第130話 壁系統の魔法
「今日は野営研修においてとても重要な技術となる壁系統の魔法についての話をするわね」
壁系統というと障壁や防壁とかの防御系の魔法ってことだね、実に興味深い。
しっかり勉強させてもらいます、エリナ先生!!
てなわけで授業を聞いてみたところ、障壁とか防壁とかっていってるけど、本質的には同じ魔法で強度や規模なんかの違いで区別しているらしいことがわかった。
イメージ的にはロイターが決闘のときに使っていたその瞬間のみの規模の小さいやつは障壁と考えていいみたい。
それで、コモンズ学園長が原作ゲームで学園都市を守護するために使っていたような長期間だったり規模が大きかったりするやつは防壁って扱いになるみたい。
ただ、この区別も使用者によって微妙にその線引きが異なるらしいから地味に厄介っていうね……
だから、これは俺の勝手な想像でしかないけど、プライドだけ高い中途半端な奴に「君の障壁、凄いね!」とかって褒めてみても「俺のは防壁だ!」って怒られるかもしれない。
それならばって感じで「防壁」といってみても、ひねくれた奴には「嫌味か!」って拗ねられそうだし……
ま、褒めるのもなかなかに難しいってことだね。
とりあえず、今度リッド君に会ったらこの辺のことも教えておいてあげようかな。
加えて、この辺の線引きはめんどくさいから、注意するようにってね。
少し脱線してしまったが、この壁系統の魔法、野営研修においては特に夜の時間帯に重宝するみたい。
まぁ、寝なきゃだからね。
一応見張りとかもするわけだけど、それだけじゃ危ないしさ。
……居眠りする奴とかもいるだろうし、というか俺がそうなりそう。
前世の俺なら夜更かしとか余裕って思ってたけど、こっちの世界に来てからはさ、体の成長のためにもなるべく夜はきちんと寝るようにって考えているからね、ほとんど耐性がなくなってる気がするんだ。
あと、魔力探知とかもあるでしょってなもんだけど、人によって効果範囲が違うからね……
モンスターにだいぶ接近されてから探知した場合、一撃目の防御に間に合わなくなる可能性もあるし。
というわけで夜における壁系統の魔法の重要性を述べてきたが、練度の低い奴だと寝てる間に魔力の供給が途絶えて壁が解除されてしまっている可能性もあるらしく……オイオイって感じだ。
そのため、寝るあいだは保険の意味も込めて壁系統の魔法を自動で展開しておいてくれる魔道具を用意しておくのがベターってことになるらしい。
ふむ、俺もまだ持ってないから今度買いに行こうかな。
というか、テントとかの野営道具一式もまだ用意してなかったな。
ただまぁ、腹内アレス君のおかげというべきか、食べ物はマジックバッグに大量にストックしていたし、装備品といっしょに着るものも結構入っているから、あんまりこれといったものの必要性を感じていなかったというのもある。
それでテントなんかも、異世界転生の先輩諸兄が地属性魔法で穴を掘ったり石の壁をズゴゴゴってしたりして頑丈な小屋を作ってたからさ、俺もそういう感じで行こうかなって思ってたんだ。
ま、それらの野営道具一式は腐るものでもないし、侯爵家の財力で買い与えられた大容量のマジックバッグならさほどの影響もない、使うかどうかは別にして、一応買っておこうかなとは思う。
……あ、どうやら授業でテントの設営練習とかもするらしいから、どっちみち必要みたいだ。
そしてこの野営道具一式は学園の売店でも取り扱ってるようだから、買い忘れてたら売店へダッシュすればいいかな。
……授業でテント設営練習がある日の朝、売店がすんごい混雑してそうだね。
とりあえず、野営道具一式についてはそれでいいとして、壁系統の魔法も練習しとくかな。
いや、俺の魔纏も広義には壁系統に含まれる気もするけど、問題は寝ているあいだの維持についてだ。
そして、俺単体の防御ももちろん大事だが、パーティーを組む場合は自分だけっていうのもいかがなものかという気がするからね。
といいつつ、うちのパーティーメンバーってそこまで気を遣って守ってやらなきゃならないほど弱くはないとも思うんだけどね……
まぁ、それはそれとして、これから先の冒険者活動なんかを見据えると、必要な技術にはなるだろうから、やはり壁系統の魔法の練習はやっておくべきなんだろうね。
というわけで、今までは自分の部屋だということもあり、ある程度安心していた部分もあるが、これからは寝ているあいだの魔纏の維持にもしっかりと気を配り、さらに部屋のなかで防壁の魔法を展開して寝る、こういうスタンスで行こうと思う。
……魔法の維持に気を配るあまり、安眠妨害にならなきゃいいけどなぁ。
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