第7話 孤児院
ギルドでの話が終わり、シゲヒロは孤児院にたどり着いた。孤児院の表では子供達が遊んでおり、シゲヒロが来たことが分かると奥に入っていってしまった。これは警戒されているかと思うとシスターが孤児院から出てくる。そして丁寧に挨拶をしてくれた。
「私はこの孤児院のシスターをしております。ハールートと申します。孤児院にはどんなご用事でいらしたのでしょうか?」
挨拶してくれたシスターもどこか警戒しているような感じを受けたがシゲヒロはギルドマスターから受け取った手紙を渡し、手短に要件を話す。
「今は手元にないのですが商品をギルドに卸すことになりまして、それを作成する人手が必要なのです。それでここの子供たちの中で私に見受けされてもよいと言う子がいれば見受けしようと思いまして」
そう話すと、シスターは手紙を読み始めた。読み終わる迄待っていると、シスターの態度は急変し孤児院の中に入るように勧めてくれる。シゲヒロは遠慮なく中に入らせてもらうことにした。
「先ほどは失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。実は子供たちを見受けした後、奴隷商に売ってしまうという事案が数件ありまして警戒していたのです。先ほどの手紙でシゲヒロさんの立場は確認が取れましたので安心しました。では、子供たちを連れてきますので少しお待ちください」
そう言ってシスターは孤児院の奥へ向かった。少し待っていると、五人の女の子を連れてシスターが戻ってきた。
「この子達はもうすぐ孤児院を立ち去られなければならない年齢でまだ職が決まっていない子たちです。左からアミーヤ、シルヴィア、アリカ、ソラヤ、レラジャです。気に入った子がいれば見受けしていただけるとありがたいのですが・・・」
シスターがそう言った後、子供たちはそれぞれ自己紹介をしてくれた。それぞれできることなども交えて。この世界では手に職をつけることも大変なのだなとこの時シゲヒロは感じたのであった。
「シスター、ここに薪はありますが?よろしければ一本拝借したいのですが」
そう言うとシスターは駆け足で薪を持ってきてくれた。シゲヒロはそれをナイフでギルドに売ることになった道具状に加工していく。シゲヒロは子供たちに話しかけながら作業を進めていく。
「君たちに頼もうとしている作業はこうやって木を加工して箱状にすること。その箱の中心部分をくり抜くこと。そしてそれぞれに魔法陣を描くこと。魔法陣は簡単に書けるようにするから今はできなくて大丈夫だよ。あとは家事手伝いなんかの作業だよ。きちんと三食用意するし、お風呂もたまには入れるからね。ただ、僕の注意したことは厳守すること。家には危険なものも多いからね。それでもかまわないのであればみんな受け入れるよ」
そうシゲヒロが言い終わった途端、シスターと子供達全員が泣き出した。普通は見受けされた子供には食事は一食、一日中働くこともあるらしい。それが当たり前の世界でお風呂まで入れるような待遇で働ける場所はないらしい。
やはりこの世界も貧富の差は激しいのだなと感じざるおえないシゲヒロであった。
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