第451話 よし、肚は決まった!!
「……!! わ、我が村を、お救い……くださるのか!?」
俺の突然の申し出に、驚きつつ反応を示すソリブク村の村長。
「まあ、その後の予定もあるから今週いっぱい……ああ、移動もあるから闇の日までの数日ってことになるかな? それぐらいの短い時間で土の魔力状態を把握し、管理できるようにしなくちゃならんから、ほかの村人も含めてかなりキツイ指導になるだろう……その覚悟はあるか?」
「かなりキツイ指導……だ、だが! それを乗り越えれば、本当に村を救うことができるのですな!?」
「ああ、もちろんだ」
「フーナンガ村長……実際のところ、今のソレバ村があるのはアレス殿のおかげだ。アレス殿もこういってくれていることだし、信じてお頼りするのが最高の選択であろう」
どうやら、ソリブク村の村長の名前はフーナンガというらしい。
これから数日関わることになるだろうし、一応覚えておくとするかな?
「ソッズ村長までそうおっしゃられるのなら……それによく考えれば、キツかろうがなんだろうが今の状態を少しでも早く脱することができるなら、むしろ願ったり叶ったり! よし、肚は決まった!! アレス殿といいましたか、儂の命……そして村の命運を託させていただくッ!!」
「相分かった、フーナンガ村長の覚悟に敬意を」
「……こ、今回のことは、私の罪によるもの……どうか、最後に償う機会をください……それが叶えば、以後のことはどうなっても構いません」
「何をいうか! お主の罪は、儂の罪だ!!」
「ズートミンに対し、ソレバ村からは既に立ち入り禁止という結論を出した。ゆえに、それ以上のことは求めない」
「ま、償いを求めるなら、本気で魔力操作に取り組んでソリブク村の畑に尽くせ! もしそれで足りないというのなら、いつかソレバ村に何かあったときに借りを返すんだな!!」
「……承知しました! このズートミン、命をかけて魔力操作に取り組み、ソリブク村とソレバ村に尽くします!!」
「その言葉、忘れるなよ?」
「はいッ!!」
正直、ズートミンがどこまで物になるかは分からんが、覚悟を決めた男の本気に期待しようじゃないか。
それに……もし魔王が復活したら、そのとき村の戦力となる男はどうしても必要だろうからな。
しっかり実力を付けて、今度こそ村の役に立ってくれたまえ。
そうして、ソリブク村に向けて明日の午前中に出発することとなった。
また、ソリブク村の2人は魔力操作について子供の頃に教わってから数十年やってこなかったみたいだが、一応やり方自体は知っているようなので、明日の朝まで時間を見つけて魔力操作の練習をするよう指示しておいた。
そんな話し合いをしているとき、北側での作業が終わったのか、ギドたちが合流。
その中にはリッド君も含まれており、話の内容を聞いて……
「アレス兄ちゃん……もう行っちゃうの?」
「ごめんよ、リッド君。ソリブク村の人たちのことをほっとけなくてさ……」
「………………そっかぁ、うん、オイラたちみたいに助けてあげてね!」
「ああ、任せてくれ!」
ソレバ村に到着した段階の心づもりでは、もう数日ゆっくりしてから学園都市に向かおうと思っていたのだが……それより少し早い別れになってしまってリッド君には申し訳ないと思う。
だが、学園都市とソレバ村はそこまで遠く離れているわけではないのだから、学園の後期が始まっても、また来ることができるはず。
だから……その日まで待っててくれると嬉しい。
そんなことを考えつつ、明日の出発まで残された時間をリッド君と楽しく過ごそうと思う。
そうして、まずは昼食をいただきにリッド君の家へ向かう。
また、村長たちは物資についての契約内容を詰めるため、村長の家へ向かった。
「そうですか……もっとゆっくりしていかれたらよかったのに……」
「ナミルさんにそういっていただけて、とても嬉しく思います」
「じゃあ今日の夕飯は、いつもより頑張っちゃおうかしら!」
「本当ですか!? ありがとうございます!!」
「でも、そこまで豪勢な物ではないから……あまり期待しないでちょうだいね?」
「いえ! ナミルさんの料理なら、一流の料理人が作った物にも負けません!!」
「ふふっ、ありがとうねぇ」
ソレバ村が食糧難に陥っているわけではないが、それでもいろいろと気を使わなければならないご時勢だろうからな……
でも、豪勢な食事とかそういうのはどうでもいいんだ、ナミルさんの手料理という付加価値こそが何よりも重要なのだからね!
「私も手伝いますっ!」
「あらあら、そんなに気を使ってくれなくてもいいのに」
「いえいえ~」
ここでノムルが手伝いを申し出た。
また、流れで3人娘も手伝うことになった。
何気に女子チームも仲良くなってるんだよな、よきかなよきかな。
こんな感じでナミルさんが作ってくれた昼食を味わいながら、お昼の時間を過ごす。
その後、男子チームは外に出る。
「私は少しその辺を散策してこようと思います……それでは失礼」
「えっ! ギド兄ちゃんが消えちゃった!? ……と思ったら、もうあんなところに!!」
ギドの奴め、余計な気を使いよったな?
おそらく「明日出発だから、2人の時間を満喫させやろう」とでも思ったのだろう。
まあいい、せっかくの厚意を無にすることもあるまい。
「それじゃあ、遊びに行こうか?」
「うん!」
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