第359話 即行動に移ってくれた
開発地から戻り、屋敷に到着した。
「まずはシャワーを浴びて、そしたら夕食……」
「やあ、お帰りアレス様」
「実際は数日ですが、感覚的にお久しぶりですね」
「よう!」
「会いたかったっすよ!」
「お元気そうで~よかったです~」
「アレス様の顔を見て、ようやく帰ってきたって感じがするわねぇ」
自室の応接間に護衛のお姉さんたちがいた!
お姉さんたちが帰ってきたんだっ!!
「みなさんのお帰りをお待ちしておりました!」
「ふふふ、アレス様はまた凄いことを始めたようだね?」
「戻ってきて話を聞いたときは、驚きましたよ」
「はは……ちょっとばかり、やらかしてしまいまして……」
「へっ、アタイらに会えなくて寂しかったか?」
実際お姉さんたちと会えなくて寂しく思っていた。
そのため、あの雪と氷の世界を作り上げた魔法も寂しさの鬱憤晴らしと受け取ってもらって一向に構わない。
「どっちかっていうと、私たちのほうが寂しがってたかもしれないっすけどね!」
「そうですね~」
「というわけでさっそく明日、私たちも雪山へご一緒しますわぁ」
「えっ、本当ですか!?」
「ああ、明日は休暇をもらっているのでね」
「スキーかぁ、ホント久しぶり」
「アタイはアレス様と同じで、スノーボードをやるぜ」
「私もっす!」
「私は~明日の気分で決めますね~」
「ふふっ、明日が楽しみねぇ」
「私も、みなさんと一緒にスキーやスノーボードをできるのが楽しみです!」
帰ってきたら俺のほうから誘おうと思っていたのだが、お姉さんたちのほうからいってきてくれるとは……嬉しい限りだね。
そしてお姉さんたちが一緒なら、より一層スノーボードが楽しくなるってものだ!
そんな感じで、帰還の挨拶をするために俺の部屋で待っていたお姉さんたちは、明日の約束をしたところで、俺の部屋をあとにした。
そうして、シャワーを浴びて夕食を済ませる。
その際、一応報告は上がっているのだろうが、俺からも雪山がある程度完成したことを兄上に話した。
これにより、街の開発はまだまだではあるものの、雪山のほうは自由に使っていいと改めて兄上からお墨付きをもらった。
もちろん何か手伝うことがあれば、いつでも声をかけてもらうことになっている。
そして夕食が終われば、恒例の訓練だ。
今日からはまた護衛のお姉さんたちも参加してくれる、やったね!
加えて、お姉さんたちが同僚の騎士や魔法士を誘ったことで、人数がさらに増えている。
まあ、領軍全体のレベルアップは兄上も望んでいたことなので、参加者が増えるのは大歓迎だ。
といったところで今日は氷系統の魔法を重点的に練習する……できる人は魔纏を展開しながらね!
これから開発地において、俺がいなくても雪や氷を維持していかなければならないからね、しっかりと鍛錬を積んでもらうというわけさ。
そして最後は、魔力交流でフィニッシュ!
こうして夕食後の訓練を終えると、大浴場でゆったり。
その後は自室で勉強をしたり、精密魔力操作をしたりして就寝。
「さあ、今日もアレス様の障壁魔法に挑戦よ!」
「うっしゃぁ!」
「あの人たちに負けてられない……」
「そっ! ウチらこそがアレス様にふさわしいんだってとこをシッカリ見せとかないとだかんネ!」
「あの人たちというのは、もしかして私たちのことかな?」
「……あっ!」
今日も元気に、使用人たちの障壁魔法攻略チャレンジ。
そこに、護衛のお姉さんたちも登場だ。
だが、お姉さんたちは基本的に使用人たちの様子を見ている……というか、アドバイスとかをして指導しているって感じだね。
そうして適当なところで起きて、朝練に向かう。
この朝練も、今日からは魔法をメインに練習することにした。
そして走るのは、開発地への移動のときだ。
というのも、今日仕事が休みの使用人たちも雪山に行くと言い出したからね、それならみんなで走るかって感じ。
そんなわけで朝練と朝食を済ませ、さっそく開発地へ向けて走り始める。
「へぇ……見たところ道路工事は今日中に完成できそうだね」
「確か、一番基礎の部分と石材の用意はアレス様が魔法でなされたって話でしたよね?」
「はい、そうですよ」
「まあ、そりゃそうだよな、工兵たちだけじゃもっとかかってたはずだ」
「さすがアレス様っす!」
「いえいえ、それほどでもありませんよ」
「道路が完成すれば~開発も一気に進みそうですね~」
「そうねぇ、領民たちも本格的に動きだすでしょうし……気の早い商人なんかだと、もう既にって感じかしらぁ」
「……はぁ……はぁ……この……ペースで……」
「しゃべる……はぁ……余裕が……」
「はぁ……ある……なんて……」
「悔しい……」
お姉さんたちとはおしゃべりを楽しみつつ走っていたが、使用人たちのほうはこのペースに付いてくるのがやっとといった感じだ。
まあ、使用人たちのほうから「手加減無用で!」というリクエストだったからね……
とはいえ、マックススピードってわけでもない……本気なら風歩を使うし。
そんなわけで、使用人たちが付いてこれるだろうギリギリのペースで走っている。
なんて思っているうちに、開発地へ到着。
「おはようございます、アレス様」
「おう!」
メメカと挨拶を交わしたところで、雪山へ向かう。
そのときメメカに聞いたのだが、ルネさんの予想が的中。
気の早い商人が既に雪山に来て、営業の準備をしているらしい。
「……と思ったら」
「おおっ! これはこれはお客様!!」
一昨日スノーボードを買ったスポーツ用品店の店員と、その仲間たちだった。
「あのあと、すぐさま商会長に掛け合って許可をもらいましてね……本店に最低限の在庫を残して、あとは全部こちらに持ってきました」
「ほう、それは思い切ったな」
「ええ、これはチャンスと思いましたからね、全力ですよ! そして、うちで抱えている職人たちには大急ぎで道具一式の製造を頑張ってもらいつつ、手の空いている者には仕入れに走ってもらっています。それから、今ここにあるものの多くはレンタル用にして、追加で送られてきたぶんから本格的に販売も始めようかと思っています!」
「おお、いいね! いいねぇ!!」
「今は暫定的ですが、これが上手くいったら本格的にここで支店長を任せてもらうことになっているので、さらに気合いが入るというものですよ!」
「なんと! それはめでたい、ぜひとも頑張ってくれ!!」
「はい! ありがとうございます!!」
俺の言葉を聞いて即行動に移ってくれたとは、嬉しいもんだね。
今日のところは、スキーかスノーボードを持っている使用人しか来ていないが、明日は持っていない使用人を誘ってもいいかもしれないな。
なんてことを思いつつ店員と別れ、さっそくスノーボードを始める。
今日もクールに決めるぜっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます