第134話 把握できてきた

「今日の訓練はこれぐらいにしておこうかしら」

「ふぅ、疲れたぁ、みんなもお疲れ様~」


 今日も午後からパーティーメンバーで集まって戦闘訓練をおこない、それが今終わったところだ。


「だいぶお互いの戦闘能力も把握できてきたと思うから、そろそろ実戦に移りましょう。そこでさっそくだけれど、明日森へモンスター狩りに行くのはどうかしら?」

「モンスター狩りか、いいんじゃないか? 私は賛成だ」

「そうですね、訓練だけではわからないこともあるでしょうし、僕もいいと思います」

「ああ、俺も構わんぞ」


 まぁ、特に理由もなくこういう場面でゴチャゴチャとごねるのもどうかと思うからね。

 しかしながら、やはり先週ソレバ村に行っておいたのは盗賊問題を別にしても正解だったな。

 なんとなくこんな感じで、週末もパーティー活動に費やすことになるんじゃないかと予想していたのが当たったってわけだ、さすがは俺! 読みが鋭いって感じだね!!

 それにしても、昼に見た未だにリーダーの決まらないパーティーの惨状なんかを考えると、うちのパーティーはファティマさんを中心によくまとまっているって言えそうな気がする。

 それで、あれやこれやもスンナリ進んでいくから、比較的ストレスフリーって感じがする。

 しかもみんな戦闘能力もかなり高いわけで、その辺も余計な心配をあまりする必要がなさそうで気楽だ。

 そう思うと、原作のゲームになぜこの子らが登場していなかったのだろうかって不思議に思えてくるぐらいだ。

 まぁね、恋愛ゲームも兼ねていたわけだから「男キャラはそんなにいらんだろ」っていう制作陣の判断でロイターやサンズが出てこなかったっていうのはあるのかもしれないけどさ。

 でも、ファティマやパルフェナは十分ヒロイン役が務まりそうなスペックがありそうなんだけどなぁ、ホントわからんなぁ。

 そんなことをチラリと考えているうちに、明日は昼からモンスター狩りに行くことが決まった。


「それじゃあ、明日は昼の1時に学園都市の正門前に集合しましょう」

「みんな、それまでに準備をしっかりして遅れないようにね!」

「……パルフェナも、休みだからと言って寝過ごさないように気をつけることね」

「……うぅ、ファティマちゃん……ここでそんないじわる言うのはナシだよぉ~」


 そういえば、パルフェナって朝が弱いとかって聞いたような気がするな……

 もしや、明日も集合時間が昼からになったのはその辺が関係していたりして?

 いや、待てよ……そうなると、野営研修のとき地味に大変になるんじゃ……大丈夫なのか?

 まぁ、その辺はファティマさんが上手くやるだろ……やってくれるよな!?

 でもなぁ、寝起きでメッチャ機嫌が悪いとかってなったら、正直クソうぜぇって思っちゃいそう……


「アレス君、心配しないで! 大丈夫だから!! そんな目で私を見るのはやめてぇ~」

「いや、俺は別に……」


 いやまぁ、今回に関しては、多少顔に出ていたかもしれない。

 前世でね……いたんだよ、そういう奴が。

 修学旅行のときたまたま同室になったあんまり親しくない奴がさ、目覚ましが鳴ってるのに起きなくて……

 それで仕方なく起こしてやっただけなのに……そのあとしばらく機嫌悪いっていう……

 あのときの雰囲気、あれはめんどくさかったなぁ。


「……野営研修のときのことは心配しなくていいわ。私が責任を持ってパルフェナを起こすから」

「そうだな、さすがにそこはファティマさんにお任せするしかなかろう」

「はい、僕も同感です」

「よろしく頼んだ」

「……うぅ、みんなひどいよぉ~」


 ……最初はこれもファティマ式ジョークなのかなって思わなくもなかったが、ロイターとサンズの反応的に、わりとガチなのかもしれない。

 まぁ、とりあえずめんどくさい雰囲気さえ出さないでおいてくれたら、それでヨシとしておこう。


「さて、それじゃあ、今日のところはここで解散としましょうか」


 こうしてファティマとパルフェナの2人と別れ、俺たち男3人は男子寮の食堂に移動する。

 女子のほうでもいろいろと交友関係があるみたいだし、常にパーティーメンバー5人でつるむって感じではないんだよね。

 まぁ、俺としてはこの辺も気楽に感じるポイントだ。

 そして、夕食をガッツリといただいたあとは今日も模擬戦だ!

 相変わらず魔法なしでは全然勝てない。

 ただ、模擬戦を始めた当初は簡単にボコボコにされていたものだが、回数を重ねるうちに少しずつ、本当に少しずつではあるが粘れるようになってきている気がするのだ。

 今になってロイターやサンズが中途半端な手心を加えてくるとも思えないので、これは俺の進歩なのではないかと期待が持てる。

 とはいえ、魔法ありの場合では同じように彼らに粘られているわけではあるが……

 このお互いに徐々に強くなってきているという手応えが、俺のワクワクを加速させてくれているというわけだ。

 そんなわけで、さぁ! 今日も楽しもうぜぇ!!

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