第616話 組み合わせが決定した!!
「……今日まで皆が積み重ねてきた努力の成果を見せてくれ! 期待している!!」
開会式といえば、偉い人のスピーチは付き物だろう。
というわけで、国王陛下のありがたいお言葉を頂戴した。
まあ、この王国で一番偉い人のお言葉だからね、真面目に聞かないわけにはいかないもんね!
といいつつ、俺が前世で目にしていた異世界物の作品では、そういう偉い人に対してタメ口とか横柄な態度で接するみたいな主人公もまあまあいた気がする。
別に優等生ぶりたいわけではないが、さすがにそれをマネするのはハードルが高いなって気がしちゃう。
とりあえず、その辺のところは俺の中のイキリ虫も弁えてくれているんじゃないかと思う。
そうして開会式も終盤といったところで、武闘大会のルール説明がなされる。
俺たち出場者はルールを知っているので、ここで改めて説明される必要もないけど、観戦者の皆様はそうじゃないからね。
まあ、観戦者の中には「毎年観戦してます!」って人もいるだろうけど、「今年が初めてです」って人もいるだろう。
そんな感じで既に知っているけど、せっかく説明してくれているのだから、軽くおさらいしとくとしますかね。
・勝利条件:制服の胸ポケットに挿した相手の最上級ポーションの瓶を割るか奪えば勝利(相手を死に至らしめることは禁止)
・降参方法:口頭による宣言か胸ポケットに挿したポーションを自ら使用した場合に降参とみなされる
・使用可能な装備及び道具:制服を着用し、学園が用意した武器を各自選んで使用(戦闘能力を著しく向上させる補助系魔道具や胸ポケットに挿したポーション以外の薬品の使用は禁止)
・魔法の使用可否:特に制限なし
とりあえず、大事なこととしては、これぐらいかな?
ちなみに回復用のポーションについてだが、これは対戦中に使用できないだけで、優勝者が決まるまでずっと使えないというわけではない。
そのため、1回戦が終わったあとに使用し、全回復して2回戦に挑む、そして3回戦以降も……って感じで、対戦が終わるごとに使うことは禁止されていない。
このことについて、「途中でポーションを使うことなく、体力を温存するなど工夫を凝らして闘いながら優勝しろ!」という意見もあるだろうし、そういうルールの大会もあると思う。
だが、この学園主催の武闘大会は、そういうルールでやるということである。
そのため俺の予定としては、ダメージや疲労があろうとなかろうと1回戦が終わったら、スポーツドリンク感覚でポーションを飲むつもりだ。
まあ、実際のところ「今日1日ポーションを使っちゃ駄目だよ」ってなったら、俺みたいな保有魔力量が豊富で回復魔法も使える奴が圧倒的に有利になるだろう……さらにいうと、空気中の魔素を体内で魔力に変換して使うこともできるからね、勝ち進むごとにヌルゲーになっていくといっても過言ではないだろう。
ああ、でも……ロイターたちも回復魔法や魔素変換を当然のようにできるから、条件としてはあんまり変わらんかもしれないね。
そんなこんなで開会式が終わり、引き続いて組み合わせの抽選がおこなわれる。
この抽選方法だが、名前を呼ばれた1人ずつが箱の中に入った札を引いていき、その札に書かれてある番号順にトーナメント表を埋めていくって感じで、実にシンプル。
ここで正直なことをいえば、魔法的に派手な演出を期待しないでもなかったが……それはまあ、仕方ないね。
「ロイター・エンハンザルト!!」
この札を引く順番だが、入場時の順番そのままである。
一応、家格に配慮って感じかな?
この点について「予選時の順位でもよかったのでは?」という意見も出そうだが、俺たち1年男子の場合は15人目までズラリと1位が並んでるからね……どっちみち家格順にならざるを得ないだろう。
「ロイター・エンハンザルト……16番!!」
とかなんとか考えているうちにロイターが札を引き、16番だったようだ。
「次! セテルタ・モッツケラス!!」
さて、何番を引くのかな?
そしてセテルタは、引いた番号札を係の先生に渡す。
「セテルタ・モッツケラス……8番!!」
ほう、末広がりの8か……セテルタめ、なかなか縁起がいいじゃないの!
「次! アレス・ソエラルタウト!!」
やってきました、俺の引く順番!
イケてる番号を引いちゃいますよ!!
なんて思いつつ箱の前に出て……いざ!!
そして、引いた番号札を係の先生に渡す。
「アレス・ソエラルタウト……1番!!」
ふふん! どんなもんだい!!
いちばーん! こりゃあ、幸先がいいんじゃないですか?
とかなんとか考えているあいだにも抽選は進み、次々と番号札が引かれていく。
それに伴い、トーナメント表がどんどん埋まっていく。
そうしてついに! 組み合わせが決定した!!
それがこちら!!
1:アレス・ソエラルタウト
2:テクンド・ダンルンカク
3:ラクルス・ヴェルサレッド
4:トーリグ・ザスツ
5:ヴィーン・ランジグカンザ
6:マトゥ・ケウダリ
7:トイ・ライクラッツ
8:セテルタ・モッツケラス
9:シュウ・ウークーレン
10:ソイル・マグナグリンド
11:カイリー・スノルアクツ
12:サンズ・デラッドレンス
13:ホウフウ・ソンメント
14:ティオグ・マイヅ
15:ハソッド・テルームゥ
16:ロイター・エンハンザルト
というわけで、俺の1回戦の相手はテクンド・ダンルンカク……そう、以前俺に敵意をぶつけてきていた敵意君だ!
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