第454話 前途に祝福あらんことを!!
「おはよう、アレス兄ちゃん!」
「おはよう、リッド君」
夜が明けて、朝練の時間である。
リッド君と挨拶を交わし、着替えを済ませて朝練に向かう。
そして村の子供たちが集っている広場にはなんと! 何人か平静シリーズを3つ身に付けている子がいる!!
「よう、リッドとアレス兄ちゃんたち!」
「お……おっす……」
「……よう」
「やはり、君たちにそれはまだ早かったのではありませんかねぇ?」
「う、うっせ! 俺は……リッドに負けて……らんねぇんだ!!」
「フン……そういうこと……だ!」
「無理しちゃって……やぁねぇ?」
「でも、そういうのもカワイイってもんじゃない?」
「そう?」
「それにしても、こうして比べてみるとリッドくんの凄さがより際立って見えちゃうね?」
「確かにぃ!」
「くっ……負けねぇ……」
「フン……最後に勝つのは……オレ様だ」
ワイワイと今日も元気な子供たちである。
それとリッド君が凄いのはもちろんだけど、平静シリーズを3つ装備して気を失っていないだけ、よく頑張ってるほうなんじゃないかなって思う。
それから、リッド君にライバル心を燃やして頑張ることで彼らも成長していけるだろうし、リッド君にもいい刺激となるはず!
そんな感じで互いに切磋琢磨していってくれることを期待しているよ!!
ちなみにだけど、昨日もそうだったが、カッツ君は朝練に参加していないみたいだ。
いや、別に強制ではないので、ソレバ村の子供全員が参加しているってわけでもないんだけどね。
そしてたぶんだけど、カッツ君の場合はほぼ一日中大地と魔力交流しているみたいな状態だろうから、それはそれで独自のレベルアップをしていくんだろうなって感じがする。
それに実際のところ、ズートミンに誘拐されそうになっていたときも、カッツ君の言葉どおり俺やサナがいなくても自分の身を守れていたと思う。
というのが、あのときカッツ君は地属性の魔力を練り上げていて発動準備オッケーな状態だったからね。
こうして見ていると、ソレバ村には将来性バツグンな子供たちがたくさんいてワックワクしてしまう。
そんなことを思いつつ、朝練をスタートする。
また、無理をして平静シリーズを着てきた子の場合、さすがに走るペースどうこうの問題ではない状態なので、魔力交流でアシストしながら走ることにした。
「アレス兄ちゃん……すまねぇ」
「アレスのアニキに……面倒をかけちまった……」
「ごめんよぉ……」
「僕たちが……身の程知らず……でしたぁ」
「いやいや、気にしなくていいよ。むしろそのチャレンジ精神こそ褒めたたえたいと思っているぐらいさ。ただ、俺たちは今日村を出発してしまうから、明日からはサポートなしで朝練をすることになると思う。だから、そのことだけは考えておいてね」
「そっか……今日で行っちまうのか……」
「寂しくなるぜ!」
「ということは……お姉ちゃんたちも……うぅっ……」
「明日からか……無理をせず、実力を付けてから再挑戦しようかな……」
リッド君以外にも、寂しがってくれる子がいるっていうのは嬉しいもんだね。
それにどうやら、ここにもお姉さん大好き民の同志がいたようだ……君、いいセンスしてるよ! 君の前途に祝福あらんことを!!
そして、現在の自分の実力を見つめ直し、明日からどうするかを思案する子もいる。
そういう冷静な判断力もこれから必要になってくることだろう、今のうちにそういう経験をたくさん積むといいよ!
といいつつ、俺も気分次第で行動しがちなため、冷静な判断力という点についてあまり偉そうにいえない気がするけどね……
こうして早朝ランニングを終えたところで、タピオカドリンクをみんなで飲んで解散。
その際、スライムダンジョン特製のお菓子も「回復効果があるから疲れたときに食べるといい」といって配っておいた。
これからの活動に有効活用してくれることを期待したいところだ。
とまあ、そんな感じで朝練を終えてリッド君の家に戻る。
そこでは、ナミルさんが朝食の準備をして待ってくれていた。
ナミルさんの手料理を食べられるのも、これでしばらくお預けになるのかと思うと、切ないものがある。
「とても美味しいです、ナミルさん」
「ふふっ、ありがとうございます。こんなものでよければ、またいつでも食べにいらしてくださいね?」
「はい! 喜んでまた来させていただきます!!」
「待ってるよ! アレス兄ちゃん!!」
「うん、レミリネ流剣術もそうだし、まだまだ教え足りてないことがいっぱいだからね、絶対また来るよ」
「約束だよ! それまでに、オイラもいっぱい練習しておくから!!」
「よし! 次に来たときどれだけ成長しているか、楽しみにしているよ!!」
「頑張る!」
「リッド君、私も応援してるからねっ!」
「頑張ったくださいまし」
「期待している」
「リッドさんなら、きっと素晴らしい成長をされることでしょう」
「ありがとう! 姉ちゃん兄ちゃんたち!!」
しんみりし過ぎないように、努めて明るい雰囲気を保ちながら朝食を終える。
食後は少し休んでから、出発時間までのあいだリッド君にレミリネ流剣術を指導した。
そうして時間になったので、集合場所へ向かう。
集合場所には、ソレバ村のみんなも見送りに来てくれていた、嬉しいもんだね。
そして当然、ソリブク村の2人もいる。
「アレス殿、これからよろしくお願いいたす」
「ソリブク村のこと、どうかお願いいたします」
「ああ、任せてくれ」
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