第127話 また馬鹿なことを考えているわね
「目覚めはいつだって新鮮さ!」
というわけで本日水の日、目覚めの一言が飛び出したところで朝練の準備を始める。
おっと、キズナ君にも朝の挨拶を忘れずに、おはよ!
しっかし、やっぱキズナ君をお迎えしてよかったよ。
なんとなくだけど、室内の空気がきれいで居心地よくなったように感じるからさ。
……まぁ、植物の空気清浄効果が科学的かどうかは知らないけどね!
というか、マジで空気清浄がどうとかっていうなら、こっちの世界には浄化の魔法があるわけだから、それを一発かませばオッケーだし。
そんなことを思いつつ朝練に出発、それじゃあキズナ君、行ってくるよ!
「昨日も言ったけれど、今日の昼からパーティーメンバーで集まって戦闘訓練をするから忘れずに」
「はいっ、承知しました! リーダーファティマ!!」
「……いつもどおりの呼び方でいいわ、敬語も不要よ」
「……そうか、雰囲気を出そうと思ったんだがな」
「……まぁいいわ、話はそれだけよ、それじゃあね」
「おう、またあとでな!」
ついにパーティー単位での活動が始まるんだなぁ。
とりあえず今日のところは戦闘訓練だけだから、そんなに肩ひじ張らなくてもいいんだろうけどさ。
ま、それはともかくとして、向かい風魔力操作音読ランニングに集中しよう。
そうして約1時間の朝練を終え、シャワーと朝食を済ませる。
それから、昨日からパーティーの登録申請も始まり、徐々に授業の内容も野営研修仕様になってきている。
今日は薬草の見分け方だった。
まぁ、既にトレルルスから効率的な薬草の探し方を教えてもらった俺にとってはそこまで重要な知識ではなくなっているのだがね。
それでも、きちんとした見分け方自体は知らなかったので、話は真剣に聞いておいた。
……そもそもエリナ先生の授業なんだから、真面目に聞くこと前提なんだけどさ!
その後、お昼も食べ終え、運動場へ向かう。
だいたいみんな同じぐらいの時間に集合。
というわけで、戦闘訓練開始となった。
そこでまず、各自のメインウェポンの確認となった。
俺の場合はみんな知ってのとおり、本気のときはミキオ君で、手加減するときはミキジ君とミキゾウ君の二刀流。
ロイターも決闘によって既に知られているだろうが、ミスリルの剣がメインウェポンなようだ。
ファティマさんはミスリルの扇……まぁ、らしいと言えばらしいなって感じがしてくるよね、うん。
パルフェナはミスリルの薙刀……前世の日本でも薙刀は女性の武器みたいな風潮があったからね、わりとオーソドックスな選択なのかなって思う。
「それで、サンズはなにを使うんだ?」
「僕はこれです」
そう言ってサンズはマジックバッグからデッカイ剣を取り出す……いわゆる大剣ってやつ?
うん、イカツイねぇ。
でも、カッコいいねぇ。
それにしても、小柄な少年……もっといえばショタが武骨な大剣とは……なかなかに属性が盛られているように思う。
もしやコイツ、乙女ゲーの攻略対象か? なんて思ってしまうね。
……いや、ありえるぞ?
確か前世でそういう、複数のゲームが重なってる異世界ファンタジー小説とか読んだ記憶があるし。
それで主役となる異世界転生をしてきた少年と少女が「俺(私)がプレイしていたゲームのシナリオでは……」って感じでお互いの情報を擦り合わせていく、みたいな?
そういう視点で見ていくと、ロイターなんかは公爵家の子息様だし、まさに王道系貴公子担当って感じがしてくるよね。
……ただまぁ、この世界が乙女ゲーの場合だったとしても、アレス君はやっぱ悪役なんだろうなぁ、太っていたときなんかは特に。
それで、プレイヤーキャラの少女にチョッカイを出して、ロイターとかサンズみたいな攻略対象の少年にぶちのめされちゃうんだろうなぁ。
じゃあ仮に、この世界が乙女ゲーを兼ねているのだとしたら、誰がプレイヤーキャラの少女なんだ?
……ファティマか?
でもなぁ、アイツはどっちかっていうと悪役令嬢のほうが似合いそうな雰囲気があるんだよなぁ。
……となると、パルフェナか?
いや、でもなんかこう、プレイヤーキャラの少女って、基本的に素朴っていうか地味めなイメージなんだよな。
それで、攻略対象の少年にドレスや宝石を贈られたり、一流のメイクさんとかに磨かれたりして「実はめっちゃ可愛いやん!」ってなるみたいな?
その点パルフェナだと、ヴィジュアルというかサイズ感が派手すぎるというか……
「……また馬鹿なことを考えているわね、そろそろ本格的に訓練を開始するわよ?」
やっべ、さすがは悪役令嬢のファティマ様だ、すべてお見通しでいらっしゃる。
さて、冗談はこの辺にしておいて今日の訓練、しっかり頑張ろう!!
とはいえ、俺以外みんなミスリル製の武器なんだなぁ、そこはちょっと疎外感があるね。
ウィンドボードのフウジュ君も魔鉄製にしちゃったしなぁ。
……いや、逆に考えよう、俺は個性が強いんだ!
何者にも染まらない、まさしく孤高の男、それがアレス・ソエラルタウトだ!!
それに、トレントブラザーズを武器に選んだことは一切後悔していない。
むしろ、トレント素材の武器を使わない魔法士ってモグリなんじゃね? って言いたいぐらいだよ。
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