第570話 いかがなものかと思うぞ?
「……勝者! パルフェナ・グレアリミス!!」
武闘大会の予選を兼ねた模擬戦、今日はまだ俺の出番がきていないので、パーティーメンバーや模擬戦フレンズなどの知り合い、それからたまたま興味を持った奴の闘いぶりを観察している。
そして今しがた、パーティーメンバーであるパルフェナが勝利を収めたところだ。
といいつつパルフェナも、ファティマに匹敵するぐらいの実力者だからね、基本的に勝ち確だろうとは思ってた。
それでたぶん、あの2人が苦戦する可能性があるとしたら……原作ゲームのヒロイン勢かなって感じ。
とはいえ、ヒロインの中で王女殿下とは対戦しない……まあ、いろいろと差し障りがあるからね……
というわけで、2人が対戦する可能性があるとしたら、異種族ヒロインか幼馴染ヒロインあたりかな?
……ああ、でも、異種族ヒロインで、いまだに人間族に成りすましたままでいる魔族ヒロインのゾフィネは、正体を隠すためなのか、本気を出していないっぽいからなぁ……
そのため闘い方が無難というか、あんまり目立たない……もっといえば、たまに負けたりもしているぐらい。
一応、原作ゲームの設定的にあんまり好戦的な性格ではないということだったけど、かといって魔族……いや、あえていうとマヌケ族的にストレスが溜まったりしないのかな? とか思っちゃう。
……まあ、大丈夫だからこそ、こうして人間族の中でスパイ活動をできているんだろうけどね。
それともう1人、おそらくマヌケ族が人間族に成りすましていた女子……というより、今となっては俺の認識的に昆虫食ガールのズミカって子のほうが、正体も明かしているだけに生徒たちからの注目度が高いといえるだろう。
というか、魔族としての実力を隠さなくていいぶん普通に強いから、勝ち星も重ねまくりだし。
それに何より、学園長直伝の壁系統の魔法……これがなかなかに強力なようで、女子たちはまずあれを突破するのが至難の業って感じだ。
まあね、俺も魔纏にはとてもお世話になっているだけに、壁系統の魔法で防御をガッチガチに固めている奴には、ちょっとした親近感を覚えなくもない。
だからといって、一緒に昆虫食を愉しむ自信はないけどね……
そして、腹内アレス君も特にそれには反応を示さないでおいてくれるので、助かるって感じ。
「……やっぱ、パルフェナちゃんが最高だよな?」
「ああ、なんだかんだいって結局……パルフェナちゃんの包容力には勝てないと思うね」
「いやぁ~いいよなぁ~俺も包まれたいッ!!」
「嗚呼……彼女を僕のものにできたなら……」
……うん、やはりというべきか、パルフェナの人気も凄いね。
それに、パルフェナには今のところ特定の相手がいないってところも、要素としては大きいかもしれない。
まあ、俺も多少お相手としてウワサになることもあるみたいだけど、あくまでもウワサって感じで、事実として受け止められていないっぽいし。
また、ロイターとセテルタを除いた模擬戦フレンズの男子たちも、接点があるだけにウワサされることもあるみたいだけど、俺と同じくちょっとしたウワサレベル止まりって感じ。
「てめぇら……パルフェナさんにきったねぇ感情を抱いてんじゃねぇぞ?」
「そのとおり! 貴様らのような、品性愚劣な輩がパルフェナ様に劣情を催すなど、万死に値する!!」
「な、なんだよ……俺たちはただ……」
「そうだよ、『パルフェナちゃん、いいよね?』って話してただけじゃないか……」
「カッコつけてるけど……お前らだって、包まれたいんだろ?」
「嗚呼……近くに見えるのに、どうしてこんなに僕らの距離は遠いのだろう……」
「ええい、黙れ! 黙れ!!」
「貴様らの性根、我々が叩き直してくれる! 模擬戦で当たることを楽しみにしておけ!!」
「えぇっ……面倒そうなのに因縁をつけられてしまった……」
「別に、簡単にやられるつもりはないけど……当たりたくないなぁ……」
「おいおい、俺が求めてるのは『叩く』じゃなく『包む』だ……オーケー?」
「闘いに勝ったら、君は僕を見てくれるかな……?」
……ほうほう、パルフェナのファンクラブにもいろいろ派閥があって、これからその抗争が始まるって感じかな?
でもまあ、どんな形にせよ、切磋琢磨する機会になればいいと思う。
それに、全力でぶつかり合ったからこそ、分かり合えるってこともあるだろうしさ。
フフッ……君らの奮戦、期待しているよ?
「……えっ、魔力操作狂いの奴……アイツらに向けて獰猛な笑みを浮かべていないか?」
「あ、本当だ……もしかして『俺のものに手を出そうとする奴は許さん!』って感じなのか?」
「ということは、パルフェナちゃんとのウワサ……マジだったってことかぁ……」
「えぇっ!! ウソでしょ!? じ、じゃあ……ファティマちゃんのことはどうなるの……?」
「そんなもん……奴が全部持ってくってだけの話だろ……」
「ひ、ひどい……」
「ま、しょうがないんだよ……弱い俺たちが悪いんだからさ……」
「そうだな……きっと模擬戦で当たれば、アッサリ打ちのめされて終わりだろうし……そんな俺たちじゃあ、彼女たちの気を引くのは無理ってもんさ……」
おいおい、君たち……そういう感情に任せて適当なウワサを拡散するのはいかがなものかと思うぞ?
「……次! アレス・ソエラルタウト!! そして……」
おっと、出番がきたみたいだ……それじゃあ、いっちょやったるか!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます