第601話 予選を兼ねた模擬戦を終了とする!

「……これをもって、武闘大会の予選を兼ねた模擬戦を終了とする! 皆、今日までよく闘ったことと思う! そして、本戦進出者の名前は明日の昼頃に掲示板にて公表することになるだろう! また、予選通過決定戦が必要な場合は、それについても掲示にて知らせるので、よく確認しておくように! 最後に、来週は本戦とその準備期間のため授業は休みとなるが、本戦進出者は本戦に向けて最後の調整をするのはもちろんのこと、ほかの生徒もこの模擬戦期間中に見つかった弱点の改善に努めたり、疲労した体を休めたりするなど有意義に過ごしてもらいたい! 以上だ、解散!!」


 こうして、ついに予選を兼ねた模擬戦期間が終了した。

 う~ん、長かったような、短かったような……って感じだったね。

 そして、俺やロイターたち夕食後の模擬戦メンバーは、セテルタの取り巻きを除き、全勝を達成できた。

 というわけでトーリグやハソッドも、ファティマのいったとおり勝利を収めたわけである……さすがリーダーファティマ、なんでもお見通しだね!

 それから、俺としてはいろんなタイプの奴と模擬戦ができて、いい経験を積めたなって思っている。

 まあ、初週で何人かの対戦相手に棄権とかされなかったら、もっと経験を積めただろうにっていう気持ちもないではないけどね。

 いや、別に学園の行事とか関係なく、運動場で自主練してる奴に適当に声をかけて個人的に模擬戦をしてみるっていうのもアリっちゃアリだと思うけどね……応じてくれればだけど。

 ちなみに、先ほど先生がいっていた予選通過決定戦が必要な場合は、来週の地の日……前世でいうところの月曜日におこなわれることとなる。

 また、本戦は来週の光闇無の3日間でおこなわれる……まあ、前世の金土日って感じだね。

 そして光の日は1年、闇の日は2年、無の日は3年って感じで、各学年1日で第1試合から決勝までやっちゃうみたい、もちろん男女両方ね。

 まあ、普通なら1年より2年、2年より3年の試合のほうがレベルが高くなると思われるだろうから、こういう日程になるのも納得だ。

 ああ、言い忘れてたかもしれないけど、この学園主催の武闘大会は公開でおこなわれるので、貴族の御偉方は当然見に来るし、観戦チケットを手に入れさえすれば、平民だって観戦可能だ。

 そんなわけで、光闇無で徐々に観戦者たちのボルテージを上げていくって感じなんじゃないかと思う。

 フッ、そんなふうにみんな思っているかもしれないが……今年の1年はちょっと違うぜ? なんていえるぐらいの試合を観戦者たちにお見せしたいところだ。

 また、そういった観戦者がたくさんいるということは、レミリネ流を広く知らしめるチャンスといえるだろうからね、気合も入るってもんだよ!

 それと、観戦者がいるってことから察した人もいるかもしれないが、今までの予選は運動場でおこなわれ、本戦は闘技場でやることになる……その華やかな舞台に立つっていうのも、生徒たちの目標の一つだったかもしれない。

 まあ、俺とロイターは決闘によって、一足先に闘技場という舞台に立ってるんだけどね。

 とはいえ、あのときは学園関係者しか観戦者がいなかったから、やっぱり華やかさは武闘大会のほうが圧倒的に上だろうとは思う。

 ま! 観戦者が多ければ多いほど、燃えていきたいところだね!!

 そんなことを思いつつ、自室へ戻って来た。


「ただいま、キズナ君! 見事全勝達成したよ!!」


 そんな感じでキズナ君に挨拶を一つして、まずはシャワーを浴びてサッパリする。

 フフッ、今日もガッツある若者から模擬戦で学ばせてもらったからね!

 といいつつ、そのときかいた汗は既に浄化の魔法でキレイにしてあるけどね!!

 というわけで、シャワーはなんとなくのルーティンというわけだ。

 そしてシャワーのあとは、今日の模擬戦について自分のことに限らず、あれこれキズナ君に語って聞かせる。

 まあ、シュウという名の武術オタクのメガネが今日も一瞬でケリをつけた話とか、注目に値する対戦を思い返しながらって感じでね。

 たぶんだけど、そうやって思い返しながら言語化を試みることで復習にもなり、自分自身の深い学びにつながっているんじゃないかと思ってみたりもする。


「……おっと、もうこんな時間か……そろそろ夕食だから、食堂に行ってくるよ! またあとでね!!」


 こうして、ある程度話し終えたところで夕食の時間がきたので、男子寮の食堂へ向かう。

 あまり遅くなると、腹内アレス君がご立腹となってしまうだろうからね……気を付けなければならない。

 そして、食堂までの道すがら生徒たちの様子を見てみると、明るい奴と沈んだ奴、表情がハッキリ別れているね……まあ、表情に特別変化のない奴は、元から戦闘に興味ない系って感じかな?

 そんな生徒たちの姿を眺めつつ、男子寮の食堂に到着。

 さぁて、今日もたくさん食べて、夕食後の模擬戦に備えるとしますかね!

 というわけで、あれこれ料理をかき集め、席の空いているテーブルを見つけて着席。

 そして、ロイターたちはまだ来ていないようなので、お先にいただくこととする。

 それじゃあ、食事と共にロイターたちが来るまでのあいだ、周囲の会話に耳を傾けるとしようかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る