第672話 3回戦に進むのは……

『この第4試合を持ちまして、1年生女子の部2回戦が全て終了となりました。このあとは舞台の整備と小休憩を挟みまして、1年生男子の部3回戦が始まります。ベスト4の男子たちの闘いぶりに、ぜひともご期待ください』


 女子の2回戦が終わった。

 というわけで、軽く頭の中でおさらいをしておこうかね。

 まず第1試合は、パルフェナ・グレアリミス対ドーズ・ヴァンダン(ドワーフ族ヒロイン)だった。

 この試合はそうだな……パルフェナの薙刀とドワーフ族ヒロインの大槌による物理戦闘メインの勝負って感じだったね。

 そして結果としては、見事パルフェナが勝利を飾った!

 まあ、パルフェナが勝つと信じて疑っていなかったが、それでもパーティーメンバーであり、日々一緒に頑張っている仲間の勝利は嬉しいものである。

 ただ、信じて疑っていなかったとはいえ……やはり原作ゲームのヒロインだけあってか、ドワーフ族の子もなかなかに強かった。

 なぜなら、あの大槌による一撃……まともに喰らったら確実にアウトだっただろうからね……

 その点、パルフェナは薙刀のリーチを活かして上手く闘ったもんだよ!

 でもまあ……普段から攻撃力ありまくりの俺たちと模擬戦を重ねてきたのだから、ある程度慣れていたともいえるかもしれないけどね!!

 とまあ、第1試合に関してはそんな感じかな?


 次に第2試合は、ノアキア・イアストア(エルフ族ヒロイン)対スクリア・セルツファムだった。

 そしてスクリアは、俺が魔力操作を勧めた子だったので、もちろん応援していた。

 でもね……残念ながら負けてしまったんだ……

 ただ、そうはいっても相手は原作ゲームのヒロインであり、さらにいえばエルフ族という魔法の超エリートでもあるからね……

 それに対しスクリアは、俺が魔力操作を勧めたというだけあって、今年に入ってから本格的に頑張りだしたばかりなのだ。

 よって、現時点では仕方ない部分もあるし、むしろ短い期間でよく伸びたとすらいえるだろう。

 そう考えると、これから……来年、再来年はどうなっているか分からんよっていいたいところだ。

 というわけでスクリアには、今回の悔しさを糧として次に活かしていってもらいたいし、俺としても稽古や相談等のサポートはいくらでも受け付けたいと思う。


 そして第3試合は、ファティマ・ミーティアム対ズミカ(昆虫食ガールの魔族少女)だった。

 この試合は、俺の感覚的に当然というべきかファティマが勝利した……まあ、それ自体はいいんだけど、なんというか……ね。

 いや、ちゃんと試合にはなっていたし、駄目ってわけじゃなかったんだけどさ……

 でもね……魔族少女が終始ファティマに対するビビりを隠し切れてなかったんだよ。

 とはいうものの、おそらく一般の観客とか、あんまし魔力操作の練習をしてない奴なんかは気付いてなかったと思うけどね……

 ただ逆に、しっかり練習して実力を付けている奴なら、魔族少女から発せられる魔力の感じ的に内心ビビり散らかしていたのを感じ取っていたんじゃないかと思う。

 というわけで、そういうのを分かることができたかどうかで、そいつの実力をある程度判断することができるだろう。

 それはそうと……あの魔族少女、地味に学園の男子たちから人気があるんだよね……

 試合中も「ズミカたん、がんばぇー!」とか応援されてたしさ……

 そういった状況を目にすると、実際に人魔融和が進んでるんだなぁって気もしてくる。

 まあ、人魔融和が進むこと自体に文句をいうつもりはないし、無駄に争うよりはそのほうがずっといいだろう。

 そう考えると、その流れを邪魔しようとしているマヌケ族はマジで鬱陶しい奴らだなって思う。

 とはいえ、彼らには彼らなりの正義があるのかもしれんけどね……でも、ウザいものはウザい。

 とまあ、少々脱線したが、第3試合についてはファティマの完勝だったといっていいだろう。


 ラストの第4試合は、ゼネットナット・ウォルフ(獣人族ヒロイン)対ニア・ミルトレアン(幼馴染ヒロイン)だった。

 ここで、おそらく多くの人が「ウォルフ」と聞いてすぐ、狼の獣人なんだろうなって思ったことだろう……まあ、俺もキャラクターのイラストを見ているからというのもあるが、原作ゲームをプレイしたとき思ったからね。

 とりあえず「それはそれで、分かりやすくていいんじゃない?」とでもいっておこうかな……

 それで試合についてだが、勝敗自体は獣人族ヒロインの勝利に終わった。

 まあ、原作ゲームでも幼馴染ヒロインは特別に育てない限りは基本ステータスが全ヒロイン中最弱だったからね……そういった意味では仕方ない部分が多々あるだろう。

 とはいえ、幼馴染ヒロインもラクルスと一緒に王女殿下の取り巻き入りしており、周りに刺激を受けながら実力も磨かれていたはず。

 よって、原作ゲームのこの時点の幼馴染ヒロインよりは強いんじゃないかと思う。

 ただ、そうして実力を伸ばしていたとしても、獣人族ヒロインのほうが現時点では強かった……それだけのことだろう。

 それに獣人族ヒロインは物理戦闘が全ヒロイン中最強といえる存在で、この時点でもかなり強いからね……まだ伸びきっていない幼馴染ヒロインにはキツかっただろうとも思うわけだ。

 ま、幼馴染ヒロインも、これから頑張ってくれたまえって感じだね。


 とまあ、こんな感じで3回戦に進むのは……パルフェナ、エルフ族ヒロイン、ファティマ、獣人族ヒロインの4人となったってわけだ。


「というわけで、パルフェナにファティマよ……3回戦進出おめでとう!」

「何が『というわけ』だったのか、ちょっと分かんないけど……うん! ありがとう!!」

「まあ、当然の結果といっておこうかしらね」

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