第332話 きっとソエラルタウト家男子の遺伝ね
休憩がてらのギドとの会話も終わり、食堂で夕食をいただいている。
「アレス、今日は時間に余裕があるから、食べ終わったら一緒に訓練でもしないかい?」
「よろしいのですか!? 喜んでご一緒させていただきます!!」
おお、今日は比較的早く仕事が片付いたみたいだね!
兄上からは学ぶことも多いし、とても嬉しいお誘いだよ!!
ああ、ワクワクが止まらない~
「セスもそうだけど……アレス君も本当に訓練が好きね」
「そうですね、『よく食べて! よく訓練する!』これが私の至上の喜びといえるでしょう」
「そうなんだね、いわれるまでもないだろうけど、無理だけはしないように頑張るんだよ」
「はい、ありがとうございます!」
義姉上に応援をいただいた。
ふむ、兄上もなかなか素晴らしい女性を妻としたようだ。
あとはもう少し年齢を重ねていれば、お姉さんとしていうことなしなんだろうけどなぁ。
……もしかすると、こういった俺のお姉さんセンサーの起動具合を義母上は認識していたのかもしれない。
「うふふ、訓練好きなのは、きっとソエラルタウト家男子の遺伝ね」
「ああ……今でこそ侯爵としての忙しさから時間を確保するのに苦労しているみたいですが、父上も訓練をよくしていますものね……そして特に、学生時代は凄かったとか」
「ええ、そうよ、毎日毎日必死に努力を重ねていたわ……まあ、それだけにちょっと危なっかしくてほっとけないなって思ってもいたんだけどね……ふふっ、あの頃が懐かしいわぁ」
そういって義母上は過去の思い出に浸っているようだ。
しかしながら、クソ親父がガリ勉体質だということはさっきも聞いたが……
俺が日々楽しんで鍛錬を積むことができているのも、クソ親父の遺伝による影響があるかもしれないっていうのは……認めたくないねぇ。
これはあくまでも、俺自身の気質だといいたいところだよ。
そして、武系貴族としてある程度の強さはあると思っていたが、クソ親父は俺が想像しているよりも強いのかもしれん。
とはいえ、ノートレーニングガールな母上に一方的にボコられてたみたいだから、やっぱたいしたことないかな?
いや、それだけ母上がエグい強さだったのかもしれんけどさ。
まあ、義母上の表現的に、母上の保有魔力量は俺と同等かそれ以上っぽいし、技量も高かったみたいだからね……
そう考えると、原作ゲームの終盤レベルは最低でもあったってことだよな……それってヤバ過ぎん?
そりゃ、兄にも警戒されるわな……
しかもたぶん、実際に戦闘した場合、母上の圧勝なんだろうし。
そうなると、醜い嫉妬の末に母上を謀殺……なんてことを企てる可能性はじゅうぶん考えられるな。
だからこそ、父親も慌てて母上をクソ親父に嫁がせたのだろう。
……って、俺と兄上の関係もそれに近くね?
たぶんだけど、俺が本気で魔法を使えば兄上に勝てちゃうと思うし……兄上は俺の保有魔力量に嫉妬とかないのかね?
……ないんだろうなぁ……そういう意識も全然向けられてこないし。
フッ……俺レベルになるとな、そういう人の機微なんかも魔力で分かっちまうんだ……
といいつつ、マヌケ族の擬態はまだ見抜けないんだけどね……とほほ。
そんなわけで、兄上に魔族クラスの魔法の才能でもなければ、そういう負の感情を隠し通すことなど不可能ってわけだ。
それで何がいいたいかっていうと、兄上の器はデッカイってことさ! あのボトルキャップぐらいの器しかないクソ親父の息子なのにね!!
そんなことも思いつつ夕食を終え、訓練場へ。
「アレスの使う剣術は王国式じゃないけど、王国内での対人戦となると王国式を使ってくる人が多いだろうからね、対策として相手の出方を知るためにも、ちょっとだけ王国式を教えるよ」
「ありがとうございます!」
「それに、後期は学園内での武闘大会もあるだろうからね、その準備も兼ねてって感じかな」
「おお! 武闘大会!!」
「まあ、アレスの実力なら、そのために対策を考えなくても優勝できるとは思うけどね」
「いえいえ、私などまだまだ未熟者ですし……加えて、未知なる強豪もいるかもしれませんので……」
といいつつ、魔法をあまりセーブしないでブッ放せば、ぶっちゃけ優勝すること自体はそこまで難しいことではないと思う。
まあ、同じ学年に原作ゲームの主人公君がいるから、彼がどの程度勇者の力に目覚めているかっていう部分もあるけどね。
ただ、そうはいっても1年の時点ではそこまでレベルも上がらないだろうからさ、やっぱり敵にはならないと思う。
そして、ロイターやサンズたちの実力も模擬戦を重ねていることである程度は読めている。
あとはそうだな……シュウという名の武術オタクのメガネ次第ってところか。
でもなぁ、アイツって今まで大会に参加したことないって話だったからな……今回も出場するのかね? って思っちゃう。
それから、原作ゲームではサプライズな出場者はいなかった気がするけど、この世界でもそうかっていうのは分からんからね。
こういうときアニメとか漫画で、飛び入りでヤベェ奴が乱入してきて大会をメチャクチャにしちゃうっていう展開を割と見てきたからね、こっちでもそれがあるかもしれない。
「さて……それじゃあ一度、僕が王国式の型を見せるから、よく見ておいてね」
「はい、勉強させてもらいます!」
こうして、兄上によるカイラスエント王国式剣術のレクチャーが始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます