第650話 昼休憩を挟みまして
『この第8試合を持ちまして、1年生女子の部1回戦が全て終了しました。このあとは舞台の整備と昼休憩を挟みまして、1年生男子の部2回戦となります。男子たちの熱い闘いにご期待ください』
女子の1回戦が終わった。
結果としては、もちろんファティマとパルフェナは危なげなく2回戦進出を決めた。
そして、原作ゲームのヒロイン勢もシッカリと1回戦を突破。
ただ、原作ゲームのヒロイン勢といっても王女殿下と魔族は出ていないので、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、幼馴染の4人が2回戦進出を果たしたことになる。
まあ、魔族ヒロインの代わりといってはなんだが、昆虫食ガールのズミカっていう元マヌケ族らしき魔族が2回戦に進んでいるね。
ちなみに、もはやいうまでもないことだろうけど、エリナ先生はヒロインではないのであしからずといったところだ。
こんな感じで7人まで挙げてきたわけだが……俺が魔力操作を勧めた子の中から1人、2回戦に駒を進めることができた。
この1人っていうのが多いか少ないかっていうのは意見の分かれるところかもしれないけど……俺としては、かなり頑張ったほうだと思っている。
なぜなら、ファティマとパルフェナは当然のこととして、原作ゲームのヒロイン勢もヒロインとなり得るだけのポテンシャルを持った子たちだからね、やっぱり基本的に強いんだよ。
あと、魔族の子も種族的に魔法に長けているからね、闘えば普通に強いし。
そんなわけで、7人まではほぼ確定的な状況だったので、1人だけでもじゅうぶんな結果といえるだろうと思うんだ。
「ようやく男子と女子、それぞれの1回戦が終わったわけか……」
「男共と比べれば多少はマイルドだったと思うけど……でもやっぱり、1年の1回戦とは思えない試合ばっかりだったな……」
「ああ、物理戦闘のほうはそこまで極端に驚くほどではなかったと思うが……魔法のレベルがとにかく高かった……」
「いやいや、物理戦闘だって凄かっただろ! 特に獣人族の子とか凄くなかったか!?」
「あと、ドワーフ族の子なんかも凄かったよね! ほら、あの大槌による一撃を思い出してごらんよ、メチャクチャ重そうな一撃だったでしょ!?」
「おいおい、挙がってくるのが異種族ばっかじゃねぇかよ……」
「まあなぁ……俺たち人間族に比べて、獣人族は身体能力の高い奴が多いみたいだし、ドワーフ族も腕力がズバ抜けてるみたいだからなぁ……当然といえば当然な気がしてくるよ」
「そういえば、異種族で思い出したけど……男子のほうは16人全員、人間族だったよな?」
「いわれてみれば……確かにそうだ」
「しかも、あの16人全員が王国所属の貴族だって話だろ? そう考えると、このカイラスエント王国はこれから先も安泰だなって気がしてくるぜ!!」
「やっぱ、戦いは男の仕事だからな! 強い男のそろったカイラスエント王国! 最高じゃないか!!」
「おうとも! カイラスエント王国万歳だ!!」
「カイラスエント王国万歳!!」
「「「カイラスエント王国万歳!!」」」
おやおや、一般の観客たちが急に盛り上がり出したようだ。
ちなみに、ヒロイン勢のエルフ族、ドワーフ族、獣人族の3人はこの王国所属ではない。
前世っぽくいうなら、外国へ留学しているって感じだ。
しかもこの3人、それぞれ族長の娘とか孫っていう設定だったはず。
まあ、ゲームのヒロインだもんね……やっぱり、それなりに設定は盛っておかないとだよね。
そんなふうに盛ってあるからこそ、ゲームで活躍することにも納得感があるんだろうし。
ああ、異種族ヒロインの中で魔族の子だけは、人間族に成り済ましている関係上この王国所属となっている……あくまでも書類上はね。
というのも、それはこの王国に潜り込むために用意した偽りのものであって、本当に所属しているのは出身部族だからさ。
ついでにいうと、こちらも族長の孫という設定が用意されていたはず……あいかわらず盛ってるねぇ。
あと、ズミカっていう魔族の子も同じように王国所属となっているみたいだね。
ただし、こっちはたぶん精神的にも王国所属となっているんじゃないかな?
学園長の教えを受けて人魔融和派になってるみたいだし。
……おっと、のんびり考え事をしていたら、腹内アレス君から昼食の要求がきてしまった。
はいはい、これから行きますよ~
それで、俺たち本戦進出者には食事スペースが特別に設けられている。
また、1人1人個別に用意された控室に食事を運んでもらうことだって可能だ。
これは、それぞれが心身ともにベストなコンディションで試合に臨めるようにっていう学園側からの配慮だろうね。
それはそれとして、俺たち夕食後の模擬戦メンバーはそろって食事スペースに昼食をいただきに向かう。
さぁ~て! お昼は何を食べるとしようかなぁ!?
といいつつ、食べ過ぎで試合に集中できませんでしたってことになったら困るので、控えめの食事となることをあらかじめ腹内アレス君に了承してもらっている。
……まあ、間が悪いというべきか、俺の出番が2回戦第1試合となっているからね、仕方ないことなんだ。
というわけで……お昼と食べたら、ついに主人公君との対戦だ! ワクワクするねぇ!!
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