第6話 便利アイテム

ゴブリンが洋館に連れてこられてから三日が経った。ゴブリンは毎日麻痺毒入りの食事を差し出されながらもなんの警戒もなく食べている。そろそろ毒の効き目が悪くなってきているためこのゴブリン達は処分しないと駄目だなと感じてきている最中だ。そして次の日、ゴブリンを処分し、魔石だけは回収しておいた。また、体の構造を把握するためにまんべんなく解剖されて処分されたのであった。


シゲヒロはゴブリンの魔石を砕いて粉状にする。そして燃えやすいように乾燥した木の平面の中心をくり抜いて魔法陣を描く。その後くり抜いた方にも魔法陣を描き、くり抜いた木を差し込むと魔法陣が完成するようにした。この魔法陣は発火の魔法陣で描かれた対象に熱を持たせる魔法陣だ。これを試作品として二つ作成し、冒険者ギルドへと向かう。


冒険者ギルドに到着すると、シゲヒロの担当となっている受付嬢のところへ向かう。


「ゴブリンの捕獲を二匹お願いします」


シゲヒロがそう言うと、受付嬢が返事を返す。


「既に二匹、捕獲が住んでおりますが、この後洋館まで配送いたしましょうか?」


シゲヒロは準備の良さに驚いていたが。

「お願いします」

と言っておいた。そしてギルドに来る前に作った発火装置を見せ、

「これ、売りに出せますかね?」

と尋ねる。


受付嬢はそれがいったい何なのかが分からずに?を浮かべていたがとりあえずギルドマスターや冒険者たち、それに薪を集めてもらうことにしギルドの演習場へと向かった。


演習場にはたくさんの冒険者が集まりだし、遅れてギルドマスターと受付嬢が現れた。


「何か、売りたいものがあると聞いたがその手に持ったちんちくりんな物を売りたいのか?」


そうギルドマスターが尋ねる。


「そうです。まずこれは発火の魔法陣が描かれた木の箱です。一部くり抜かれているのは魔法陣が誤作動を起こさないための処置です。これに、くり抜いた木の棒を差し込むと」


そう言いながら、シゲヒロは木の棒を木の箱に差し込んだ。すると発火の魔法陣が完成し木の箱が燃え始める。それを集めてもらっていた薪に放り込む。すると短時間で燃え広がり瞬時に焚火が完成した。


「このように焚火を作るのを簡単にする道具ですね」


そう説明したが周りにいた者は口をぽかんと開けたまま何もしゃべらない。代表してギルドマスターが話す。


「これほどの物を一体いくらで売る気だ?」


「使用しているのは木の端材とゴブリンの魔石です。その材料費に手間賃を加えた金額ですね。一個で銅貨一枚の利益が出れば十分かと」


ちなみに銅貨一枚とは黒パンが一個帰る程度の値段である。現代日本で表すなら100円程度であろう。


「銅貨二枚程度か。安すぎるな。それだと買い手を多くつくぞ」


そうギルドマスターが念を押すが、作り方は簡単なので孤児を見受けして作成してもらおうかと思います。洋館は広いですし、生活場所には困らないでしょう。


ギルドマスターは頭を抱えていたが。


「分かった。買い取りはうちで行う。売値はもう少し高くさせてもらうがな。銅貨三枚程度か。あと孤児院には俺から一筆書いておこう」


そう言って、話は打ち切りとなりシゲヒロはギルドの中で書面を受け取り、孤児院に向かった。

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