第8話 坂本さんと甘々と
「ここがオタク君の部屋かー、意外と片付いてるね」
俺たちが付き合う事になってからというか初めて坂本さんが家までやってきた。
「それにしてもやっぱり本が多いねぇ………エッチな本とか置いてないの?」
それが部屋に来て一番最初に言う言葉か。俺が否定するため口を開こうとすると坂本さんが制した。
「何も言わなくてもいいよ! 男の子は絶対に持ってないって言うからねぇ、エリナさんの勘だとぉ……」
そう言って顎に手を置いて考え始めた。
「ベッドの下だぁ! ……あれ、ない」
と言って覗きこむがそんなところにあるわけがない。大体今はネットで買えるのだ。本なんて持っている人の方が少ないんじゃないだろうか。
俺はジュースを持ってくるから何がいいと聞いた。
「ん? ジュース持ってきてくれるの? ならオレンジジュースで! それまでにオタク君の秘密を暴いてみせるよ!」
オレンジジュースならあったはずだ。俺は坂本さんに頑張ってと告げて下にジュースを取りに行った。
「…………」
部屋に戻るため階段を登っていると音が聞こえない。
やけに静かだ。飽きたのかな?
そう思って部屋に入ると坂本さんが一冊の本を真剣に読んでいた。
「………ッ!? オタク君、戻ってきたんだ!?」
かなり驚いているどうしたのだろう。
「オタク君さ、この本に書いてあるような事して欲しいの?」
俺は本を見て思わず固まった。声が出なくなってしまった。
「この、優しいメイドさんに耳かきしてもらう話って漫画だけど、オタク君の性癖でてるよね?」
違う! と言い切れないのが悲しいところだ。
「メイドさんに耳かきって……」
もしかしてひかられてしまったのだろうか。初の彼女にこんな事で引かれるなんて……
「そ、その彼女に耳かきだったらできないこともないんじゃない?」
顔を赤くしながらそんな提案をしてくれた。
「ほ、ほらやってあげるから耳かき持ってきて」
俺は言われるがまま耳かきを差し出した。
「よ、よし。それじゃあここに横になって」
そう言って自分の膝をポンポンと叩く坂本さん。
俺はお願いしますと言って横になった。
「い、いくよ?」
そう言って耳かきをしてくれた。気持ちいい。
「痛くない? 慣れてないから痛かったら言ってね」
俺は気持ちいいくらいだと言った。
「気持ちいい? うん、それならよかった。それにしてもオタク君は耳が綺麗だね。毎日耳掃除ちゃんとしてるんだね」
なんとも言えない恥ずかしさだ。
「あっ、でもやっぱり1人だと取り残しもあるね。………取れた」
今の気持ちよかった。体がブルっとした。
「おれ? もしかして今のが気持ちよかったの?」
と言ってさっきと同じ事をされる。うっ、気持ちいい。
「エリナさんレベルになると耳かきもマスターしちゃうんだなー、じゃあこの梵天を使ってっと」
ふわふわしていてゾワゾワする。
人にやってもらう耳かきがここまでとは思わなかった。
「はい、じゃあ次は逆側ね。ごろんして」
ごろんって俺は子供か。
そう思いつつも逆側の耳を向ける。
「うん、こっちも綺麗だね。じゃあ行くよ」
そう言って耳の外側から耳かきを始めた。
「ん、これは……ふー。よし、綺麗になった」
そう言って突然吐息を吹きかけられた。体がビクッとなってしまう。
「あっ、ごめんごめん。びっくりしちゃったね」
そう言いつつも耳かきを止めることはない。
「じゃあ次は奥だね」
と言って耳の穴を耳掃除される。だんだん眠くなってきたな。
「あれ? 目が閉じかけてるよ? 眠くなってきたら寝てもいいからね」
そう言って頭を撫でられた。これは本当に眠ってしまいそうだ。
「よし、大体綺麗なったね。また、梵天を使って……」
………
「あれ? 眠っちゃった? ふー……起きないなー」
彼は私の膝の上ですーすーと寝息を立てている。
髪を撫でて上げると気持ちよさそうな表情になった。
「おやすみ」
そう言って寝息を立てている彼の頬にキスをした。
隣の席の金髪ギャルでモデルな美少女が俺に話しかけてくるんだが コーラ @ko-ra
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