第414話 目立たないっていうのもあるかな
「まあ、履き心地は悪くないな……」
「足を優しく包み込んでくれているようですわ」
「うん、ジャンプして着地した瞬間の衝撃も吸収してくれてるねっ!」
「……地味だが、これはこれでいい」
「さすがスライムダンジョンのドロップ品といったところでしょうか」
というわけで、なんとなく中敷きを使ってみた。
まあ、何気にこれも魔法防具の一種みたいだしさ。
あと、ブーツの中だから目立たないっていうのもあるかな。
そうしてスライムダンジョン特製の中敷きを新たな装備品に加えて、攻略再開となるわけだが……
「あらあら、13階のスライムはボディカラーが青色なのですわね?」
「青ってことは……水属性かな?」
「私たちを認識して、さっそくウォーターバレットを撃ってきてる」
いやまあ、なんとなくそうだろうなっていう気はしていたさ……
そして攻撃のパターンは12階のスライムマジシャン(地)とほとんど同じで、地属性から水属性のバレットに変わっただけって感じだね。
ちなみに、原作ゲームでも「スライムマジシャン(水)」という名前で登場している。
「まあいい、さっそく討伐を始めようか」
「よぉ~し、また頑張っちゃうぞっ!」
「サクサク仕留める」
「わたくしはそうですわね……試しに彼らの魔法の支配権を奪ってみましょう」
「おお、それはいい挑戦ですね、応援していますよ」
「ギドさんに応援されても……ですわね」
「そういわれると悲しくなってしまいますね……」
そしてハンカチで目元を拭う仕草。
「ねぇ……そのハンカチ、全然濡れてないよね?」
「ギドのそういうところ……やっぱりうっとうしい」
「ギドよ、せっかくスライムたちが水を飛ばしてきてくれているのだから、それを利用して濡らしておけばよかったな?」
「私としたことが、手抜かりでしたね」
とまあ、こんな感じで軽口を叩き合いながら、スライムマジシャン(水)と一応いるノーマルスライムを討伐して回った。
そしてスライムを一掃し、14階へ続く階段へ。
……さて、お待ちかねのドロップ品タ~イム!
「……ま、まさかこれはっ!」
「アレス様、どうなさったのですか?」
「え~っと、このプルプルでモチモチっとした食感……ゼリーとはちょっと違うよね?」
「……餅?」
「そのとおりっ! これは、わらび餅だっ!!」
「3つの階連続で焔菓子を出してくるとは……スライムダンジョンもなかなかよい心掛けですねぇ」
「そうとも、ここは素晴らしいダンジョンだ! これが不人気だなんて、信じられんよ!!」
わらび餅とか、なんてステキなチョイスなんだよ、まったくぅ!
これも前世の思い出なんだけど、母さんの好物だったみたいでさ、デパ地下に行った帰りによく買って帰ってきてたんだよね。
その影響もあって、俺たち家族もすっかりわらび餅ファンってワケなのさ!
「ねぇ……ういろうのときより喜び方が派手だと思わない?」
「ノムル、シィーッ!」
「わたくしたちはあのとき、ういろうに夢中で何も気付いていなかった……よろしいですわね?」
「い、いえす……」
何やらノムルたちがコソコソ話し合っていると思えば……
やっぱり12階で俺がういろうのことを一発で思い出していなかったことがバレていたようだ……ちょっと恥ずかしいぞ。
「そしてお菓子以外のドロップ品は……どうやらレインコートのようですね」
「レインコートって……それもやっぱり魔法防具なんだよね?」
「この感じ……いくらか魔法を防御できるっぽい」
「わたくしたちには魔纏や障壁魔法など、魔法を防御する手段がいくつもあってあまり頓着ありませんでしたが……魔法が不得意な方には、なかなかありがたいドロップ品かもしれませんわね」
「水にちなんでってことなんだろうが……まあいい、たくさんあるから帰ったらゲイントたちにプレゼントしてやろう」
ちなみに、このレインコートにも「平静」というロゴがワンポイントされている……いらねぇ。
そんなこんなでスライムダンジョン14階へ……
「うん……火属性だね」
というわけで既にご想像のとおりだとは思うが、ボディカラーが赤色のスライムとノーマルスライムの団体さんがいらっしゃる。
そしてもちろん、原作ゲームでは「スライムマジシャン(火)」という名称である。
それとこの際だからいっちゃうけど、ほかに(風)(光)(闇)がいる。
たぶん、この先順番に出てくるんだろうね……読めちゃってるよ。
でもまあ、これぐらい分かりやすいほうが対策を立てやすくていいのかな?
「とはいえ、こうもドカスカ魔法を撃ってこられると普通の冒険者には難易度が高いだろうな」
「そうですわねぇ、こうして魔法を撃ってこられると、ゲイントさんたちのような遠距離攻撃の利点も減ってしまいますものね……」
「おそらく、それゆえのレインコートなのでしょう」
「これかぁ……このワンポイントがなければねぇ……」
「……今日ほど魔纏のありがたみを感じた日はないといっても過言ではない」
まあね、サナのいうとおりで、俺たちには魔纏があるからレインコートを装備していないんだ。
「さて、おしゃべりはこの辺にして……14階の攻略開始だ!」
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