の池みたいな物が出来上がっていた。俺が昔見たアニメ映画にトカゲのスープが出て来たが、見た目はそんな感じになっていた。
トリッシュ「前に見た時より大きかったわね。」
エレナ「当然だ。今回は最大質量で撃ったからな。」
シャノン「確かに今回の状況以外ではあの大きさの魔法、簡単には使えませんね。」
女性陣は以前にもあの魔法を見た事があるらしく動揺らしい動揺をしていない。寧ろ関心してる節がある。
俺「あのさ、俺あんな魔法見た事無いけど。あれは何?」
エレナ「見た事無いのは当然、私の創作した魔法だ。凄いだろ?大分昔だけどシリウスに言われた事からこの魔法を考えたんだ。」
俺?何か言ったかな?隕石作る何て発想に至る話してないと思うけど?
エレナ「ほら、デカイ奴を相手にする時は数より質、重さが必要って言ってたろ?」
確かにそんな話したな。それで隕石作って空から落としたのか?何か極端な気がする。
シャノン「以前ホブゴブリン数匹と出くわした時に使ったのがこの魔法なんです。」
トリッシュ「その時は急いでいたから、もう少し小さかったけど。それでも中々の威力だったわ。しっかり溜めるとこんなに凄いのね。」
俺は驚いていた。オリジナル魔法なんて作れるのか。こっちはゲームじゃないし、ゲーム事態は予測演算のデータから作った物だ。実際の状況が変化していくのは当然だろうとは思う。それにしても隕石なんて作るかね?ある意味心配になってくる。下手したら星1つ破壊する様な魔法とか作るのでは?流石にそこまでヤバい事態にはならないか。大丈夫。信じよう。うん。俺は前向きに捉える事にして2人に話しかける。
俺「今2人はフリーというか、誰とも組んでないんだろ?ウチに入らないか?前衛がもう少しいた方が俺は助かる。」
キース「何言ってるんです!あんな恐ろしい魔法使う人の仲間にはなれませんよ!」
ザック「そうだ!故意じゃなくともあの威力の魔法に当たったら死んじまう!」
俺「いやいや、あの大きさの魔物を倒せる事の方が重要だろう。分け前は増えるぞ。」
キース「お金で釣る気ですか!」
ザック「確かに得られる報酬が増えるのは良い。」
キース「乗せられてどうするんですか!」
ザック「俺には養う家族がいる。提案としては魅力的だ。」
俺「そんな簡単に誤射する様な奴はいないから大丈夫だよ。」
キース「く、確かに生活の面では良い話ですね。貴方が安全保障してくれるというなら入ります。」
ザック「儂もお前さんが保障するなら入る。」
何故だろう。俺が責任者みたいになってる。それに2人共こんなに用心深い性格してたかな?それにゲームではキースは確か、エレナに一目惚れ的な感じだった覚えがあったのに何か違う。まさかまた何かしくじったのか?人生は上手く行かない事ばかりだな。多少の失敗は仕方ないと思うけど何か上手く行かない。2人の勧誘が出来たから結果だけ見れば成功と言えるけど何か納得出来ない。何処を間違えたんだ?
まぁ、間違いが分かっても俺はセーブやロードが出来る訳じゃない。そう考えると気にしてもしょうがないか。チームとして上手くやれる様にすればとりあえずは大丈夫だろう。エレナの方は若干の違いはあれどなんとか予定通りになった。後は鍛えて魔王に備えよう。
ジンはどうするかな?アイリスに全部押し付ける訳にはなぁ。まだ課題は山積みだ。
エレナ「ん?どうした?」
俺「いや、人生って上手く行かないなって思っただけさ。」
エレナ「自力でドラゴン倒したかったのか?」
俺「そこじゃ無いんだよな。」
エレナ「じゃあ何処だ?」
俺「悪い、忘れてくれ。」
エレナ「ん?分かった。」
無事にイベントをクリアして宿に帰る。昼のドラゴンの写真と動画をアイリスに送ると、直ぐに返信というか電話が来る。
アイリス「ちょっと何あの写真と動画!本物?本当にドラゴン?」
俺「驚いたろ。俺も間近で見て圧巻だったね。もう倒したからあいつはいないけど最高にカッコよかった。」
アイリス「うわぁ〜、私も見たかったぁ〜。折角ファンタジーな世界に来たのにまだドラゴン見てないからなぁ。というかそっちだけ異世界、楽しんでない?」
俺「これでもそれなりに死ぬ思いとかして大変なんだけど。まぁ、今日ドラゴンが見れたのは良い思い出かな?」
アイリス「はぁ、私も生で見たい。」
俺「じゃあ魔王の一件が片付いたら一緒に探しに行くか?」
アイリス「シリウス、それ死亡フラグじゃない?」
俺「え?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます