第729話 互角の魔法運用能力
「……始めっ!」
『さぁて、本日最後の試合でもある1年生女子の部決勝戦! ノアキア・イアストア対ファティマ・ミーティアムの試合が始まりました!!』
『ここまで、男子に負けないぐらいの素晴らしい試合を重ねてきた2人ですからね……この試合もきっと、見どころ満載の勝負となるでしょう』
『ええ! おっしゃるとおり、一瞬たりとも目の離せない試合となりそうですね!! といったところで……えぇと、舞台中央から衝撃波が伝わってきているように感じますが……?』
『はい、見た目には分かりづらいかもしれませんが……両者が風属性の魔法を撃ち合い、それが舞台中央でぶつかってできた衝撃波ですね』
『なるほど、風属性ですか! それにしても、もともと視認性の低い風属性とはいえ、両選手とも本当に分かりづらい魔法を撃ちますねぇ……』
『はい……しかも、2人の魔法は闇属性で隠蔽を施されているわけではないのが、恐ろしいところです』
『なんと! それはつまり、純然たる風属性の技術力だけであれだけ分かりづらくしている……ということですよね!?』
『ええ、まさしくです……この魔法一つとっても、2人の実力の高さが思い知らされるというものです』
『まさに! 決勝の幕開けを飾るにふさわしい撃ち合いといえそうですね!!』
『はい、そのとおりでしょう』
ふむ……俺があの場に立ったとしたら、眼に魔力を込めて視るか、魔力そのものを感じ取るかってところだろうな。
まあ、無視して魔纏で防いじゃうっていう手もあるけど……さっきシュウに突破されたばかりだしな……
といいつつ、シュウレベルの奴がどれだけいるのかって話ではあるけどね。
ただ、今の俺にできる最高レベルの魔纏でも、シュウみたいに一点に集中したら突破できてしまうことは変えようもない事実なので、これからはより一層強度を高められるよう、魔纏の技術レベルを磨かねばならんね。
加えて、魔纏に頼りきらず、素の防御能力も高めていく必要もあるだろう。
こうして武闘大会に参加したおかげで課題を見つけることができた……実にありがたいものだよ。
「おぉ~う! さっすがファティマちゃんだ!!」
「あのエルフ族を相手に互角の魔法運用能力……凄いが過ぎるよぉぉぉぉぉぉっ!!」
「初っ端から魅せてくれますねぇ!」
「いいよ、いいよ! そのまま勝っちゃって!!」
「たとえ魔法は視えずとも、ファティマ様の美しいお姿を目にすることができているだけで……僕は幸せです」
「……なぁ、どうせならよ……ファティマちゃんの魔法も視てみたくねぇか?」
「そ、それは……でも、そんなことでき……」
「できるさ、魔力操作をやりさえすればな……って、魔力操作狂いならいいそうだよな?」
「あっ……あ……」
「う~む、もしかしてだが……彼がうるさいぐらいに魔力操作を勧めていたのは、こういった場面を見越してのことかもしれんな?」
「そうか! ファティマちゃんの魔法を視えるようにするためだったのかッ!!」
「い、いや……まあ、うむ……間違ってはいないが……」
「ファティマ様の魔法を視るため……そうか、そうだったのか……!!」
「俺たちもさ……ファティマちゃんを追って、そろそろ次のステージに上がるときなんだろうな……」
「ファティマちゃんのために……それなら、クソめんどくせぇ魔力操作をやってもいいかも……」
ほう、魔力操作の波がファティマヲタたちにも来たようだ。
諸君! 是非ともその波を乗りこなしてくれたまえ!!
ついでに、ウインドボードなんかも上手く乗りこなせるようなったら、グレイトだね!!
「まだ始まったばかりとはいえ……もう少しこう、ノアキアは圧倒できないものなの?」
「そうよね、エルフ族といったら魔法が得意って聞いているのに……ファティマのクソ女なんかと互角って、どういうことォ!?」
「なんていうかぁ……肩透かしってカンジ?」
「いえてる……そして、このままだと期待外れに終わりそう……」
「でもさ、どっちもまだ様子見段階なんだろうし……まだまだこれからなんじゃない?」
「まあねぇ……」
「とにかく、ミーティアム家の小娘が負ければいいのよ! それもボッコボコにされてね!!」
「あの調子だと、さすがにボッコボコまでは無理っぽい気がするけどね……」
「ていうかさ、ぶっちゃけ私としては、ノアキアもあんまり好きじゃないのよね……」
「それ、分かるぅ! なんかさ、あの子も上から目線がヒドイもんねぇ?」
「そうそう! そんでもって『私はプライド高いから』って態度でしょ? あれ、すんごいピキッときちゃう!!」
「まあ、実際にそれだけの実力があるんだし、種族的な文化も違うんだからさ……仕方ない部分もあるんじゃない?」
「文化の違いぃ? そんなん、ここはカイラスエント王国なんだから、あの子のほうが合わせなさいっつーの!!」
「その辺は、まだ学んでる途中でもあるだろうし、こっちも寛容にさ……ね?」
「うっざぁ~っ! 相手に合わせるとか、基本中の基本でしょ!!」
「まあまあ、とりあえず今は試合観戦に集中しとこ?」
「ふん、しょうがないわね……」
まあ、ノアキアはなぁ……原作ゲームでも、ツンデレ担当みたいなところがあったからねぇ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます