第553話 予選が存在する
今日は地の日ということで、学園の授業が始まる……それはつまり! エリナ先生に会える日の始まり!!
フフッ……エリナ先生に会える幸せを噛みしめながら、授業を聞くぜ!
というわけで、喜び勇んで授業に臨む!!
「みんな、秋季交流夜会は有意義に過ごせたかしら?」
教壇に立ったエリナ先生の第一声はそれだった。
もちろんです、エリナ先生!
エトアラ嬢とセテルタのビッグカップルが誕生したのですから!!
といいつつ、知ってるだろうとは思うけどね。
それに、クラスメイトたちの中にもセテルタのほうをチラチラと見ている奴もいるぐらいだし。
フフッ……そんな視線を向けられて、ちょっぴり頬を染めるセテルタがなんとも初々しくてイイ感じだ。
セテルタ、ぜひとも君はそのままでいてくれよな!
それから、ここはAクラスだからね……家格的にも成績的にもモテる奴だらけの教室なので、基本的にみんなまんざらでもない顔を浮かべているって感じだ。
「そして、みんなも既に知っていることだけれど改めて、次の行事としては武闘大会があるわ」
はい、そのとおりです!
絶対に! 必ず! カッコいいところをお見せしたいと思います!!
そんな闘志を燃やしつつ、エリナ先生を見つめる。
「ふふっ……なかなか気合が入っているようね?」
まあ、武系の、特に男子は同じように燃えてる奴が多いだろうから、エリナ先生のセリフは俺にだけ向けたものではないのだろう。
でも、そんなことは関係なく、心の中で今のセリフは俺だけで独占しておこうと思う。
「……そこで、武闘大会参加希望届けの提出期限が今週中だから、よく考えて参加を希望する生徒は忘れずに提出すること、いいわね?」
はいっ! 間違いなく提出いたします!!
そうして、エリナ先生に会いに行けるオフィシャルな理由が1つ出来たので、俺としては嬉しい限りだ。
ちなみに、この武術大会であるが、形式的には俺が以前ロイターとやったような学園式決闘とほとんど一緒。
制服で参加し、胸ポケットに挿している相手のポーションの瓶を割るか奪えば勝利。
もちろん、相手を死に至らしめることは禁止。
そして、口頭による宣言か胸ポケットに挿したポーションを自ら使用した場合に降参となるのも同じ。
また、魔法はオッケーだけど、マジックバッグ等の補助系魔道具や胸ポケットに挿したポーション以外の薬品の使用が禁止されているのも変わらず。
そこで違うところといえば、使用可能な武器についてかな?
これは、自前で用意した武器を使うことができず、学園が用意した武器を各自選んで使うこととなる。
まあ、どうしたって家格が上の生徒のほうが強力な魔法的付与の付いた武器とかを準備出来ちゃうだろうからね……その辺の平等を期すためって感じだと思う。
というと、生まれ持った保有魔力量はどうなんだ? ってなりそうな気もするが、それは本人の実力ということでご理解いただきたいところだ……
そんなこんなで、俺も今回トレントブラザーズを使うことができない。
まあ、マラカスであるミキジ君とミキゾウ君は一応手加減用に用意していた武器ではあるんだけど、それでも材質がトレントだけあって普通にメチャ強だからね……
そして当然のことながらトレン刀のミキオ君に至っては、相手を殺さないほうが難しいぐらいだし……
それから、ここでいう武闘大会っていうのは、4週間後に開催される本戦のことを指している。
そして、本戦というぐらいだから、予選が存在する。
その予選っていうのが、来週から始まる。
内容としては、授業時間に加えて午後からの時間も利用して模擬戦を重ねて、その勝率の上位16名が本戦に進むことができるって感じ。
この模擬戦は武闘大会の参加希望うんぬんは関係なく、学園の生徒みんなが強制的にやらされる。
まあ、学期の成績評価にもつながるわけだからね……全敗とかなったら、メチャクチャ成績が悪くなってクラス落ちとかもあるんじゃない?
だから、武系だ文系だとかはいってられないってところだろうね。
また、そんなわけで参加希望を出していない生徒が模擬戦の上位16名に入ることだってあり得るだろう。
というか、大会系統に参加しないことで有名なシュウ・ウークーレンという武術オタクのメガネがそんな感じになりそうな気がする。
そういう場合は、その下の17番目が繰り上がるって感じだね。
そんで、その17番目も……ってなったら、その次の18番目が! とかそんな感じで、とにかく参加希望を出した者の中で上位16名が本戦出場者となるわけだ。
この点に関して、昨日ファティマは武闘大会のことを「まだもう少し先の話……」といっていたわけだが、予選突破を当然のこととして考えている辺り恐れ入るって感じだね。
いやまあ、俺だってそれぐらいは堅いと思っていないわけでもないんだけどさ……
とはいえ、この予選でどこまで実力を見せるのかってところから、既に武闘大会が始まっているともいえるだろう。
やはり奥の手なんかは、本戦まで取っておきたいとか思うのが普通の心理だろうからね。
そこんところ、俺たちは運動場でメッチャ公開しながら模擬戦をやっている辺り、サービスがいいともいえるかもしれない。
いや、みんなそういう切り札の1つや2つ隠してる可能性もあるけどさ……知らんけど。
ただ、俺に関してはほとんどそういうのはないといえるだろう……魔纏でガッチリとガードを固め、物理戦闘はレミリネ流剣術、あとはそのときの状況次第で魔力マシマシで魔法を放つだけ……うん、実にシンプル!
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