第556話 涙目でしょうねぇ……
腹内アレス君が満足してくれたので、俺も昼食を終えて自室に戻ることにした。
「ただいま、キズナ君! 秋季交流夜会が終わって、学園全体が次の武闘大会に向けて動き出し始めたって感じだったよ!!」
そんな感じでキズナ君に挨拶と、先ほどの1年生が2年生に怒られたっていうエピソードトークをした。
その話をキズナ君が楽しんでくれていたら嬉しい限りだね。
「というわけで、今日も鍛錬! 鍛錬~ッ!!」
……なんて、ちょっと歌ってみつつ、早速鍛錬開始。
まずは精神統一がてら魔力操作をし、気持ちが整ったら素振りなどの基礎をこなし、徐々にエンジンを上げていく。
そして、レミリネ流剣術の型をみっちりおこなったところで、今日もイメージのレミリネ師匠と模擬戦をする。
まあ、当然というか、武闘大会は対人戦になるわけだからね、イメージとはいえレミリネ師匠との模擬戦が圧倒的にタメになるだろう。
それに生身の相手としてなら、夕食後にロイターたちと模擬戦を重ねているからね、そちらも万全といえるだろう。
というわけで、レミリネ師匠との模擬戦に集中!
「……そこッ! ……クッ!!」
俺の狙いなど、最初から気付いていたといわんばかりにアッサリと払われる。
そして、そのまま追撃の一太刀が襲いかかる。
「グクッ……クッ……」
女性で、しかもスケルトンボディからは信じられないほど斬撃に重みがある……それは単なる腕力うんぬんの話ではなく、力の乗せ方なのだろう。
その重さに圧されつつなんとか耐えしのぎ、反撃の糸口を探す……しかし、防戦一方……
なんとか次の一手を……そう思っているうちに、レミリネ師匠の動きが一段階上がる。
その動きにどうにかついていこうとするが……
「……クゥッ! ……参りました」
スケルトンダンジョンで稽古を付けてもらうようになってからずっと、レミリネ師匠は俺に合わせて徐々に動きのレベルを上げていくという感じだった。
そのためもあってか、俺のイメージの中のレミリネ師匠もそんな感じで稽古を付けてくれる。
「……フゥ……まだまだ遥か高みにいらっしゃる……でも、いつか同じ高さに立って、同じ景色を見れるようになってみせます!!」
……改めて、そうイメージのレミリネ師匠に宣言する。
すると、レミリネ師匠が微笑んでくれた気がする……スケルトンフェイスだから分かりづらいけど、きっとね。
「……それでは! 今日もご指導ありがとうございます!!」
そうして夕方になったので、レミリネ師匠に挨拶をして稽古を終える。
そしていつものようにシャワーを浴びて、男子寮の食堂へ。
今日は既にロイターとサンズがいたので、2人のいるテーブルに向かう。
「よう! 今日は早かったみたいだな?」
「ああ、そうだな」
「今日は比較的、声をかけられることが少なかったですからね」
「比較的……ね」
「まあな」
「あはは……」
どうやら、派閥入り希望者がまだまだいるらしい……
まあ、エトアラ嬢とセテルタの立ち位置をどう見るかで考え方も変わってくるだろうからなぁ……
「セテルタたちが王女殿下の派閥入りしたと思う者……そして、私たちの派閥だと思う者……いろいろだな」
「それに、僕たちも含めて王女殿下の派閥だと思っている人もいますね」
「ふぅん? ま、どう思われようと構わんな」
というより、原作ゲームのストーリーが念頭にあって、俺の頭は王女殿下が王位を継ぐって流れにほとんどなってるぐらいだし……
「おっ、ここだったか!」
「こんばんわ、みなさん!」
「今日は誘いを受けなかったので、ご一緒させていただこうかと思いましてねぇ」
「……」
ここに、ヴィーンたちも登場。
ハソッドがいうように、今日は女子たちからお誘いがなかったのだろう……よかったね?
そして、トーリグが武闘大会について話題を振ってきた。
「来週から……ついに、予選だな!?」
「時間的に、1年生全員と当たるってわけじゃないみたいだからね……どうなるかな?」
「さて、対戦相手に誰が組まれることになるやら……まあ、アレスさんやロイターさんみたいな優勝候補と当たった人は涙目でしょうねぇ……」
「……」
「予選か……まずは私たち全員が本戦に残らねばならんな?」
「フフッ、そうですね……思わぬ取りこぼしのないようにしたいものです」
「そこんところ、俺たちって毎日公開で模擬戦をやってるから、それを見て対策を立ててくる奴がいそうだな?」
「う~ん、正直アレスさん相手に対策をどうのこうのいっても意味がないだろうが……俺やハソッド辺りにはじゅうぶん効果があるだろうな!」
「まあ、実際のところ僕らが本戦に残るかどうかのボーダーでしょうねぇ……」
「よっし! 僕も負けてられないぞ!!」
「……油断はできない」
まあね、今の時点だと確かにトーリグやハソッド……あとはセテルタの取り巻きたちぐらいがベスト16に入るかどうかって感じだろうね。
それと内心、ハソッドに「優勝候補」といわれて悪い気がしない……
でもまあ、1年生で参加するであろう顔ぶれを考えると、確かに俺かロイターだろうなって感じだ。
それをロイターも意識してか……
「……アレス、本戦で勝負だ」
「フフッ……受けて立つ!」
「あのですね……僕のことも忘れてもらっては困りますよ?」
「チィッ……俺も早くそのレベルに立ちたいぜ!」
「ですねぇ……」
「僕も頑張んなきゃ!」
「……ああ」
いいね、いいねぇ! ますます楽しみなってきた!!
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