第110話 パーティーメンバー
「野営研修に向けて、既にパーティーメンバー探しを始めていることと思うけれど、来週の地の日から学園内でのパーティー登録申請が始まるから、みんなしっかりね。それじゃあ、今日の授業を終わります」
本日のエリナ先生の授業が終了した。
パーティーメンバーね……最初この話を聞いたときはめっちゃ面倒だと思ったし、探すのも億劫だった……
でも、なんだかんだ言って、見つかってしまった。
しかも、地味に優秀なメンバーが揃っている気がする。
ロイターはもちろんのこと、サンズもロイターに付いて行けるだけの実力があるみたいだし。
ファティマも会話の内容から魔力操作をしっかりこなしていたようだったし、なにより強者の雰囲気がある。
パルフェナもファティマ程ではないが、放つ魔力の感じ的にまあまあやるタイプだと思われる。
そこに、原作ゲームでは最後まで主人公君に食らいついていけたアレス君となった俺だ。
主人公君や王女殿下が組むであろうパーティーもまあまあではあるだろうが、おそらく現時点ではこっちの方が上な気がする。
……主人公君がまだ覚醒していないからっていうのもあるけどね。
というか、原作ゲーム的にはまだ序盤中の序盤だし。
そんなことを思いつつ昼食をいただく。
そして食堂でも、パーティーメンバー探しのネタで盛り上がっている。
「パーティーって基本は5人でしょ? あとのメンバーはどうする?」
「基本が5人ってだけだろ? 別に俺ら3人だけで決定っていうのでもいいんじゃねぇか?」
「ただな、やはり人数がいた方が安心感があるのも確かだぞ?」
「だよねぇ」
安心感……確かにそれはあるだろうなぁ。
ギルドの冒険者たちもパーティーを組んで安全に狩りをしているみたいだったし。
それに冒険者たちの中で、オークを1対1で狩れるようになったら1人前という話もあったが、だからと言って毎回ソロでオークを狩りに行くわけじゃないしな。
……ま、俺は他人と合わせるのが面倒って思っちゃうからソロ志向なんだけどさ。
「ねぇ、君たちのところ3人なの? もしよかったら僕ら2人を入れてくれないかな?」
「いいんじゃないか? 人数的にもちょうどよくなるだろうし」
「そうだな……じゃあ、これからちょっと一緒に訓練してみるか?」
「さんせーい!」
「ホント? ありがとう!」
「どもっす」
へぇ、メンバー探しってもっと苦労するのかと思ってたけど、あっさり決まりそうな雰囲気だね。
いや、こっからが大変なのかな?
一緒に訓練をしてみたけど、どうもフィーリングが合わない……みたいな?
……っていうか、こっちもパーティーで訓練とかしてないな、そろそろそういうのも始めなきゃなのかもしれないね。
とりあえず、明日明後日はソレバ村に行くから、帰って来てからかな?
まぁ、地の日に行う焼肉、あれが野営で行う食事の予行演習代わりになる……と言い張ろう。
それに、今のところロイターやファティマたちになにも言われていないから、俺がそこまで気にすることもなかろう。
しかも、野営研修って言っても結局、みんなでキャンプしようぜってなもんだろうし。
あとは、はぐれオーガのイベントがどうなるのかっていうのが気になる程度だ。
そうして食事を終え、今日もまた学園都市周辺の森でウィンドボードの練習をメインとしつつ、薬草採取とモンスター狩りを行おうと思う。
そして明日はソレバ村までウィンドボードをかっ飛ばすからね、加速……と一応減速の練習をしておこう。
「ひゃっほー! 俺は風だぁ!!」
そんな声が自然と漏れてしまうほど、上空で気分よくウィンドボードを飛ばす。
魔力をギュンギュンに込めて加速していくスピード感がたまんない!
そして魔力探知で保有魔力量の多い植物やモンスターらしき存在を感知するたび、方向転換や減速、急降下の操縦テクも磨いていく。
そんな感じで、空の世界を楽しんでいるとき、地上で主人公君一行の姿を発見した。
ただし、主人公君と一緒にいるのは王女殿下の取り巻き男子たちという見事なメンズパーティー。
う~ん、原作ゲームだと男は主人公君だけで、あとはヒロインである女の子たちで構成されるパーティーだったと思うんだけどな……
だいぶ原作シナリオからズレてきているのかな?
ちょっと興味が湧いたので、空の上から主人公君たちの動きを眺めてみようかな。
たぶん、今の時点ではぐれオーガが出てきても対処が可能な気はするけど、実際のところはわからないからね。
そんな感じで、彼らの戦いぶりを見てみたが、結構いい感じだった。
俺がこの前戦ったオーガの強さから考えても、実力的には問題がなさそう。
まぁ、変に緊張して連携が崩れたりしなければって感じではあるが、それについても野営研修当日までこのまま訓練を積めば大丈夫な気もする。
ふむ……そこまで心配しなくてもなんとかなりそうな気がするね。
あとは、ゲームのシナリオにあったはぐれオーガの死んだふりっていうのがどの程度のものかによるって感じかな?
ま、とりあえず彼らの実力もある程度見れたことだし、今日のところはこの辺でいいな。
それじゃあ、自分の活動に戻ろう。
その後夕方近くまで、保有魔力量的に下級から中級ぐらいの薬草採取とモンスター狩りをしながらウィンドボードの練習をやり込んだ。
この調子で明日のソレバ村までの長距離飛行もしっかりとやり切りたいと思う。
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