第205話 剣に圧力がある!!
「さて、それじゃあ……行くぞ!!」
「「オ、オォォ……!」」
戦闘開始の合図として一声かけ、まずは門番ですといわんばかりに待ち構えていたスケルトンゲートキーパー2体に斬りかかる。
そしてこの2体だが……レミリネ師匠の剣を見た瞬間、明らかに動揺しだした。
「オ……!」
「とりあえず、まずは1体! そんで、お前もビビり過ぎ!!」
「オ、オォォ……」
そんな感じで、2体ともアッサリ斬り捨てた。
まぁ、門番ともなれば、レミリネ師匠とも面識はあっただろうしな。
しかしながら、あの動揺がどういう意味のものだったのかはよくわからんね。
単純にレミリネ師匠の剣は強者の証ってだけかもしれんし……場合によっては、悪感情を抱く対象って可能性もある。
いずれにせよレミリネ師匠の剣は、コイツらにとって何かしらのリアクションをせずにはいられない剣といえそうだ。
そんなことを思いつつ、城内へ移動を開始する。
その際、チラリと城の様子を観察。
「やはりというべきか、雰囲気たっぷりな廃城だねぇ……」
壁のあっちこっちに亀裂が入っていたり、ツタが絡まっていたりして、これぞ廃城! って感じがヒシヒシと伝わってくるよ。
そして、今日という日は俺という侵入者に、この城の主は討伐されてしまうってわけさ。
「フッ……悪く思うなよ」
なんてニヒルに決めて、城の中へ。
そしてさっそく、さほど高級そうではない一般兵って感じの装備に身を包んだスケルトンたちのお出まし。
「ふむ、さしずめスケルトンソルジャーといったところか……」
そんなふうに適当にスケルトンのクラス分けなんかをしつつ、俺がレミリネ師匠の剣を構えたところ……
やっぱりなって感じで、スケルトンソルジャーたちが動揺……というか、怯えだしている。
「おいおい……この国の兵士は腰抜けばかりか?」
「オ、オォ!」
ちょいと挑発してみたら、スケルトンだけに多少骨のある奴が槍を構えて突っ込んできた。
とはいえ、半ばヤケクソ感もあるけどね。
それはともかく、槍による突撃を半身になって受け流し、そのまますれ違いざまに剣を滑らせて首を刎ねる。
それで気骨あるスケルトンは黒い煙となって消えていった。
「再出現するときまで、おやすみ」
そう一声かけつつ、残りのスケルトンソルジャーたちに視線を向けるとガタガタと震えていた。
「ほら、震えてたってしょうがないよ? どんどんおいで!!」
「オ……オォォォォ!」
「よし! その意気だ!!」
俺に一喝されたことにより、恐怖を乗り越えたスケルトンソルジャーたちが決死の覚悟で向かってくる。
……いや、もう死んでるのかもしれないけどさ。
その辺の線引きについてはおいておくとして、ようやくダンジョンの攻略って感じがしてきたね。
そんなことを思いつつ、剣や槍で斬ったり突いたりしてくるスケルトンソルジャーたちの攻撃を、捌いたり回避したりしながら1体1体始末していく。
そして後にはスケルトンソルジャー十数体分の魔石が残ったが、ドロップアイテムはなし。
……まぁね、シケてんなって思ってしまうのはしょうがないよね。
それらを回収し、攻略再開。
そうして、進むにつれて少しずつスケルトンたちの装備の質が上がっていき、鎧のデザインがレミリネ師匠と同じスケルトンが登場した。
おそらくここからがスケルトンナイトって感じかな。
「それにしても……なんでそんなに鎧がキレイなんだ?」
「オォォ!」
まぁ、なんていってるのかはわからんが……たぶん傲慢度満点なことをいってるのだと思う。
そしてコイツもレミリネ師匠の剣を認識した瞬間、態度が変わった。
「オ……ォォ……」
「はぁ……お前らビビり過ぎだろ……」
なんだろう、そんなにレミリネ師匠のことが怖いのだろうか?
それとも、よっぽど後ろめたいことでもあるのかね?
「まぁいいや……好きなだけ震えてな、スグ楽にしてやるからさ!」
そう声をかけてやりながらレミリネ師匠の剣を一閃、それでケリが付いた。
実にあっけないものだったね。
そんな手応えのない戦闘をしばらく繰り返したところで、やっとレミリネ師匠の剣にビビらない奴が出てきた。
「……ようやく、剣士らしい戦闘ができるかな?」
「オォォ!!」
そうして男気スケルトンナイトは、雄たけびを上げ向かってきた。
「来た来た来たぁ! そう来なくっちゃ!!」
まずは挨拶代わりに剣を振り抜き、互いの剣がぶつかり合う。
さすがは男気スケルトンナイトだ! 剣に圧力がある!!
「いいねぇ! すっごくいいよ!!」
「オォ!」
この男気スケルトンナイト……スケルトンの体でここまで力強い一撃を放つことができるということは、生前はかなりの剛剣使いだったのではないだろうか。
数合打ち合ってみて、そんなことを思った。
「だけど! パワーだけじゃ駄目なのさ!!」
「ッ!!」
レミリネ師匠から習った流麗な剣捌きで翻弄してやる。
すると、徐々に体制が崩れていく男気スケルトンナイト。
しかし彼も剛の者、崩れかけてはいても完全には崩れきらず、ギリギリで耐えている。
「やるじゃ! ないか!!」
「オッ! オォッ!」
そうして俺は、魔力を体力に変換することで体力無視でひたすら手数を増やし、削っていくことにした。
それに対し、男気スケルトンナイトもよく踏ん張ってはいるのだが、それでも小さなダメージは蓄積していっているのだろう。
そして限界に達した男気スケルトンナイトのガードが下がった瞬間を見逃さず、横一閃に剣を放つ。
「オォォ……」
こうして、男気スケルトンナイトは上下に二分割され、黒い霧となって果てた。
「……いい一戦だった、いつかまた手合わせしたいものだな」
レミリネ師匠に対する仕打ちから、この国の騎士には碌な奴がいないのではないかと思いかけていたのだが……
この男のように、見どころのある奴もいたようだ。
「だが、お前ほどの男がいて、なぜレミリネ師匠は国から裏切られるようなことになったのだろうな……」
そんなことを思いつつ、先へ進んだ。
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