第140話 野営研修の準備一色
「おはようキズナ君! 今日も美味しい空気をありがとう!!」
というわけで、本日無の日。
別な言い方をすれば、野営研修の前日。
今週はあっちこっちで野営研修! 野営研修!! って感じで、野営研修の準備一色だった。
まぁそれは、俺やパーティーもいっしょなんだけどね。
おっと、そんな今週の内容が知りたいだって?
ふふっ、欲しがりさんだなぁ。
いいよ、教えてあげちゃう!
まぁでも、プライバシーってやつもあるからね、全部っていうのはさすがにカンベンしてね?
そうだなぁ、まず授業の内容としては、パーティーで動くことを念頭に、水の日からクラス単位ではなく全クラス合同になったね。
これは野営研修前である今週だけの特別だね。
そんなわけで、普段は別クラスのファティマ、パルフェナそしてサンズの3人もいっしょに授業を受けた。
とはいえ、内容的にはわりと普通。
最初のうちはパーティー登録し損ねた奴らの即席パーティーにある程度配慮して、野営道具の扱い方みたいな感じがメインだった。
そうして徐々に狩猟採集的な内容にシフトしてったね。
そこでモンスターの解体なんかもやらされたんだけど、この辺なんかは俺にとっては既に得意分野と言っても過言ではない。
もうね、冒険者ギルドで学んだ技術とその後の自主練習で培った経験を総動員して、これでもかってぐらい本気の解体を周囲に見せつけたった!
加えて「どうですかエリナ先生! 俺、解体も頑張ってますよ!!」って気持ちも前面に押し出したのだ。
そんな俺に向けたエリナ先生の微笑みとはとっても美しかった。
そしてさらに「とても上手にできているわね」という暖かい言葉も凄く嬉しいものだった。
コレだよコレ! 男って奴はね、褒められて伸びるもんなんだよ!!
それがエリナ先生みたいな素敵な女性からともなればもう! これ以上ない! 断言できる!!
とまぁ少し興奮してしまったが、ロイターやサンズも慣れた顔と手付きで無難にこなしていたし、ファティマやパルフェナも嫌そうな顔をせず黙々と作業にあたっていた。
……なんというか、うちのパーティーメンバーってスペック的にさ、あんまり俺にドヤ顔イキりをさせてくれないんだよね。
こういう場面では「アレスきゅん、しゅごい!」ってなるもんじゃないの?
それなのに、しれっとした顔して淡々と作業を行う、ぼかぁ切ないよ。
とはいえ、そんな異世界テンプレよりもエリナ先生に褒められることのほうが何倍も嬉しいから、別にいいんだけどね。
それで別のパーティーに目を向けると、中身以上にお高くとまった貴族然とした雰囲気の奴らは案の定と言うべきか、かなり嫌がっていたね。
そして、パーティー内で一番実家の爵位が低い学生に押しつけようとして先生に怒られるまでがセット。
そんなに嫌かね……といいつつ、前世の俺なら躊躇していただろうけど。
とりあえず、今週の授業で語れる内容としてはこんな感じかな?
それから、放課後に関しては最初の数日はモンスター狩りで、あとは戦闘訓練ばっかりって感じだった。
まぁ、学園都市周辺のモンスターって今の俺たちにとってはあんまり強い相手じゃないからね。
それに日を重ねるごとに、予行演習のために森に入るパーティーも増えてきたからさ、そろそろ俺らはこの辺でいいかなって感じでモンスター狩りを切り上げることにしたんだ。
それはそれとして、リアクション薄めなうちのパーティーメンバーだけどさ、俺の本気の魔力探知の有効範囲についてはさすがに驚いてくれたよ。
まぁ、逆に言うとそれだけ、一応みんな魔力探知自体はできるからね。
それに普段使いなら、そこまでの距離はいらないだろうし……
そんなわけでモンスター狩りでは、オークばっか狩ってた。
かなり気合入れて奥の方まで行ったときは、上位種なんかもいたから多少はそれらも狩ったけどさ。
あと、オーガに出会うことはなかった。
……結局、襲われそうになっていた冒険者を助けたときの1回しか戦闘しなかったな。
野営研修前に何度か戦っておこうかとも思っていたんだけどね。
ま、あのとき戦った奴の実力を基準に考えれば、王女殿下やその取り巻きたちなら大丈夫だろう。
一応当日は俺も魔力探知でしっかり監視をするつもりだし、ヤバそうなら即急行するさ。
……ちょっと過保護かな?
でも、もし予想外な展開で主人公君が覚醒しないみたいなことになったら大変だしな。
……うむ、やはりここは注視一択だね。
ああそれと、ウィンドボードはパーティ活動で使っていない。
それはなぜかというと、武器屋のオッサンがあんまり使う奴がいないって言っていたのと、作るのにも時間がかかるみたいだからさ、そういうタイミングで見せびらかすみたいになっちゃうのはどうかと思ってね。
ま、のんびりできるときにまた、フウジュ君と空の旅を楽しむさ!
う~ん、放課後のパーティー活動に関してはこんなもんかな。
ああ、ロイターとサンズの2人とおこなっている模擬戦は相変わらずだね。
ロイターたちだって今までにかなりの鍛錬を積んでいたのだろうし、そんな簡単にそれをひっくり返すのは難しいことぐらいは理解しているさ。
とはいえ、今は勝敗よりも模擬戦自体が楽しいので、俺としてはなんの問題もない。
ついでに模擬戦中に負った怪我のおかげで回復魔法の練習もできちゃうし! ここ凄く重要!!
そんなわけで、今週はこんな感じだったかな。
うん、改めて考えてみても、あんまり特別な出来事なんかはなかったけど、それなりに充実した日々を過ごせていたんじゃないかなって思う。
ちなみに、今日は野営研修の前日ということで、体を休める意味も込めてパーティー活動はなし。
まぁ、ここしばらくずっとパーティー単位で行動していたからね、ちょっと息抜きも必要だよね。
そんなことを思いつつ準備を終えたので、朝練へ向かう。
ま、朝練は日々のルーティンだからね、サボるわけにはいかないさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます