第3話 麻酔
ギルドの奥へ通されたシゲヒロは多くの植物を乾燥させている現場にたどり着いた。
「こちらがギルドで採取している植物の一覧となります」
「こちらの中にしびれを起こす、眠気を引き起こす効果があるものはありますか?」
受付嬢ははてなマークを浮かべ数分固まっていた。その間ギルドマスターが対応してくれた。
「そう言ったものはこのギルドでは買い取りを行っていません」
「買い取らないということはあることは認知しているということでよろしいですか?」
「はい。いくつか心当たりがあります」
「それは良かった。それならばそれらの採取と買い取りをお願いします」
「あなたは毒でも作るつもりなのですか?」
「あながち間違いではありませんが、麻酔といったものを作ろうと考えています」
その言葉を聞いて、シゲヒロ以外の全員が麻酔?という反応をしている。
「例えば、腕が腐り切り落とさなければならないときどうしていますか?」
「抵抗がなければ腕の上部を縛り上げ、そのまま斧などで切り落とします。抵抗が激しければ気絶させます」
「私が作ろうとしている麻酔とは、そのような時に投与することで意識や痛覚を遮断して抵抗などをさせないようにする薬の一種ですね」
「なるほど、一応植物の効果に当てはまった部分がありますがそれが完成するまでにどれほど実験が必要なのですか?」
「それは分かりません。ただ人間で実験を行うわけにはいきませんので先程のゴブリン・・・でしたが?そちらで様子を見て調合していく予定です」
「分かりました。あなた限定の受け渡しとさせていただけるのであれば、ギルドでの買取を行います」
「それで結構です。この麻酔は完成すると私の場所以外でも使用できるとは思いますが、どのように扱いますか?」
「私個人では決定はできませんが、シゲヒロ殿のところで管理、使用を限定した方がよろしいかと。念のため領主に相談してみます」
「分かりました。ではそのようにお願いします」
冒険者ギルドでやることも終わったため次は鍛冶屋に向かう。鍛冶屋に着くと親方と思われる人が数人の冒険者を追い出していた。
「こちらとらこれで耐久面は費用面を考慮して作ってやがんだ。ド素人が口を出すんじゃねぇ」
それを聞いて冒険者たちは逃げ出していった。そこへおばばが話しかける。
「それぐらいにおし、まったくあんたはいつまでたっても頑固だね」
「おばば様、今日はどのような御用で」
急に畏まった様子の親方にシゲヒロは挨拶をする。
「こんにちは。私はシゲヒロというものです。実は作って欲しいものがあるのですが、ご依頼よろしいですか?」
シゲヒロの丁寧な挨拶に毒気を抜かれた親方であるが、仕事の依頼と聞いてやる気を出していた。
「で、どんなものを作って欲しいんだい?」
「ご説明しますので、何か書くものはありますか?」
そう言って奥の方から弟子と思われる人が炭と木の板を持ってきた。シゲヒロはそれで彫刻刀と注射針、蒸留器の図面を描き説明していく。
親方はいままで見たこともない道具に目から鱗を出していたが、難しい依頼ということは分かったらしく全力で取り組ませてもらうと意気込んでいた。
これ以上長居は無用かと思いシゲヒロたちは木工屋に移動することにした。
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