第788話 型がメインになるって感じかなぁ?

 運動場にやって来た。

 そして、ほぼ似たようなタイミングでファティマを筆頭に女子の参加者たちも到着。

 また、エトアラ嬢とセテルタのカップルなど男女の組も来たところで、本日の参加者が揃ったといったところだろうか。

 うん、予想していたことだけど……昨日より増えたねぇ……

 それはそれとして早速、運動場内を軽く走るなどの準備運動を始める。

 そうして身体が温まったところで、素振りを開始。

 この際、剣術に慣れていない者たちを別に集めてグループを作り、「基礎からコース」を開設することにした。

 まあ、男子はみんな最低限の基礎は備わっているようなので、基礎からコースを受講するのは全員女子となる。

 そこで、モチベーションアップの意味も込めて、そちらの講師役をロイターとサンズにやってもらうことにした。

 この2人は技量の高さはもちろん、俺たちの中でも特に女子の扱いに慣れているだろうからね。

 といっているうちに……目がハートマークになりながら基礎からコースを受講している女子が多数。

 ま、まあね……目はハートマークでも、身体はちゃんと剣を振っているようなのでヨシとしておこうと思う。

 一方、基礎ができている者たちには、「一般コース」として素振りのあと型の稽古に入っていく。

 ただ、レミリネ流については、ほとんどの者が武闘大会で見ただけか、それ以前に俺たちがやっていた模擬戦のときに見た程度であろうと思う。

 そのため、まずは俺が見本として一般コースの受講者たちに型を披露したあと、一つ一つの動きに説明を加えていく。

 その説明が一通りできたところで、個別に型練習に入ってもらう。

 このとき、俺とレミリネ流の動きをある程度理解できている前期からの模擬戦メンバーたちは、見回りながら個別に修正点を指導していく。

 とまあ、みんなレミリネ流を習い始めたばかりということもあり、今のところ練習内容としては型がメインになるって感じかなぁ?

 そしてたぶん、基礎からコースの子たちもそう遠くないうちに一般コースに合流できるだろうし……ある程度みんな型を身に付けることができたら、実践練習として模擬戦の割合を増やしていきたいね。

 まっ! そのあいだに脱落者が出ないで済むよう、こちらも丁寧にかつやる気を刺激していけるよう全力を尽くしていこう!!


「おぉっ! 今の一振り、力が乗っていてよかったぞ!!」

「本当ですか!? ありがとうございます!!」

「うむ! あとはそうだな……こんな感じで、狙う角度を修正すれば、さらによくなるだろう!!」

「はい! やってみます!!」


 こうして見本なども見せつつ、指導を加える。

 また、見てて思うこととして、実家が貴族の子たちはゴリッゴリの武力でのし上がったであろう先祖の遺伝を受け継いでいるのか、なかなかスジのいい子が多い気がする。

 そんな様子を見ていると、期待が膨らむばかりだ。

 それと同時に、みんなにアッサリ追い抜かされてしまわないよう、俺ももっともっと鍛錬を積んで行かねばならんね!


「えいっ! やぁっ!!」

「ほう、いい気合だ! その調子でどんどん行こう!!」

「はいっ! アレス様っ!! えいっ! やぁっ!!」

「うむうむ」


 そしてやはり、褒められて嫌な気がする人はほとんどいないだろうからね、モチベーション維持のためにも、いいなって思ったところは積極的に褒めて行こうと思うのだ。

 そんなこんなで時間は過ぎ、お次は模擬戦。

 まあ、模擬戦とはいえ、現段階ではガッツンガッツンやり合うって感じではなく、本日の学びを確認するという意味合いのほうが強いものである。

 そのため、攻め手が型の動きを繰り出し、受け手がそれを受けるって感じになっているのだ。


「ていっ! ていっ! やぁぁぁぁぁっ!!」

「ふむ、まだ粗削りではあるが……悪くないぞ!」

「やっ! たぁぁっ! うれしい! ですっ!!」

「さあ、遠慮せずもっともっと打ち込んでくるがいい! その一打一打を積み重ねた先に、栄光が待っている!!」

「はぁぁぁぃっ!!」


 さて、この子はこれからどんな実力者に成長していくだろうか……それを思い浮かべると、楽しみになってくるね。

 そうして模擬戦が終わったところで……クールダウンの意味も込めつつ最後は魔力操作だ!


「皆の表情を見渡してみたところ……充実した時間を過ごせたようで何よりだ! それでは、本日の締めくくりとして魔力操作の練習をして終わろうじゃないか!!」

「やっぱり、最後はそれなのね……」

「ま、まあ……アレス様だから……」

「でも、思いっきり動いたあとだからさ……いくらか身体を休めることもできていいかも?」

「それもそうね……」

「剣術もそうだけど、こうやって毎日魔力操作も頑張ってたら、そのうちメチャクチャ強くなってそうだよねぇ~っ?」

「卒業後は、宮廷騎士や宮廷魔法士だって夢じゃなかったりして!?」

「えぇっ! そんなエリート中のエリートに!?」

「わぁっ! すっご~い!!」

「……よし! 皆準備はできているようだな? それでは、各自始めッ!!」

「「「はいっ!!」」」


 フッ、君らの努力次第では、きっとなんだってなれるさ。

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