第416話 それなりの効果は見込めますね

 夜が明けて、睡眠バッチリで目が覚めた。

 そしてさすがに、ダンジョン内では恒例の障壁魔法チャレンジはやっていない。

 まあ、そもそもとして俺も今日ばっかりは寝たフリをしていないからっていうのも理由として挙げられるかもしれないね。

 というわけで、各自テントから出たところで全員集合。


「……このドロップ品のインナーウェアを着てみましたが……着心地としては悪くありませんわね」

「うん、着心地はそうだね」

「パッケージに書かれていた『バツグンの着心地をお約束します』という言葉に偽りがなくてよかった」

「まあ、一応これも魔法防具の一種ではあるみたいだからなぁ」

「ええ、それなりの効果は見込めますね」


 この話題のインナーウェアであるが、14階のドロップ品である。

 なんというか、パッケージに「吸水速乾仕様」とも書いてあったあたり、スライムマジシャン(火)にちなんでいるのだろう。

 ほら、暑いと汗とかかくでしょ?

 火からそういう連想をしたんじゃないかな。

 まあね、正直こじつけ感が強いような気もしないではないが、たぶんダンジョンさんサイドの意図としてはそうなんだと思う。

 ついでだから、ほかの階のお菓子以外のドロップ品についても述べておこうかな?

 15階はウインドブレーカーで、そのものズバリって感じ。

 これはこれで、もうちょっとこう、ひねろうよって思っちゃうよね……

 それで、16階はサングラス。

 あえていう必要もないだろうけど、光ってまぶしいよねってことなのだろう。

 そしてこのサングラスだけど、生意気にもデザインが複数種類あったりする。

 まあ、オーソドックスというか、みんながイメージするような普通のデザインから、どこのパリピだよって思っちゃうようなハート型なんてものもある。

 ただ、スポーツタイプっていうのかな、前世のスポーツ選手とかが着用してそうなフィット感バツグンのサングラスが一番多く出ていたね。

 ちなみに、サングラスに付いていたタグに「UVカットレンズが紫外線から大事な目を守ります」と書いてあった……いや、ありがたいけども!

 それであとはここ、17階では首に着用するネックウォーマーや、手首・足首用などの各種ウォーマーが登場した。

 でも、各種ウォーマーと闇がどう関係するのか、あんまりピンとこないなって思った。

 それで昨晩、テントの中で精密魔力操作をやりながら考えてみたんだけど、日陰はひんやりしてたり、日光の届かない場所っていうのは冷えがちだから、「これで温めようぜ!」ってことなのかなって思った。

 それかもしくは、心が闇に閉ざされるっていうのは、言い換えると冷たくなるってことだろうから、「心の温かさを失わないでね!」っていうダンジョンさんのアツいメッセージなのかなって考えた。

 ……ま、正解については永遠に不明だろうが、それでいいや。

 とまあ、お菓子以外のドロップ品を列挙してみたのだが……前の階に出てきた中敷きとかレインコートなんかもそうだけど、このダンジョンに出てきた衣料品的なドロップ品は全部、自動でサイズ調節機能の付いた優れものだったりする。

 まあね、パッケージに「男女兼用、フリーサイズです」と誇らしげに書いてあるもんね。

 だが、そこまではいいんだ……ウインドブレーカーとか各種ウォーマーはこの時期まだ早いっていうのもあるけど、そこはもちろんいいんだ。

 でもね……どれもこれも「平静」ってロゴがワンポイントとして入っているんだよ……マジなんなんこれぇ! って感じ。

 だからさ、中敷きと同じようにそのロゴが目立たないインナーウェアとかはここで着てもいいかなって感じで着てみたってワケなのさ。

 あ、ちなみに、インナーウェアとウインドブレーカーは上下バラバラで出てきたので、地味に上下で数がそろっていなかったりするが、それはそれ。

 あと、辛うじてサングラスはテンプルの内側に「平静」というロゴがプリントしてあるだけなので、そこは問題なかった。


「アレス様、朝食の用意ができましたわ」

「私たちが愛情をい~っぱい込めて作ったよっ!」

「……ノムルは野菜を切っただけ」

「それはいわないお約束でしょ~?」

「そんな約束をした覚えはない」

「まあまあ、そんなことよりも冷めないうちに早く食べますわよ?」


 ふむ……今回3人娘が一緒に呼びに来たということは、じゃんけんをしなかったようだな。

 いや、ギドの一人負けという可能性は……あのスマイル的になさそうだ。

 そんなわけで、マジックバッグにはなんでもそろっているんだぞといわんばかりに、なかなか豪華な朝食をいただいた。

 そして食休みを挟んだところで、ダンジョン攻略の続きに向かうべく、セーフティーゾーンから出た。


「なるほどね、一晩のうちに再出現するスライムの数はこの程度か……」


 昨日の大繁殖と呼ばれていた状態と比べると、やっぱり少ないって感じがするね。

 まあ、これから討伐されずにジワジワ増えていくと、昨日のようなスライムギッシリという状態になってしまうのだろう。

 ちなみに、ここ17階で出てくるスライムマジシャン(闇)が撃ってくるダークバレットというのは、外傷は負わないけど、精神にダメージを受けるらしい。

 それって、地味に怖いよね。

 というわけで、キッチリ魔纏でガードするっきゃない。

 そんな感じで、ウォーミングアップがてら再度17階のスライムたちを狩り尽くしてから、18階へ向かう。

 さて、スライムマジシャンシリーズはこれでひととおり出会ったわけだが……次はどんなスライムに会えるのだろう、ワクワクするね。

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